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【天声人語】2006年09月19日(火曜日)付
江戸後期の戯作者(げさくしゃ)、曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」には、竜が浜辺で天に昇る場面がある。「光を放ち、浪をまき立(たて)、南を投(さし)てぞ飛去(とびさり)ける」(岩波文庫)。竜巻という言葉は、その形が、天に昇る竜を想像させるところからきているという。
在江户后期通俗小说家曲亭馬琴的「南総里見八犬伝」中有一幕、描述了龙在海边升上天空的场面。「光を放ち、浪をまき立(たて)、南を投(さし)てぞ飛去(とびさり)ける」(岩波文庫)。据说龙卷风之所以叫龙卷风、就是因为龙卷风的形状会让人想起升空的龙。
竜巻が起きる時に、雲の方から垂れ下がって来る漏斗状のひものようなものについて、物理学者で文学者だった寺田寅彦が書いている。「西洋人は象の鼻に譬(たと)えているが、東洋人の目から見れば竜の尾とも見られないことはなかろう」(『寺田寅彦全集』岩波書店)。
刮起龙卷风时、会从云上垂下漏斗状的、像绳子一样的东西。对它、物理学者兼文学家的寺田寅彦这样写到:「西洋人将之比喻为象鼻、但在东方人眼中、一定会看成是龙的尾巴吧。」(『寺田寅彦全集』岩波書店)
台風の雲の下では、竜巻や突風が起きやすいという。九州に上陸した台風13号は、風が猛威を振るった。被害が大きかった宮崎県延岡市では、特急列車が横倒しになった。列車の窓に屋根瓦や木が飛んできたと乗客は言い、運転士は車体が浮き上がるのを感じたという。
据说在台风云下、更容易起龙卷风和突然的暴风。
登陆九州的台风13号来势凶猛。在受灾严重的宮崎県延岡市、发生了特快列车翻车事件。据列车乘客说当时有房瓦和树枝之类的从车窗飞进来。司机称感觉到车体浮了起来。
台風で、列車を倒すほどの風に突然のように襲われるという恐怖は、これまではあまり体験しないものだったのではないか。竜巻だったのかどうか、よく検証してほしい。
由台风引起的能够翻倒列车的暴风突然侵袭、这种恐怖迄今(我们)还没有体验过。所以(我们)还是盼望能够调查清楚究竟是不是龙卷风。
台風の通り道にあたる九州は、繰り返し被害を受けてきた。近づく台風に対し、しっかりと構えることでは、他の地域よりは慣れていたはずだ。宮崎県では、昨年の台風で竜巻の発生が確認されている。台風に伴う突風や竜巻について、新しい構えや観測の手だてが要るのかも知れない。
位于台风通道的九州经常受到侵害。按说对台风接近的防灾措施、应该比其他地区习惯的多。宮崎県去年的台风下发生过龙卷风是已经确认了的。所以对于伴随台风而来的龙卷风和突然的暴风、或许需要些新的防灾措施及观测手段。
自然は時に、それまでとは違った振る舞いをみせることがある。台風は、すぐ近くまで来ていなくても大風をもたらす。そんな構えで昇り竜とも対したい。
大自然有时会搞一些从没有过的小动作。台风即使还没有十分接近时也会引起大风。(我们)希望能以新的措施对抗升空之龙。 |
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