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第一章 職場でのビジネスマナー
1. 身だしなみで相手に不快感を与えない
ビジネスマンにとっては、良い仕事をすることがすべてです。しかし、だらしない格好をしていれば相手に不快感を与えますし、ひいては会社の評価につながる場合が多いのです。
「おしゃれ」とは自身の好みに応じて身を飾ることですが、「身だしなみ」は自分の楽しみよりも接する相手に不快感を与えない心配りが大切です。
何よりも大切な清潔感
毎朝ヒゲを剃るのはもちろん、頭髪は汗臭くないか、フケが浮いていないか、逆立っていないか、極端な長髪でないか、爪は伸びていないかなど、出勤前にチェックしましょう。逆に整髪料がピンピン匂うようなヘアはやめましょう。
服装で人柄がわかる
① きちんとスーツを着る
洋服のシミ、折り目のないズボン、締まりのないネクタイ、汚れた靴などの身だしなみが乱れていると、仕事に対する心や姿勢にゆるみがあると思われても仕方がありません。
② 服装の小物は清潔に
ワイシャツの襟、袖口の汚れには注意しましょう。高価なネクタイピン、カフスボタン、腕時計、ベルトを身につける必要はありません。安くてもこざっばりしたアクセサリーを身につけるよう心がけましょう。
③ 女子社員の身だしなみもポイント
高級ブランド品やぜいたくな装飾品を身につけるのではなく、清潔で働きやすい服装にポイントを置いて選ぶようにするのがマナーです。さらに口臭や下着についても気配りが必要です。特に若い女子社員が流行やファッションに敏感なのは当然ですが、職場の中に強烈な香水のにおいを持ち込んで、まわりをへきえきさせるのは「お門間違い」の身だしなみと言えます。注意しましょう。
身だしなみをチェックしてみよう
「髪」清潔か、寝癖は直っているか、伸びすぎていたりフケがついていないか。
「ヒゲ」毎日剃っているか。
「ワイシャツ」襟と袖口は汚れていないか。シミ、シワが目立たないか。
「ネクタイ」汚れていないか、ねじれていないか。
「上衣」シミ、ほころび、ボタンの取れかけ、シワ、肩のフケなどがないか。
「手」爪が伸びすぎたり、汚れていないか。
「ズボン」折り目はしっかり付いているか、膝は伸びていないか、また裾のほつれはないか。
「靴」磨いているか、かかとはすりへっていないか、はき古していないか。
「靴下」毎日かえているか、派手な色や柄ではないか。
女性
「髪」清潔化、手入れはまめにしているか、長い髪で仕事の邪魔にならないようにしているか。
「化粧」派手でないか、化粧ずれしていないか、香水は強すぎないか。
「アクセサリー」目立ちすぎないか、じゃまにならないか。
「ブラウス」襟と袖口は汚れていないか、シミ、シワが目立たないか。
「手」爪が伸びすぎたり、汚れていないか。
「上衣」シミ、ほころび、ボタンの取りかけ、シワ、肩のフケなどがないか。
「スカート」折り目はしっかり付いているか、膝は伸びていないか、また裾のほつれはないか。
「ストッキング」伝線や破れはないか。
「靴」磨いているか、かかとはすりへっていないか。はき古していないか。
「全体の調和」着ているもの、はいているもの、つけているものなど、全体の色の調和がとれているか、派手でないか。
2. 服装は誰にでも好感をもたれるものが基本
社会人として、組織の一員として、調和を乱すような服装は避けて、オーソドックスな色彩・形のものにすべきです。目立たなくてもすがすがしく好感のもてる服装がポイントです。なによりも「清潔感」があって「機能的」なものが基本です。
オーソドックスな服装から始めよう
若い人のファッション感覚は、昔と比べると華やかで個性的になってきています。しかしビジネス社会では、ジーパンやカジュアルな姿で仕事をすることは、一部の業種を除いて通用しません。はじめは無難な服装から入るようにしましょう。
① 男性の服装のポイント
一般的なのは紺・グレーあるいは茶系統のスーツです。柄物を選ぶ場合、ストライプはごく細いもので無地に近いものにします。ワイシャツは、一般的には白をお勧めしますが、色ものにする場合には、淡いブルー・ベージュ・クリーム色程度にしたほうがよいでしょう。
② 女性の服装のポイント
入社してからしばらくはブラウスにスカート、それにカーディガンを羽織るだけといったスタイルも活動的で良いものです。しかし、改まった席に出る時などには、おとなしい色でオーソドックスなスーツにしましょう。何通りも組み合わせのきくセパレーツなどは便利です。スカートはタイトかセミフレアーのものがよいでしょう。
これが服装の基本条件
① 相 手の人は服装によって、常識や信用を瞬時のうちに見定めます。上品さによって信頼感を感じさせるようにしましょう。
② 誰にでも好感をもたれる服装にするのが、ビジネス社会では大切です。
③ 服には「体を守る」基本機能と、「自分をアピールする」二次機能があります。ビジネスマンは体が資本ですから、健康の管理面から基本機能の良いものを着るようにしましょう。
にじみ出る上品さを身につけよう
上品さとは、内面から自然とにじみ出てくる品位のことです。職場での派手な化粧や数多いアクセサリーなどは、仕事に必要のないものです。
仕事の時には働きやすく、スポーツをするときには動きやすく、遊びのときには体に楽なもの、公式の場では雰囲気に合ったものというように、その状況にあった服装・身だしなみが、最も上品さを感じさせます。
もしあなたが、大事な用事を誰かに頼むとしたら、上品な人に頼みませんか。あの人ならしっかりしていて大丈夫だと思うのは、身についた上品さから受ける信頼感からくるものなのです。
