今まで親の扶養であり親と健康保険証が一緒であった人も,入社後は自分の健康保険証を持つこととなります.
政府が※保険者の政府管掌健康保険(政管健保),大企業等が健康保険組合を作っている場合は組合管掌健康保険(組合健保)に加入します.公務員は短期共済給付(共済組合)に加入します.
ⅰ)保険料
ここでは,最も加入者の多い政管健保(約3600万人)について述べます.
※保険者とは:健康保険事業を運営するために保険料を徴収したり、保険給付を行ったりする運営主体
計算方法 (総報酬制2003年4月より)
《※標準月額報酬(月収),賞与(ボーナス)》×1000分の82(8.2%)となり,事業主(会社)と被保険者とで折半となります.賞与時の国庫補助は廃止となりました.
※報酬とは:基本給,役付手当,通勤手当,残業手当等を含む.
例)
・月収が16万5000円~17万5000円の場合10等級となり標準月額報酬は17万円で計算される.
170,000円×0.082÷2(折半)=6,970円
・月収が19万5000円~21万0000円の場合13等級となり標準月額報酬は20万円で計算される.
200,000円×0.082÷2(折半)=8,200円
ⅱ)保険給付
被保険者(自分)や被扶養者(家族)が病気や怪我のときの診察,処置,手術代の患者一部負担(2003年4月より)となっております.これにともない,薬剤一部負担金制度は廃止となりました.
患者一部負担金
通院 入院被保険者 3割 3割被扶養者 3割 3割3歳未満 2割 2割
ⅲ)高額療養費制度
医療費が一ヶ月の間にある一定の額を超えた場合,その超えた分を払い戻す制度があります(高額療養費制度).自己負担限度額は所得により変わります.(2002年10月より)
・自己負担限度額
①上位所得者(診療月の標準月額報酬が56万円以上)の場合の1ヶ月あたりの限度額
139,800円+(医療費-699,000円)×0.01
②一般(診療月の標準月額報酬が56万円未満)の場合の1ヶ月あたりの限度額
139,800円+(医療費-699,000円)×0.01
2-2 厚生年金
入社するとそれまで国民年金(第一号被保険者,1-1項参照)に入っていた人は年金手帳を会社に見せます.
平成9年1月から「基礎年金番号」制度の導入により、1人1つの番号でどの年金制度にも加入できることになったため番号を統一するためです.
会社が厚生年金に加入している場合,あなた(社員は)厚生年金被保険者(第二号被保険者)となります.
厚生年金は,最低年齢は無く最高69歳まで加入となっている.
ⅰ)保険料
計算方法 (総報酬制2003年4月より)
《※標準月額報酬(月収),賞与(ボーナス)》×0.1358(13.58%)となり,事業主(会社)と被保険者とで折半となります.
※報酬とは:基本給,役付手当,通勤手当,残業手当等を含む.
例)
・月収が16万5000円~17万5000円の場合10等級となり標準月額報酬は17万円で計算される.
170,000円×0.1358÷2(折半)=11,543円
・月収が19万5000円~21万0000円の場合13等級となり標準月額報酬は20万円で計算される.
200,000円×0.1358÷2(折半)=13,580円
2-3 雇用保険
ⅰ)対象者
雇用されている労働者.パートタイマー等でも以下の両方を満たせば可.
・一週間の所定労働時間が20時間以上30時間であること
・一年以上引き続き雇用される見込みであること
ⅱ)給付対象
労働者が失業または雇用の継続が困難な状況になった場合
ⅲ)保険料(業種により異なる.)
保険料:一般業種の場合,
被保険者の賃金×0,0175(被保険者負担分:0.007,事業主負担分:0.0105)
例)
・月収が16万5000円~17万0000円の場合18等級となり
被保険者負担分は
167,500円×0.007=1,173円
・月収が20万4000円以上 21万0000円未満の場合25等級となり
被保険者負担分は
207,000円×0.007=1,449円
(月収とは,基本給,家族手当,資格手当,時間外手当,通勤交通費等)
2-4 労働者災害補償保険(労災保険)
ⅰ)対象者
雇用されている労働者.アルバイト,パート,外国人労働者も全て.
ⅱ)事故対象
業務中および通勤途中の災害(日用品の購入など日常生活に必要な行為を除き,通勤途中に寄り道すると対象外であるので注意が必要)
ⅲ)保険料
会社(事業主)が全額負担
ⅳ)その他
会社の健康診断で肥満,血圧,血糖,血中脂質に異常が発見された場合,再検診の費用を賄う給付が新設されている. |