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仕事上で、関係のある銀行、市役所について 「銀行」「市役所」などは、本来は組織、建物を指示する名詞ですから、ご指摘のとおり、これに尊敬の意を添える接尾辞「~さん」を用いるのは不適切であると考えられます。
「銀行さん」「市役所さん」などの表現が用いられるのは、取引先ということもあり、おそらくは担当者とも頻繁に顔を合わせるという状況で、「銀行」「市役所」のように名詞そのままの形で用いることがぞんざいであるように感じられるためでしょう。
取引先の担当者を前にした場合は「貴行」「そちら様」などのいい方も可能ですが、「銀行さんはもうみえたの?」のように取引先の担当者を話題にする場面でどのような表現を用いるかが問題となるのではないでしょうか。
組織そのものを話題にするのでなければ、「銀行の○○さん」のように名前を添えるのがいいようにも思われます。しかし、「銀行さん」が指示しているのは「銀行に所属するある個人」というよりは、自分の会社に出入りする「担当者」という役割であると考えれば、これを「銀行の○○さん」に換えることはできません。
いずれにしても、「銀行さん」「市役所さん」などは、本来は不自然であるはずの表現が限られた場面で許容されたものです。社内で「銀行さん」と呼んでいる担当者に、社外で、例えば家族と歩いているときに会った場合にも同様の表現が用いられるわけではありません。「今の人誰?」という家族の問いへの返事としては、「銀行さんだよ」ではなく「取引先の銀行の人だよ」が予測されるのではないでしょうか。 |
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