ビジネスウエアのポイント
男性
⑴ ネクタイはスーツと調和したもの
⑵ スーツの色は紺、グレー・茶系統で無地に近いもの
⑶ ワイシャツはぴんとアイロンのきたもの
⑷ カバンは黒か茶色で、手あかが付いていないもの
⑸ 折り目のついた膝の抜けていないズボン
⑹ 靴下は黒が基本で、紺、グレー、茶色など、スーツの色と合わせる
⑺ 靴は、黒かダークブラウンで、よく磨かれたもの
女性
⑴ 髪型は派手にせずセンスよく
⑵ アクセサリーはアクセントにとどめる
⑶ 服装は活動的で清潔感のあるもの
⑷ 化粧は、明るく知的に
⑸ マニキュアは好感のもてる程度に
⑹ バッグは使いやすいものを選ぶ
⑺ スカートはTPОに合わせる
⑻ ストッキングは肌色が無難
⑼ 靴は疲れにくく動きやすいもの
3.会社の一員として守るべきルール
会社に一歩入った瞬間から、あなたはビジネスマンとして、会社で決められたルールや習慣を身につけ、それを守っていかなければなりません。
雑用を頼まれても手を抜かない
仕事の中には、雑用に近い仕事があります。特に任入社員には、コピーを取ってほしい、パソコンを打ってもらいたい、さらに○○部長に書類を届けるようにといった、雑用的な仕事をよく頼まれるものです。
こうしたとき、「なぜ、こんな仕事を俺に命じるんだ」といった、不平・不満を抱く人もいます。しかし、それは心得違いというものです。コピーとりを例にとると、ただ機械的にボタンを押す人と違い、一枚一枚、神経を使って丁寧にチェックしている人のほうが、コピーがきれいだし、出来上がりも美しいものです。
どんなに簡単な仕事でも手を抜かず、真剣に取り組む姿勢が大切です。それを上司はちゃんと見て評価するものです。
銜えタバコをしない
最近は健康志向で、オフィスでも指定された場所以外での喫煙を禁じている会社が増えています。
職場における喫煙は、取り扱いの難しい問題ですが、限られた空間の中では、喫煙者は嫌煙者に配慮しなければなりません。少なくとも、銜えタバコで仕事したり、歩きながらの喫煙はやめましょう。
また接客や商談中にタバコを吸うときには、相手に断るのがマナーです。しかし、相手が吸わない場合は、我慢するのが礼儀でしょう。
時間を厳守する習慣をつける
時間にルーズな人だというレッテルを貼られてしまったら、ビジネスマンはおしまいです。会議への出席、顧客との約束時間、得意先訪問などでは、約束の時間の五分前には着いている習慣を身につけましょう。
同僚とお金の貸し借りをしない
お金の貸し借りは友情さえ壊しかねません。気をつけたいのは小銭の立て替えで、小額の場合、借りたほうはつい忘れがちですが、貸したほうは忘れません。
一回借りて問題がなければ、二回、三回と癖になり、ついには大きな借金をかかえるようになってしまいます。お金にルーズな人の評判が最悪で、たとえ仕事ができても出世は望めません。
口止めされたら口外しない
口が堅いことは信用を得る第一条件です。口止めされたことを周囲に漏らさないのは勿論、他人にプライバシーにかかわるものや他人の悪口はいけません。面白がって聞く人も「共犯者」とみなされますから注意しましょう。
4、日を決めて整理整頓をする
机は仕事をするときの思考の場であり、作業する場であり、そして作業道具や資料を入れておく格納庫でもあります。
机の中にはなるべく私物を入れないようにしましょう。また、机の上には必要最小限のものを置くのが能率的に仕事を進めるポイントです。
いつも整理整頓を心がける
席を離れる時には、書類などを机の上に広げたままにしておいてはいけません。次の三つの観点から、片付ける習慣をつけましょう。
① 機密保持を習慣付ける
出しっぱなしの書類は誰の目に触れるかわかりません。重要書類でない場合でも同じです。日頃から気を抜けない習慣をつけましょう。
② 紛失・汚損を防止する
書類などを一枚でもなくせば、それを捜すための労力・時間はばかになりません。誰かが誤ってお茶をこぼしたりすれば面倒なことになります。それが重要書類であれば始末書ものです。
③ 美観を損なわない
乱雑な机は来訪者の心証を害し、だらしない印象を与えます。オフィスの美観は信頼につながるものだという認識を持ちましょう。
また、机の整理整頓が大切です。書類を出そうとしてすぐ出てこないために、探すのに汗だくになっている姿は好ましいものではありません。
引き出しの中にボールペン・鉛筆・便箋などは、必要以上にたまりがちです。毎月一回、日を決めて整理し部門ごとに一か所に集めておき、必要になれば、その中から再使用しましょう。
引き出しの上手な使い方とは
机には両袖型と片袖型がありますが、ここでは一般社員用の片袖机について、使い方を説明します。
① 中央の引き出し
この引き出しは面積が広いので、ごちゃごちゃになりがちです。よく出しいれる伝票類・便箋・住所録・名刺入れ・定規・電卓など、仕切り板を有効に使って区分しましょう。
② 右上段の引き出し
鍵がかかる引き出しなので、印鑑や重要な書類を入れておきます。ただし、財布や現金を入れておくのはやめましょう。事故が起きたら後の祭りです。筆記用具は、作りつけのペン皿を利用します。
③ 右中段の引き出し
現在進行中の仕事にかかわる書類を入れておく便利です。終わったらファイルし、下段の引き出し移します。書類は散らばりやすいので封筒に入れたら、仮にファイルに綴じて、背表紙に件名を書いておきましょう。
④ 右下段の引き出し
保管書類を入れておきます。項目別に見出しをつけ、一目でわかるようにしておくのがコツです。
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