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星取り
ある夜(や)のこと,お寺(てら)の庭(にわ)で,小僧(こぞう)さんが,長い竹竿(たけざお)を,あっちこっち振り回しておりました。
和尚(おしょう)さんがこれを見つけて,
「これこれ,そこでなにをしているのじゃ……。」
と聞きますと,小僧さんは,
「お空(そら)の星(ほし)が欲しくって,打ち落とそうとしているのでございますが,一つも落ちてまいりませぬ。」
すると,和尚さん,
「ばかなやつじゃ。考えてみれば,分かることではないか。そこからでは,星に届(とど)くわけがない。屋根(やね)に上がるのじゃ。」 |
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