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楼主: ophelia

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 楼主| 发表于 2004-9-20 16:44:31 | 显示全部楼层
4-6月の供給側GDPは7%成長 (2004.08.25)

  さてそのGDPだが、やはり4-6月の年率1.7%成長に疑問を抱きたくなるような指標が出た。6月の第三次産業活動指数と、同月の全産業活動指数だ。いずれも事前の予想を上回る強いものとなったが、4-6月全体で見ても、第三次産業活動指数が前期比1.6%増、全産業活動指数は、前期比1.8%増となり、前期比0.4%成長に止まったGDPとの乖離が目立つ。



  第三次産業活動指数の強さは、おもに企業向け分野の好調によるが、個人消費関係も良好だ。消費も最近はサービス関連の需要が伸びていて、GDPベースの個人消費が、こうした動きを追いきれていない可能性を示唆している。また、全産業活動指数は、そのカバレッジの広さから、供給面から見たGDPとも言われる。今回、こちらの指標が年率7%を超える高い伸びとなったことから、年率1.7%という「予想外の低成長」となったGDPとのギャップが一層目立つ結果となった。

  もちろん、GDPと全産業活動指数との間には、技術的に乖離する要素がいくつもある。付加価値部分の抽出や季節調整の結果等々だ。今回とは逆に、GDPの方が高く推計されたケースもある。しかし、財務省の「法人企業統計」如何とはいえ、設備投資関連の指標やサーベイ調査と、今回の全産業活動指数とをあわせて見ると、実態的な設備投資やサービス需要は底がたく、来月10日に発表されるGDPの二次速報値が上方修正される可能性が高まった。

  一方で、米国のGDPは、6月の貿易収支が大幅に悪化したことから、外需が下方修正され、GDP全体でも下方修正される可能性が高い。日本の上方修正が現実のものとなれば、あらためて「3期連続で日本が米国の成長を上回る」形となる可能性が出てきた。
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 楼主| 发表于 2004-9-20 16:45:31 | 显示全部楼层
ドル膠着 (2004.08.25)

  米国大統領選挙もヤマ場を迎えている。30日からはブッシュ大統領の共和党大会が開かれる。一般に、大統領選挙前にはドルが強くなるケースが見られるが、今回は選挙戦同様に、このドル買いも盛り上がりに欠けている。実際、ドル円もこのところ膠着状態にある。

  ドルを圧迫している要因としては、まず対外赤字が拡大していることがある。6月の貿易赤字は月間で558億ドルにも達した。金利引上げ局面でこれだけ赤字が大きくなると、それだけ債券相場を不安定にする。これを緩和しようとすれば、景気の減速かドル安を受け入れざるをえない。

  原油価格もここまで高くなると、ドルをサポートする面よりも、米国景気への負担がより意識されるようになり、むしろ売り材料とされた。最近では原油高が景気を圧迫するとして債券買い、つまり長期金利の低下が生じるほどだ。

  また、米国では映画『華氏911』や書籍では『9.11調査レポート』に国民の関心が寄せられている。これが同時多発テロのトラウマを象徴するように、ドル資産への不安につながっている面がある。よりにもよって、共和党大会はそのニューヨークで開かれる。「選挙前のドル高」は、今のところ影を潜めており、円が上昇しやすい地合になっている。
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 楼主| 发表于 2004-9-20 16:49:18 | 显示全部楼层
数字の一人歩き (2004.09.01)

  7月の失業率が4.9%に上昇し、消費者物価の下落幅が前月に比べて幾分拡大したために、「デフレの払拭進まず」の声が広がった。日銀の量的緩和修正は遅れる、との思惑から、市場金利が低下した。



  しかし、今般の物価下落幅拡大とデフレの連関は薄い。中には、今年のおコメが豊作のため、コメ価格が下落するので消費者物価の下落が続き、従って日銀のゼロ金利解除の条件はしばらく満たされない、との議論まで飛び出す。これではデフレ論議が無視され、単に消費者物価の下落という数字が一人歩きしている感がある。

  7月の全国ベースの消費者物価コアは、前年比0.2%の下落となったが、このうち、パソコンなどの教養娯楽耐久財が前年比12.2%の下落となり、また電気冷蔵庫などの家庭用耐久財がやはり9.2%下落している。この二つで全体の物価を0.3%押し下げている。これらは、デフレが強まって価格が下落しているというより、技術革新によるコストダウンによって価格引き下げが可能になっている面が大きい。

