咖啡日语论坛

 找回密码
 注~册
搜索
查看: 1202|回复: 1

刺杀东洋(二)

[复制链接]
发表于 2006-12-30 01:06:20 | 显示全部楼层 |阅读模式
東洋、亥(い)ノ刻(夜十時)、お城を退出。
「いや、酔った」
と、御殿(ごてん)の玄関で若党がさしだす傘をうけとり、ぱらりとひらいた。
一面の闇が、糠のような雨でぬれている。
若党が提灯をさしのべて先導しつつ、主従は城内の石段をおりてゆく。供は若党に草履取りがひとり、いつものように二人である。
石段をおりるとき、東洋の身をまもるようにして、数人の若い武士が前後した。今日の進講の陪席者たちであった。後籐象二郎、市原八郎左衛門、福岡藤次(孝弟)、由比猪内、大崎巻蔵らで、いずれも東洋の蟄居(ちっきょ)当時の門人であり、東洋が政権の座に復してから抜擢した新官僚たちである。

亥时(夜十时),东洋从内城退出。
“啊,醉了”
在御殿的大门口,他接过跟班递来的伞,啪地一下打开。
前面漆黑一片,雨似筛糠。
跟班在前打着灯笼,主仆一行从内城的石级上拾级而下。与往常一样,随从有两人,一跟班、一提鞋。
下石级时,几名年轻的武士像护卫东洋似的,将他围在中间。他们是今天伺讲时的陪席。後籐象二郎、市原八郎左卫门、福冈藤次(孝弟)、由比猪内、大崎卷藏等,他们都是东洋不得意蛰居在家时的门生,东洋重新掌权后提拔起来的新官僚。

「御執政、まったく」
と、福岡藤次が傘をかたむけて微笑をむけてきた。
「本夕の御前講は、いつもに増して結構に存じました。信長の本能寺における最期など、一代の英雄児の生涯をかざるにふさわしい劇的なものでありましたな。凄惨のなかに華やかさあり、いやまったく拝聴していて、眼にみえるようでございました」

“执政大人,太精彩了”
福冈藤次偏过伞,转过微笑着的脸,说道:
“今晚的御前讲授,比起平时来是越发精彩啊。信长命丧本能寺的情状,简直是点缀一代英豪之生涯的戏剧性场面。凄惨而又华美,有幸聆听,真是如见其人啊”

「左様か」
吉田東洋は、ゆっくりと雨の中を降りてゆく。ほめられて正直なところ、わるい気持ちはしなかった。自分でも、きょうの御前講は入神(にゅうしん)の心境というか、予期以上のできばえであったとおもっている。
「わたしも、あのくだりがすきでな。その生涯が一篇の詩になる者を英雄という。わたしは信長のをおもうつつ、本能寺の紅蓮の炎のなかで愛用の槍をふるう英雄児そのひとになりきっていた」
「上様もご満足のご様子でございました」
と、大崎巻蔵が頭を下げ、それをひきとって由比猪内も如才(じょさい)なく、
「御参覲のおはなむけとして、なによりでございましたな」
と、ほめあげた。
城門を出て、大手筋にさしかかった。雨脚が、こころもちはげしくなったようである。
「では御執政、それがしはこれにて」
と、福岡、由比それに市原は、わかれた。かれらの屋敷は、大手筋を出てすぐ南へ折れねばならない。

“是吗?”
吉田东洋在雨中缓缓走下石级。听到称赞,心里当然不会不舒服。他自己也觉得,今天的御前伺讲可称出神入化,比预想的效果还要好。
“我也很喜欢那一段。一生能成为诗篇者方称英雄。缅怀信长,我也真想成为在本能寺的红莲烈炎中挥舞珍爱的长枪的英雄啊”
“主公似乎也很满意啊”
大崎卷藏佩服地说道,由比猪内接过话头,也得体地赞叹道:
“以此作为参觐的饯行,真是最好不过了”
出了城门便是大道。雨势好象稍猛了一些。
“执政大人,在下等就此告辞了”
福冈、由比还有市原告别后离去。他们的住处,在上了大路立刻朝南拐处。

東洋の傍に残ったのは、大崎と後藤。
教授館の前を過ぎ、やがて南に折れ、東西に走る帯屋町筋に出た。
後藤、大崎の屋敷はさらに南である。しかし東洋の屋敷は、この帯屋町の角を、東へ折れねばならない。
「では、御執政、お気をつけて」
と、若い後籐象二郎はいった。象二郎は、東洋の血縁である。のちに土佐藩の参政になり、竜馬にひきたてられて佐幕派から勤王に転ずる男であるが、性、粗大奔放、このときはなんの予感もしなかったらしい。
東洋は、ついにひとりになった。
前後に、若党と草履取り。東洋は左手に傘の柄をにぎり、ぬかるみを避けながら、ゆっくりと歩いてゆく。

