超大作三部作の完結編です。
相変わらず、原作をちゃんとよんでいないので、比較はできないのですが、おそらくかなり原作に忠実に作られているのでしょう。
だとすると、わたしには原作をちゃんと読む気力はありません。
このお話、全世界でかなり熱狂的な読者がいるのだそうですが、熱狂的になれない人にとっては、あまり面白いお話とは言えない
のかもしれません。わたしにとっては、苦手な話しなんだ、ということがはっきりしました。
二作目を観た時に、若干感じてはいたのですが、三作目まで観てはっきりわかりました。わたしには無理です。
なにが気に入らないって、お話しの主眼が、途中から変わっちゃっているところが、わたしには納得いかないんですね。いや、全体
を遠くからみれば、変わっちゃってはいないのかもしれませんが、わたしには変わっちゃっているように見えるんです。
このお話し、そもそもの発端は、冥王の指輪を捨てに行く、というところから始まったはずです。それが、いつのまにか、人間とオーク
の壮大な戦いの話しに変わっちゃってるんですね、指輪を捨てに行く話しだったら、最後までそれを中心にして話しを進めてほしかった
なぁ、と。
実はわたし、あの日本が誇る超大作小説「グイン・サーガ」を途中で読むのを止めちゃった口なんですね。国と国の戦いになり始めた
あたりから、読むのやめちゃったんです。きっと、そういうのが苦手なんでしょう。
通常、この手のお話しだったら、主人公と旅の仲間が、力をあわせて困難に打ち勝っていくはずなんですよ。そういう展開だったのは
一作目だけで、あとは主人公だけがただひたすら旅を続けていて、他の仲間たちはまったく別な行動をとっているように見える。そ
れも、主人公をバックアップするような行動には見えなくて、まったく別な事件を追っているように見えるんですね。
もちろんそれは、わたしが素人だからそう見ちゃうだけで、実際にはどちらも冥王との戦いという意味では、同じ戦いのはずなんですが、
原作を読んでいない観客には、繋がりがわかりにくにいんです。
主人公も、最初はフロドだったような気がするのですが、いつの間にかアラゴルンが主役っぽくなってるし。というか、この三作目に関して
いうと、主役はサムだったんじゃないか、といつ気がします。観ていて彼が一番格好良かった気がしました。フロドは、主人公としてあまり
に魅力なさ過ぎます。なぜ、みんなが彼に期待し続けるのか、その理由がはっきりしません。ここに至るまでに、フロドがみんなに対して
勇気を見せたとか、優しさをみせたとか、そういう部分がないんですね。だから共感しずらいんです。
素人考えですが、もし今これと同じようなお話しを誰かがかいても、それほど高評価は得られないんじゃないでしょうか。確かに壮大な
物語ですから、途中で主役が入れ替わっちゃっても構わないのですが。普通だったら、入れ替わった主人公が、指輪を捨てるたびを
引き継ぐはずなんです。「ロード・オブ・ザ・リング」というタイトルから考えても、もっと指輪が中心になったお話しになった方が、明快だと
思うのですが、そう考えるのは、わたしが素人だからでしょう。
納得できないことがもうひとつ。
最初にあつまった仲間が大勢いるんですよ。通常、困難な旅を続けている場合、そして仲間が大勢いつ場合、主人公を助けるために、
もっと仲間が犠牲になると思うんですよね。仲間が九人いたら、四人や五人は死んでもいいと思うんですね。そのための仲間の配置、
とはいいませんが、自分の命をかけても、主人公を守り、先に行かせようとすることで、その脇役も引き立ちますし、主人公も引き立つ
はずです。もとろん、脇役が命をかけてもいい、と思えるような主役じゃなければいけないんですが、このお話しにはそれがないんですね。
で、よくよく考えてみると、この「王の帰還」を観ているあいだ、わたしはワクワクもドキドキもしなかったんです。何度かある合戦の前に、
王がちょいとした演説のようなものをぶつのですが、これにもちっとも感動しませんでした。逆にしらけちゃって。お話しに世界に浸れないと、
取り残されるようです。
合戦といえば、危機的状況が、何度か逆転するんですが、それって一回でいいんじゃないかなぁ。二度も逆転すると、どちらの感動も一層
薄れちゃうと思うんですが。
あと、エビローグ長すぎ。原作ではもうひと波乱あるようですが、さすがにそこは削ってましたから、もうひとけずりしてもよかったような。
映像はすばらいんですけどねぇ… |