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PM3時半無性にラーメン食べたくなり、電車を降りて一刻も早くといわんばかりに足早にかつて入ったことのない薄汚い店へ吸い込まれて行った。こんな時間でもラーメン食べる人はいるんだと思い、私は意外と手際よく出来上がった味噌ラーメンに向かった。思えば、前回ラーメンを食べたのは東京にいる親戚に当たる方の友人3人と東京大学赤門近くで食べた味噌バターラーメンだった。講演にも参加し彼の「ババァはいいよ」の文字が目に焼き付いた、なんともいえぬ心地よい一日だった。今日のラーメンは面も硬く、スープもこれと言った工夫はされておらず、ミソといった単調でたわいない味だった。浮かぶチャーシューも透けるくらい薄く、脂身ばかりで客が私を含め4人入っているのが不思議にさえ思えた。今日の私は1時間も並んでやっと口にできた6年前岡山で食べた塩ラーメンに勝る味と未だに出会ってなかった。恐らく今は一緒に並んでくれる仲間も「暇」もなく、あの一時間の楽しみがスープに溶け込み食べた私を満足させたことだろうと会計しながら思った。
外は突然の雨のせいで少し慌しく見えた。自販機の下に落としたコインを拾うサラリーマン、薬局の道へ吐出された商品を片付けるアルバイト、開かない傘をいじり雨に濡れたままのお婆ちゃん、なにが可笑しいかバガ笑いをする高校生、交差点で口付けし合う若いカップルを見つめる自転車の後ろに乗せられた可愛い子、「サービス券が入っています」カン高い声で顔の近くまで突き出すビラ配りの若い子に「右手にカバン、左手に風と格闘しながらやっと支えている傘を捨ててまで受取れっていうのか」と心の中突っ込んだ私。コンクリートで固められた町がわずかながら雨のおかげで淀みが払われ、信号待ちで傘差し、一列に並んだスーツ姿の男性たちふっと新種昆虫の群に見えた。
6月は伊香保温泉に行くとなり、今日は少し前へ進んだ気がした。 |
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