東京も格別のことはなかつた。上野の櫻が満開のころは、眺めはいかにも紅(くれない)の薄雲のようではあつたが、花の下にはきまつて、隊を組んだ「清国留学生」の速成組がいた。頭のてつぺんに辮髪をぐるぐる巻きにし、そのため学生帽が高くそびえて、富士山の恰好をしている。なかには辮髪を解いて平たく巻いたのもあり、帽子を脱ぐと、油でテカテカして、少女の髪にそつくりである。これで首でもひねつてみせれば、色気は満点だ。
东京也无非是这样。上野的樱花烂熳的时节,望去确也象绯红的轻云,但花下也缺不了成群结队的“清国留学生”的速成班,头顶上盘着大辫子,顶得学生制帽的顶上高高耸起,形成一座富士山。也有解散辫子,盘得平的,除下帽来,油光可鉴,宛如小姑娘的发髻一般,还要将脖子扭几扭。实在标致极了。 |