(1) 二十四歳の女性。過食症で悩んでいます。
高校を卒業し、専門学校に通うために上京した頃から過食を繰り返しています。「この仕事をやりたいからがんばっている」という自立した生き方をしたいと思っていましたが、①仕事に(注1)行き詰まると、食事に逃げていました。意志の弱さなのか、仕事はよく続いたときで二年、短いと二ヶ月で辞めました。
今はやりたい事が見付からず無職。(注2)実家で暮らし、経済的に完全に(注3)親に甘える日々です。太っていては何もできないという思いが強く、(注4)うつ状態だと思います。今は体調を(注5)整える期間だからと思う反面、②このままで再就職ができるだろうかと不安は(注6)募るばかりです。
(投稿者:兵庫県・S子)
あなたは社会人としてスタートする時に、自立生活をして(注7)生きがいを感じられる仕事をしたいと考えて、一生懸命に努力してきたと思います。
しかし、実際の職場や生活ではいろいろな予想外のストレスも経験したことでしょう。食事の習慣にも影響が出て、体調や気分も不安定になった様子です。
最近の自分はうつ状態なのだから、今は心身を調整する時期にしようという、あなたの考えに賛成です。
幸いに実家の親も、今はまず体調や生活面を整えて、将来のことは焦らないようにというありがたいお考えです。この際に、親と率直に話し合ってください。
治療には、自分と家族の協力も大切ですが、やはり医療面からの診察と対策や助言が必要です。迷わずに心療内科や精神科を受診して、治療を進めてください。
今までの経験はよい勉強になったと考え直して、ここで心身の調子を整えましょう。すぐに理想的の仕事はなくても、いろいろな仕事の中に「小さな生きがい」を見出すことを心がけてみませんか。
(答え方:精神科医・浅井昌弘)
(注1)行き詰まる:物事が困難に出会って、その先へ進まなくなること。
(注2)実家:生まれた家。親の家。
(注3)親に甘える:親に依頼する。
(注4)うつ状態:あれこれ心配で気持ちが不安定な状態
(注5)整える:調整すること。きちんと整理すること。
(注6)募る:(ある様子・状況が)ますます激しくなること。強くなること
(注7)生きがい:生きる価値。生存する価値。
7 ①「仕事に行き詰まると、食事に逃げていました」とあるが、どんなことか。
1.仕事が順調に進まないとき、食事をする気さえもなくなってしまったこと。
2.仕事が忙しくて、食事をする時間もなくて、職場をサボって逃げること。
3.仕事中でつらいことに出会ったとき、たくさんの食事をしてしまうこと。 4.仕事中で嫌いなことが起こった時、食堂に行ってできるだけ安い料理を食べること。 |