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发表于 2009-7-12 11:12:47
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6.枕草子(まくらのそうし)
◆成立:平安時代
◆作者:清少納言(せいしょうなごん)
◆ジャンル:随筆(ずいひつ)
◆序文:春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、紫だちたる雲の
細くたなびきたる。
◆特徴:身の回りの出来事を、鋭い観察眼と豊かな感受性で書きつづった良作。
特に、当時の宮廷人の美意識を「をかし」の理念で書き表したことで知られる。
三大随筆の一つとしても知られ、平安時代の代表作品の一つですね。
▼「清少納言(せいしょうなごん)」はどんな人物だったか?▲知っている人も多いかもしれませんが、そもそも“清少納言(せいしょうなごん)”という名前は本名ではなく、今でいうところのアダ名みたいなもののようです。その由来は諸説あるようですが、彼女の家が“清原家”だったことから、清原の“清”に“少納言”という官位がつけられて後世に伝えられたようです。
清原家は学者を多く排出した家系として知られ、父親の清原元輔(きよはらのもとすけ)は『後選和歌集』という勅撰和歌集の選者として知られています。元輔の娘として生まれた彼女は、平安時代の女性としてはめずらしく古典的教養の世界に興味を持ち、その知識を深めていきます。当時、古典や漢文は男性に求められた教養であり、その意味で清少納言が男の学問にばかり興味を示すことに元輔たちはあまりいい顔をしていなかったと想像されますが(笑)、学問に優れた彼女は、当時摂関政治により勢力を誇っていた藤原氏の娘である中宮定子(ちゅうぐうていし)にいわゆる家庭教師的な立場として仕え、活躍しました。中宮定子の“中宮”とは当時の女官の官位の一つであり、皇后の次に高い位。要は、天皇陛下の奥方たちのNo.2に仕えたわけですね。
▼「枕草子」とはどんな作品なのか?▲
「枕草子」は、清少納言が宮廷生活の中で心に残ったできごとなどを、感じたままに書きつづったものであると言われています。感じたままに書きつづるというのは実はとても大変な作業であり、それが後世に残る名作としての力を持ったということから、清少納言の文筆能力は相当高かったのでしょうね。
作品は約300の章段で構成されており、内容的には主に次の3つにわけられるようです。
類纂的章段(るいさんてきしょうだん),,,,,,「ものづくし」の段とも言われ、自然や人の世の出来事を特色によって集め表現したもの。
随想的章段(ずいそうてきしょうだん),,,,,,自然や人の世の出来事の美的世界を描いたもの。
回想的章段(かいそうてきしょうだん),,,,,,宮仕え生活を回想しながら描いたもの。
「枕草子」の中で最も重要視されている美的感覚「をかし」は、当時の宮廷人が感覚的に理解していたものを的確に言葉で表現したとされ、この作品の内容上の特色として特に知られています。(※「をかし」,,,,,口語訳では「しみじみとした趣がある。風情がある」などと訳されます。)
7.源氏物語(げんじものがたり)
◆成立:平安時代
◆作者:紫式部(むらさきしきぶ)
◆ジャンル:物語文学。今で言う小説。
◆序文:いづれの御時にか、女御,更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごと
なききはにはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。
◆特徴:世界最古の長編小説と言われ、全54巻からなる大作。構想が雄大で特に人間関係や心理描写が精緻であることで知られ、作品全体に渡って流れる「もののあはれ」の情趣は、枕草子の「をかし」の理念とよく対比される。
こちらも、「枕草子」と並んで必ず覚えておくべき平安文学の一つ。
これは、「枕草子」の方が一話一話が短くわかれており出題しやすいこと、テーマがわかりやすいこと、表現が「源氏物語」に比べて比較的平易であることなどがあるのでしょうね。
▼「紫式部(むらさきしきぶ)」とはどんな人だったのか?▲
「紫式部(むらさきしきぶ)」も、これは本名ではありません。一説によると、(1)「源氏物語」のヒロインの“紫の上”の“紫”に、(2)父や兄の官位である“式部丞(しきぶのじょう)”を組み合わせたものだ、と言われています。彼女も清少納言同様、学者肌の家系に生まれ、文学,学問に恵まれた環境の中で育ちました。生きた時代も清少納言と同時期であり、中宮彰子(ちゅうぐうしょうし)に仕えることになります。「源氏物語」は宮中に出仕(≒今で言う就職)する前から書いていたようですが、これが宮中の女官たちの間で大ヒットし、紫式部はその名を広く知られるようになりました。
その教養の深さ,女官としての立場などから、当時清少納言のライバルと目されていたようです。
▼「源氏物語」とはどんな作品だったのか?▲
「源氏物語」を読んだことがなくても、主人公「光源氏(ひかるげんじ)」の名前を知っているという人は意外と多いのではないでしょうか。作中では、輝くばかりに美しいと表現されており、そこから=光る君となり、そこに天皇陛下から賜った源氏という姓により“光源氏”と呼ばれるようになったようです。