留在东洋身边的,还有大崎和后藤。
行过教授馆前,不一会儿折向南,来到了东西走向的带屋町道。
后藤、大崎的住处还要往南。可东洋的宅邸,在这带屋町道转角往东拐处。
“执政大人,路上小心了”
年轻的后藤象二郎说道。象二郎与东洋有血缘关系。后来,他当上了土佐藩的参政,在龙马的策动下由佐幕派转变为勤王派,性格粗放,此刻,他似乎毫无任何预感。
最后,就只剩下东洋了。
身前身后,是跟班和提鞋。东洋左手握着伞柄,避开泥潭,慢慢地朝前走着。

その十数歩さき。
三人の刺客が待ち伏せている。
壮漢三人。
いずれも、面体を布でつつみ、百姓蓑を着込み、屋敷屋敷の門、塀の暗がりでうずくまって、雨に打たれていた。
 (まだ来ぬか)
 気の短い大石団蔵は、いらいらしながら、身を小刻みに動かしていた。蓑のなかにノミがいたのか、それとも、こういうときにはそんな生理になるものか、妙に全身がかゆい。しきりと、掻いた。

   十几步开外。
  埋伏着三个刺客。
  壮汉三条。
  每人都是用布覆面,身披蓑衣,蹲在房屋的门、墙暗处,饱受雨淋。
  (怎么还不来)
  急姓子的大石团藏,心急火燎,身子微微颤抖着。也不知是蓑衣里有跳蚤,还是到了这种时候就会有这样的生理反应,全身莫名其妙地发痒。他不停地挠着痒痒。
 
  安岡嘉助。
 これは、前野久米之助という上士の屋敷の塀ぎわにかがんでいる。
 まげがぐっしょりと濡れ、眼、鼻、口へ、雨が間断もなくしたたり落ちた。なんども、かがんだまま、小便をもらした。それもほんのわずかしか、出ない。おわると、また尿意を催すのである。
 (どういうわけじゃろ)
 手をさし入れて、ふぐりをつかんだ。吊り上るように固かった。袴のなかが、濡れている。雨のせいではなかった。

  安冈嘉助。
  他蹲在名为前野久米之助的上士的宅邸的墙跟。
  发髻尽湿,雨不停地灌入眼、鼻、口内。蹲着身子,泄了好几次尿。尿也尿不多,只有那么一点点。刚一尿完,马上觉得又要尿了。
(怎么搞的呢?)
  他把手伸入裤裆,摸了一把卵子。吊住了似的,硬邦邦。裤裆里湿漉漉的,却怪不得雨。
 那須信吾。
 これは、前野屋敷の門の軒下で、大あぐらをかいていた。
 古手拭を一本、頬っかぶりにしている。心中、しきりと田舎の佐川に置いてきた妻と二児の顔が思い出された、眼をむき、歯(は)がみして打ち消そうとした。
(もはや、相見(あいみ)ることはあるまい)
二児の将来は、老父俊平がみてくれるだろう。そうは思いつつも、虚空の闇をにらむ眼に、涙がとめどもなく流れてくる。
(えィ、父がなくとも子は育つわい)
何度も、腕で涙をかなぐりすてた。老父俊平は、貧乏郷士ながらも多少の田畑もあり、槍術の田舎道場ももっている。むろん、暮らしにこまることはあるまい。

那须信吾。
这一位盘腿坐在前野宅邸的门檐下。
脸上扎着一条旧手巾。留在家乡佐川的妻子和两个儿子的面容不停地出现在脑海里,他瞪大眼睛、咬紧牙关,拼命地要抹去这些形象。
(已经无从再相见了吧)
老父俊平会照看两个孩子的。想到此,望着虚幻夜空的双眼,不禁热泪纵横。
(哎,没了父亲,孩子也能成长)
老父俊平虽是穷乡士,尚略有薄田,还开着一个教授枪术的乡下道场。因此,生计尚不至于犯愁。
回复

使用道具 举报

发表于 2006-12-30 03:48:16 | 显示全部楼层
拜读了,向华南虎先生学习!
回复 支持 反对

使用道具 举报

您需要登录后才可以回帖 登录 | 注~册

本版积分规则

小黑屋|手机版|咖啡日语

GMT+8, 2025-8-24 02:15

Powered by Discuz! X3.4

© 2001-2017 Comsenz Inc.

快速回复 返回顶部 返回列表