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[学习网站] 小説(なぞの青年)

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发表于 2007-12-8 18:20:17 | 显示全部楼层 |阅读模式
 都会のある一塊。そのあたりには住宅がぎっしりとたてこみ、住宅でないところは道路で、自動車が絶え間なく走っていた。従って、その辺の子供は遊び場所がなく、日当りの悪い狭い部屋のなかで、黙ってテレビをほんやり眺めていなければならないのだった。9 x7 I/ |: z6 ]
そこへ、一人の青年が現れた。地味な服装で、おとなしく真面目そうだった。彼は通りのまどごしに、子供に話しかけた。6 X, J/ u  v* J8 [" G3 m4 I* X
「この辺には、君たちの遊び場はないのかい」* o* L) P/ R. [" p  f8 N; C
うん、ないんだよ、鬼ごっことか、かくれんぼとか、ナウとびとかを、ぼくたちは誰もやったことがないんだよ。& w. _9 d: d( U6 s( I' c! ~
「かわいそうに。小さいな公園でも、作ってもらえばいいのに」
5 W  |  A: ~4 D% g! Y9 {「おとなの人たちだって、そう考えているよ。だけど、お役所に交渉してみたが、だめなんだって土地が高いし、そんなお金のでどこがないんだってさ」, n& O% I; @1 d2 K5 P
子供は諦めきっているようだった。それに対して、青年は言った
! l4 t5 o8 ^9 `; a- j# E/ g2 K「よし。ぼくが作ってあげよう」
9 }% E! q( h+ j1 J「本当なの。みんな,、どんなに喜びだろうな。でも、そんなことが起こるのは、テレビの中にお話の場合だけじゃないのかな」
0 j  F( Q9 B4 W2 Z「いや、本当だとも」6 e* A3 o! B: r% \  I
うそではなかった。青年はどこからかお金を持ってきて土地を買い、地面の均し緑の木を植えた。ブランコや砂場も備え付け、安全設備も整えた。そして、集めって来た子供たちに言った。
( D7 Y" w# Z. O1 k, k* L「これからは、此処は君たちの世界だよ。いつでも自由に遊べるんだよ。」
* \' w! C6 M' K! P「わあ、うれしい……」6 Y% n" J" F8 M/ _' O; H
子供たちは歓声をあげ、日光を浴びながら思い切り飛び跳ね、駆け回った。ついてきたおとなたちも感謝した。" X5 O/ {" C" L) z
「なんという、ありがたいことでしょう。お名前を教えてください。それを公園の名前とし、いつまでも忘れないようにします。」
; }  d+ F0 O" W8 G0 U  k0 k" Fしかし、青年は少しも得意そうな表情をせず、手を振って、控え目な口調で言った。
7 U% T' S* O# ?% ?$ J4 ^7 Q! s「名前など、同でもいいことです。当たり前のことをしただけですから、皆さんに喜んでいただければ、それでいいんですよ。お忘れになって下さい。」, o& M4 y0 d; {
誰かが写真を取ろうとしたが、青年はいつの間にかいなくなっていた。みなは奇跡をおこす魔法使いじゃないかなどと、話し合うのだった。% F& ~- X9 Q3 D
また、その青年は身寄りのない老人のところへ現れたこともあった。" v4 Y" O  e  D5 h. j( \' u  i- y
老人の一生は、働き続け立った。若い時はよく働き貯金もできたっだが、それは物価の変動で消えてしまった。都市を取った今では、食べて行くだけがやっと、もう体も弱っている。
( d/ }6 |  k0 K$ z$ e" x「生きている間に、一回でいいから、ゆっくりと旅行をしてみたいものだ。しかし、それも無理な望みだな」* u  L2 H5 x) ~9 ]0 {- c# Z" D
と悲しげに言いながら暮らしていた。そこへやってきた青年はこう話しかけた。