光源氏の母親は、「源氏物語」の冒頭で述べられている通り、天皇陛下に仕えた女官の中でも身分が低い方でした。そんな身分の低い女性が、たまたま天皇陛下の目にとまり、寵愛され、子どもが出来てしまったわけです。源氏の母親(=桐壺更衣:彼女を寵愛した天皇が桐壺帝といい、更衣とは女官の官位の一つからそう呼ばれた)は、天皇陛下の周りにいた、たくさんの女官たちの恨みを買うことになってしまい(逆恨みですが)、心労のあまり若くして病死してしまいます。
幼くして母親と死別した光源氏は、以後自分の母親の影を追い続けて、数多くの女性たちと関係を持ちました。現代人の感覚からすると、マザコン(笑)で女性にだらしのない人物に見えてしまう部分がありますが、それでもなお愛すべき人物として伝えられるのは、女性に対しての一途さと、晩年の苦悩に垣間見える後悔の姿からなのでしょうか(むろん、イイ男だったということも大きく影響しているのでしょうが)。
「源氏物語」という作品の魅力は、私がここでクドクドとお伝えするよりも実際に読んだ方が良くわかる。
とはいえ、原作の古典を中,高校生の方が読もうとしても、十中八九挫折するでしょう(笑)。かくいう私も、高校時代にチャレンジしましたが、光源氏が生まれる前で挫折しました(恥)。
そこで私がオススメするのは、「あさきゆめみし」です。「源氏物語」を原作としたマンガの中で最もオススメのこの一作!
★をかしとあはれの違いについて★
上でも解説しましたが、「枕草子」と「源氏物語」はその美的感覚,理念について次のような対比をされています。
「枕草子」:“をかし”の文学
「源氏物語」:“あはれ”の文学
“をかし”と“あはれ”は、口語訳してしまうとどちらも「しみじみとした趣がある」「風情がある」というように訳されてしまいますが、言葉の奥に秘められた意味には次のような違いがあるんですね。
“をかし”,,,,,,対象を客観的,批判的に観察し、とらえた結果に対して優れていると判断される
ものを賞美する気持ち。
“あはれ”,,,,,,嬉しいにつけ、悲しいにつけ、心の底に深くわき起こるしみじみとした感動。
ちょっと乱暴なわけ方ですが、“をかし”は理性的,理論的に感じた美しさ,素晴らしさを表現するのに対し、“あはれ”は理屈でなく感動したことを表現する言葉である…と考えるとわかりやすいでしょうか。
実際に、「枕草子」の序文などを見てみると、春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。とあります。「春の夜明けは、だんだんと(夜が明けて)白くなっていく山の端が…(略)素晴らしいのよ」というように、理論的に春の夜明けのどこが美しいかを語っているわけですね。逆に、「源氏物語」はどこがどうと例は挙げられませんが、光源氏を中心とした人間関係の愛憎劇を通して人を愛することの素晴らしさ、悲しさなどを書きつづったもので、その卓抜した心理描写の中に当時の宮廷世界の美しさを表現していると考えられるわけです。“をかし”も“あはれ”も、どちらも平安貴族の代表的な美的感覚,理念であったわけですが、このように異なる切り口から自分の文学世界を展開していったところに、「枕草子」と「源氏物語」、「清少納言」と「紫式部」が比較される理由が見られるということになります。
4.平安時代作品紹介編Ⅲ
年表で紹介した作品について、簡単に内容を解説しておきます。
作品ごとの、大事な特徴などはしっかりとおさえておきましょう。
8.更級日記(さらしなにっき)
◆成立:平安時代
◆作者:菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)
受験テクニックとしては、「蜻蛉日記」の作者である藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)と混同しないように…というくらいで十分でしょう。
更級日記について、簡単に内容に触れておきましょう。
この作品は、作者の菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)が、少女時代から老境までの約40年間の人生を回想した日記文学です。
物語の世界にあこがれた夢多き少女が、両親の生きざまや結婚生活など、厳しい社会生活を通していくうちに世の中に幻滅し、仏にすがり来世を願うまでをつづっています。
9.今昔物語集(こんじゃくものがたり)
◆成立:平安時代
◆ジャンル:説話集(せつわしゅう)
◆特徴:総数1000余にのぼる説話が収められており、各説話は最初が「今は昔」
ではじまるという特徴を持つ。
書名の「今昔」は、出だしが「今は昔」ではじまることに由来するのは、一目瞭然ですね。
「今昔物語“集”」の“集”を書かず、「今昔物語」とする言い方もわりと一般的ですが、正確には「今昔物語集」の方が正しいそうです。
余談ですが、今昔物語の巻二九ノ一八に“羅生門の上の層に登りて死人を見たる盗人の語”という話がありますが、これを基にしたお話が芥川龍之介の「羅生門」だったりします。 |
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