(1)「およそ報道に携わる者は、厳正で中立的な立場に立ち、事実に基づいた客観的な報道を行うべきである」
今の日本でのこの命題に異を唱える人は、おそらくほとんどいないであろう。そしてまた多くの人が、たまには間違うことがあるにしても、新聞に書かれていることはおおむね
(注1)
正しく、記者の主観とは離れた客観的な事実であると信じているはずだ。それは日本のマスコミがこれまで、そうした「客観報道主義」を標榜してきた結果だ。これに対してフラ
(注2)
ンスなどでは、ある事柄に対して筆者の意見や判断をはっきり述べる、いわゆる「主観報道」、オピニオン紙的な報道の仕方が主流である。米国でも記者やメディアの主張を明確にするニュージャーナリズムが評価された時期もあった。それでは本当に日本の報道はそれほど客観的なのだろうか?
(注1)おおむね:だいたい
(注2)標榜する:行動の理由や目標にする
【問い】 「それほど」とあるが、どの程度か。 24
1 アメリカやフランスの報道と同じ程度
2 多くの日本人が信じている程度
3 主観報道より優れていると言える程度
4 まったく間違いがないと信じられる程度
(2)現代の東京は一極集中都市の限界に至ったとして、今や遷都論、展都論などがか
(注1) (注2) (注3)
まびすしい。確かに過密住宅、交通戦争、ゴミ戦争の実態を思うと、ひとときは耳を貸さないわけでもない。しかし、それほどの問題を抱える都市ならば、通常人口が激減するはずである。それがさほどでないばかりか、東京を職場とする人々の首都圏人口は、増えつづけている。一方、外国人のなかには、東京を日本の代名詞のように考えている者もあれば、東京にいなければ日本がわからないという人もいる。そして、ロンドン、パリ、ニューヨークのような国際都市であると考える人たちも増加している。このように( )。
(注1)遷都:首都をほかの場所に移すこと
(注2)展都:首都の機能の一部をほかの場所に移し、分散させること
(注3)かまびすしい:やかましい
【問い】 この文章の( )の部分には.どんな文が入るか。 25
1 東京の欠陥を指摘する声も高ければ、東京の魅力を喧伝する人もある
2 東京の環境が悪化するという予測もあれば、更なる発展を予測する人もある
3 東京の人口が多いことのマイナス点を指摘する人もあれば、プラス面を説く人もある
4 東京の閉鎖性を問題にするものもあれば、国際性を主張する声もある
(3)現在の日本は食料の量と種類の分配における、いちじるしい社会格差をもたず、
(注1)
とびきり上等の料理を別とすれば、外食でプロの料理人のつくる味も民衆が楽しむことができ、料理技術に関する情報の偏在もない社会――「食の民主化」が達成された社会――
(注2)
―となっている、といわざるを得ない。そんないい社会に住んでいる覚えはないといわれるかもしれないが、世界にはもっと食に関する社会的格差のいちじるしい、不平等な社会がたくさんあり、巨視的にそのような社会との比較をしてみた場合、世界のなかでも国民
(注3)
の食をめぐる経済や文化の平均化現象が、もっとも進行した社会のひとつであるといってさしつかえない。
(注1)分配:分けて配ること
(注2)偏在:あるところにかたよって多く存在すること
(注3)巨視的:物事に対する全体的な見方
【問い】 「食の民主化」とは、どのようなことか。 26
1 外食でプロがつくる料理は平均的な味がすること
2 民衆がすばらしい料理技術を持っていること
3 食料の量や種類、料理の技術に、社会格差がないこと
4 世界の経済や文化の平均化現象のこと
(4)下のA~Dは、それぞれア、イ、ウ、エのどこかに入る文です。
日本列島の面積は小さいが南北に細長い。
その上 ア
一国で イ
日本列島に ウ
いうまでもなく エ
A それはこの国が水に恵まれていることと、植物の生長著しい春から夏の時期が、気温も
高くなり、夏には高温多湿、時には耐えがたいほどの湿気が国土の大半を覆うということと切り離すことができない事実である。
B これだけ長い海岸線と南北の緯度の差を有する国はごく少ないのではないかと思う。
C 茂る植物の種類の多さも世界的で、ヨーロッパの十倍以上だとか、いや五十倍も多いの
ではないかとか、そんな風に聞いたことがある。
D 四面が海に囲まれているため、海岸線はきわめて長い。
【問い】正しい組み合わせのものを選びなさい。 27
1 ア:D イ:A ウ:C エ:B
2 ア:B イ:D ウ:C エ:A
3 ア:B イ:C ウ:A エ:D
4 ア:D イ:B ウ:C エ:A
[ 本帖最后由 浪迹的小鱼 于 2008-12-2 09:15 编辑 ] |