ドラマやCMで大活躍する福山雅治。シンプルなR&Rでチャートを席捲するシンガー・ソングライターとしても活躍しているのはご存知の通り。90年に「追憶の雨の中」でデビュー。ボブ・ディランやブルース・スプリングスティーンをフェイヴァリット・ミュージシャンに挙げるだけあり、大陸的なスケールの大きさを見せるR&Rを展開。また、佐橋佳幸や小原礼をアレンジャーに迎え、ウエストコースト・サウンドやフィル・スペクター風のアレンジを取り入れた「アメリカン・ロック風Jポップ」を次々とリリースする。そして、ドラマ『ひとつ屋根の下』で全国的な認知度を得て、シングル「HELLO」が200万枚を越す大ヒットを記録。そして、この頃よりCharとのコラボレーションや他のアーティストのプロデュースを担当するなど音楽家としての幅を広げていく。その後、約3年間の空白を置いて、夏を感じさせるカリプソ風のホーンを取り入れたロック・ナンバー「Peach!!」をリリース、99年には、折からのリッキー・マーティン・ブームを意識したのか、ラテン・フレイヴァーを取り入れた「HEAVEN」、00年には「桜坂」の大ヒットを生み出した。グランジやラテンといった旬のサウンドをためらいもなく取り込み、ヒット・チャートに送り込む姿勢には開き直りにも似た潔さが感じられる。――俳優と歌手を両立させ、その人気を自然体でキープする福山は今日の芸能界では稀有な存在といえるだろう。 |