  おコメの価格下落にしても、いわゆる「デフレ」とは無縁だ。今年は天候に恵まれたこともあり、おコメが豊作と伝えられる。豊作は投下労働力に対して、生産、収穫量が多いことを意味し、労働生産性が上昇したことに等しい。このため、単位コストが低下するために価格を引き下げられる。これで全体の消費者物価が下落するとしても、デフレの悪化を意味するわけではない。サンマの豊漁も同じだ。

  日銀がゼロ金利解除の3条件として、真っ先に上げているのが「消費者物価の安定的なプラス」だが、これは本来デフレからの脱却を意図したものだ。デフレを定義する際、「物価が持続的に下落する状態」があげられるために、これを条件としたのだろうが、これは必ずしもデフレを体現したものではない。経済がデフレ状態に無くても、生産性上昇やコストの低下、制度変更などで物価が持続的に下落することはある。

  政府・日銀が恐れたデフレとは、物価の下落を伴いながら、生産・所得の縮小連鎖、つまりデフレ・スパイラルに陥る事態であったはずだ。しかし、これは生じなかった。物価の下落が続いている中で、生産は増加し、企業収益はバブル後最高水準にまで高まった。何より、政府・日銀ともに景気の回復を確認しており、それも過去2回とは異なる腰の強さを見ている。日銀の3条件に拘わらず、日本経済は既にデフレの淵から脱出している。物価の下落をもって、空前のゼロ金利政策に拘泥するのは、いささかリスクが大きい。
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 楼主| 发表于 2004-9-20 16:49:54 | 显示全部楼层
逐次在庫調整 (2004.09.01)

  景気の先行き不安に追い討ちをかけたのが生産の下ぶれ。7月は大方の予想を下回って、前月比横ばいに止まった。生産予測指数を前提とすれば、7-9月は前期比0.6%程度の伸びとなり、これも4-6月の2.6%増と比べると「減速」感が否めない。実際、この数字を受けて株価は大きく下落し、債券が買われた。

  しかし、これをもって先行きを悲観視する必要は無い。現在の生産・在庫バランスは、「在庫積み増し」局面にあるが、7月はまたも在庫の微調整を行い、生産の「回復年齢」がまた若返ったからだ。時計と逆回りする循環の渦巻き図に従えば、一段と若い「4時」の位置に戻っている。それだけ先々の重石が軽くなったことになる。現に、7月に生産を抑えた電子部品・デバイス工業や輸送機械などが、8月以降は生産を増やす計画となっている。企業の小刻みな在庫調整が、生産の大幅かつ長期の調整を回避する形になっている。

  ちなみに、前回の景気や生産のピークであった2000年を100として、今日のレベルを比較すると、7月は生産が100.7となっているのに対し、出荷は103.4と、当時を3.4%上回っている。この結果、在庫は87.8と、当時の水準を1割以上も下回り、在庫の管理圧縮が進んでいる。

  また、今回の回復局面では、02年の夏場から在庫の積み増し局面、時計でいえば6時から3時の間に入ってきたが、以来約2年間、この同じ所に止まっている。しかもその中で着実に生産が増えている。企業が逐次小刻みに在庫調整をしているために、生産を増やしながらも同じ在庫バランスを長期間維持できるようになったのだ。今後、かつてのような過剰在庫の調整による生産の停滞が生じる可能性は小さくなった。
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 楼主| 发表于 2004-9-20 16:50:47 | 显示全部楼层
あのNYで共和党大会 (2004.09.01)

  大統領選挙がデット・ヒートを展開しているが、ブッシュ大統領は、最後のヤマ場となる共和党大会を、あえて9.11テロの現場となったNYで開催した。マンハッタンではいつに無く厳しい警戒態勢がとられているようだが、この決定の裏には、ブッシュ大統領がテロ戦争に断固たる姿勢を取るとの強い意向が窺われる。市場にはここでのテロを警戒する声があがっているが、大統領としてはテロに屈しない強い政府を強調したいとの思いがある。

  ここにケリー候補との大きな違いを見せつけようとした感があるが、二人の間には、ここまで見た限り、経済政策や外交戦略にあまり大きな違いが見られない。イラクへの介入を強めるブッシュ政権に対して、批判的なケリー候補はイラクから米兵を早期に引き揚げる可能性がある。その一方で、ブッシュ大統領が欧州や韓国など、海外の米兵を長期的に削減し、帰国させる、としているのに対して、ケリー候補は反対している。海外派兵に伴う財政圧迫に対しては、ブッシュ案が赤字縮小につながるのに対して、ケリー候補の姿勢は派兵コストが減らないことになる。