# W" X: @+ {4 d+ a& I' q「はい、これが流行周遊券の切符のつづりです。こっちは、予約旅館の前払いをしたという領収書。これは、小遣いのお金です。お好きなように、楽しんでいらっしゃい。」
" b% E% M) w3 s9 E" m, B5 M当然のことながら、老人は人事かねる表情だった。6 v2 E! g5 T- S
「からかっていらっしゃるのでは、内容だ。ありがたいことです。しかし、見知らぬあなたから、そのようなものを頂く筋合いはありません。」
' U5 U( e; S$ B2 G" o「とおっしゃっても、もう取り消すわけには行きません。こうお考えになったら、どうでしょう。一生を真面目に働いたあなたには、せめて、それぐらいのことはなさる権利があるはずです。」! Q: B! f+ ^" P9 m/ F
老人は涙ぐみながら喜んだ。
+ R/ r! C9 s/ }7 z+ B6 H* H「そうですか。では、お言葉に甘えさせていただきましょう。ああ、夢のようだ。これで思い残すことなく死ぬます。あなたは、現代のキリストのようなお方だ…」したまでのことです。0 N6 M. o. v+ M. Q  v- |
「とんでもありません。ただの平凡な人間ですよ。なすべきことを、したまでのことです。では、いいご旅行を……」5 s, w, N. M' U/ W3 ]% c, j7 x
青年は老人のくどい感謝の言葉が始まる前に、静かに帰っていた。8 G( g7 Q8 Z, K8 ]! A/ Q7 N
そのほか、その青年は色々なところに現れた。7 z$ X  M" k0 O- G, `
交通事項で死んだ人の遺族の家に現れ、お金を渡したこともあった。ひき逃げされたので、訴訟を起こしてお金の請求をしようにもあいたが分からず、生活を困っていた人たちだ。
/ Y2 z+ X- f, g8 c3 N8 I0 {$ r' h海外に流出する寸前の、古い美術品を買い戻し、博物館に寄付して、黙って帰っていたこともあった。崩れかけ、早く手を経たないとだめになってしまう遺跡の、修理代を出したこともある。資金が行き詰まり、閉鎖する以外に方法のなくなった保育所や恵まれぬ人の施設に、そっと金をおいていったこともあった。この類のことは、あげればいくらでもある。" p$ Q7 X: y% L! j! ]7 m
青年の訪問を受けた人たちは、心からありがたがると同時に、あの人はどんな家のかたなのだろうと考える。大金持ちのお子さんはだろうか。それとも……。8 H. l: R; _) h( f1 k, h) F7 T
その先は考え付かない。自分のことには金を使おうとせず、世の中のために尽くしている。偉い人だ。それにしても、よくお金が続くものだと。# e( U1 c+ e! V3 |4 M
しかし、いつまでもつづくというわけには、いかなかった。やがて、その行為も終わるときが来た。最初に気がついたのはその青年の上役、すなわち税務署長だった。彼は青年を呼びつけていった。% w7 ^) ?* f! K& x$ Z, y3 E
「おい、君、君を真面目な青年と信用し、金銭を扱う重要な地位につけた。それなのに、それを裏きり、気の遠くなるような額の使い込みをやった。なんということだ。一体、どんなことに使ったのだ。」6 J* G* P$ ~7 L6 ]4 O
「実は」
( ^) m1 E6 ^" q. {5 ?% e( f; c青年は正直に答えた。署長はあきれて大声をあげた。4 S" F' t& y# ^
「けしからん、税金とは善良な国民が、政府を信頼して納めたものだ。それを議会にも官庁にも無断で、勝手に損な馬鹿げたことに使うとは……」! |0 C0 a- a" r- e4 F6 [
「いけませんでしたか」
7 X4 m; L; s/ Z; [「当たり前だ。お前は頭がおかしくなっているんだ。」
% l, e$ O" P; z, K: k「私が異常で、ほかの議員や公務員たちは、みな正気だとおっしゃるのですか」* R- A% g2 `& N' @# k1 w
しかし、署長は、そんなことに答えるどころではなかった。この不祥事の、処理をしなければならない。関係者は表ざたにするのをいやがり、無理やり青年を異常者にしたて、病院に送り込んでしまった。
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