《父辈的星条旗》(天声人语061208)
「妻へ 縁有つて婚姻(こんいん)してより十有余年、此(こ)の間貧しいながら五人の子宝(こだから)を得て楽しい団欒(だんらん)であつた」。敗戦の約半年前の1945年3月に、太平洋の硫黄島で戦死した日本兵の「遺書」の一節だ。
“至妻子:有缘成就婚姻已十年有余,其间清贫度日,得子女五人,尽享团圆之乐”。这是战败约半年前的1945年3月,在太平洋的硫磺岛上阵亡的日本兵所写遗书中的一段。
やはりこの島で戦死した別の兵士が、妻あてに書いた。「悲壮なる決心をするだけに子供こひしさに心の鬼も防ぎ得ず。未練がましくも幸ひ便りする機会を得て書き連ねる——常日頃 我いとし子を見つめては 心の悪魔払ひ来りし」(『昭和の遺書』角川書店)。それぞれの思いを抱きつつ倒れた。
在这个岛上阵亡的别的士兵,也给妻子写了信。“悲壮的决心已下,对孩子的思念也越发难耐。所幸有此写信机会,得以一诉留恋心意——常日里 凝视吾娇儿 即除心中恶魔”(《昭和的遗书》角川书店)。一个个,都各怀牵挂倒地身亡了。
日米の激戦地となったこの島を舞台にした米映画「父親たちの星条旗」が公開中だ。クリント・イーストウッド監督は、島の摺鉢山(すりばちやま)に星条旗が翻(ひるがえ)る有名な写真にまつわる人と軍、国家の相克を描く。
现在放映中的美国电影《父辈的星条旗》,便是以这个曾经是日美激战之地的岛屿为舞台的。导演克林特•伊斯特伍德在这部电影中,描绘了与岛上捶钵山头星条旗飘扬的那张著名的照片有关的人们,与军队、国家间的矛盾。
この写真は国威発揚に使われ、写真に絡む兵士たちは戦時国債の募集に駆り出される。そして「英雄」に祭り上げられることに違和感を覚えながら、流されてゆく。
该照片曾被用来发扬国威,与之相关的士兵们曾被动员去募集战时国债。于是,就在给人与被捧成“英雄”的做法格格不入的感觉之中,该照片也被时间的长河带走了。
刻々と命が失われる戦場での営為(えいい)は人の心を強くつかむ。国民は英雄を望み、軍や国家は英雄をつくろうと試み、メディアはあおる。もみくちゃにされる兵士たちの悲劇が、切々と伝わってくる。
电影中每时每刻都在吞噬生命的战争场面扣人心弦。国民盼望英雄,军队、国家要创造英雄,媒体在推波助澜。而战士们地狱般的悲剧命运在电影中也被表现得淋漓尽致。
ブレヒトの戯曲に、こんなせりふがあった。「英雄のいない国は不幸だ!」「違うぞ、英雄を必要とする国が不幸なんだ」(『ガリレイの生涯』岩波文庫・岩淵達治訳)。戦争は、妻や子や親を思いやる当たり前の青年同士を戦わせ、時には英雄の役回りまで強いる。65年前のきょう、日本軍の真珠湾攻撃で、太平洋戦争が始まった。
在布莱希特的戏剧中有这样的台词。“没有英雄的国家是不幸的”“错,需要英雄的国家才是不幸的”(《伽利略的生涯》岩波文库•岩渊达治译)。战争,迫使理所当然地要思念妻儿父母的年轻人们互相残杀,有时还硬使他们成为英雄。65年前的今天,日本军队偷袭珍珠港,自此,太平洋战争开始了。 |