  一般にはテロ対策と称して、二期目も軍事予算を拡大しそうなブッシュ大統領が、短期的には景気に拡張効果をもたらし、反面ケリー候補は軍事予算や金持ちへの減税を縮小して財政赤字を縮小させようとする分、景気にはネガティブと捉えられる。

 


  しかし、実際のところは、ケリー候補が勝っても、イスラエルとの親密な関係は変わらず、イラク、中東戦略は、現在のブッシュ戦略と大差ないものになるのではないか。金持ち優遇減税を止めても、代わって弱者への支出が増える。財政赤字半減目標がブッシュ大統領の2009年までなのに対して、ケリー候補は2008年までと、1年しか違わない。マクロの財政政策としては、大きな違いは無い。

  あえて違いを上げれば、ブッシュ大統領が軍事、エネルギー分野の利益に貢献しそうなのに対し、ケリー候補はウォール・ストリートの利益を考慮し、金融面から経済を支える傾向が予想されることだ。

  中東以外の外交戦略では、ブッシュ政権が中国の南進政策(南シナ海の石油確保や、南に領土、覇権を広げる)に強い警戒を示し、台湾統一を拒むのではないかと予想されるが、一方のケリー候補は、中国、北朝鮮に接近する可能性がある。日本の外交戦略、政治体制にもこの点では大きな影響を及ぼすだろう。日本との関係で言えば、ブッシュ・小泉蜜月関係に対して、ケリー候補はスーパー301条をちらつかせて、対日強硬路線をとる可能性が指摘される。彼が勝てば、日本側も政界再編などを経て、新しい政治体制での受け皿が必要になるかもしれない。
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 楼主| 发表于 2004-9-20 16:51:30 | 显示全部楼层
景気悲観論は修正へ (2004.09.08)

  この一ヶ月ほど市場を覆っていた景気の悲観論が、ようやく解きほぐされようとしている。今般の景気悲観論のきっかけとなったのが、予想外に弱かった4-6月期のGDP成長率。その主因が設備投資の急ブレーキであった。多方面からこの数字に対しては違和感が提示されていたが、今般の『法人企業統計』(財務省)が、この「違和感」を裏付ける結果となった。

  つまり、企業統計から見た4-6月期の経済は、企業収益が「増収増益」のテンポを加速し、その中で非製造業が設備投資に積極化してきたために、設備投資全体が「急ブレーキ」どころか、一段と伸びを高めていたことがわかった。数字で示すと、売上高は1-3月期の前年比2.4%増から4-6月期は同5.4%に加速。経常利益も、1-3月期の前年比24.6%の増益から、4-6月期は同34.3%増益に加速した。

  問題の設備投資も、二つの統計を比較しやすいように、ともに名目の前年比で比較してみると、GDP統計では1-3月期の9.5%増から4-6月期は4.0%増に減速した形になっていたが、今回の法人企業統計では、1-3月期の10.1%増に対して、4-6月期も同10.7%増となり、引き続き二桁増が続いていた。



  中でも注目したいのは、非製造業の設備投資が積極化してきたことだ。一般に、今回の景気回復は、輸出主導で、輸出関連の製造業が牽引してきたと言われる。このため、設備投資も製造業が積極的なのに対して、非製造業に出遅れ感があった。従って、輸出が先細りとなれば製造業の生産や設備投資が落ちて、景気そのものが減速する、との懸念が広がっていた。しかし、今回の企業統計では、その流れとは別に、非製造業が設備投資を前年比13%も増やし、製造業を上回る伸びとなっている。これは、現在の景気回復が、輸出に大きく依存するだけではなく、より裾野の広がった回復になっていることを示している。

  この法人企業統計を受けて、10日に発表予定のGDP二次速報値は、前回の年率1.7%成長から、年率3~4%に上方修正される可能性が高まった。行過ぎた感のある景気悲観論のきっかけとなったGDPが上方修正されるとみて、すでに株価や円相場は上昇をみせている。
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 楼主| 发表于 2004-9-20 16:52:09 | 显示全部楼层
中央銀行の足並み (2004.09.08)

  世界のおカネが自由に駆け巡るようになって、少なくとも主要国間の相場がシンクロ化を強めている。ここ数年、欧米やカナダ、豪州の長期金利の動きを比較すると、ほとんど同じ形で重なる。日本の金利水準は欧米と多少乖離しているものの、波を描くタイミングはほとんど重なっている。株価も上昇する局面では主要国こぞって上昇し、下げもまた歩調をあわせる。

  その中で主要国の金融政策も、昨年までは日米欧がこぞって金融緩和を進め、世界に流動性を供給してきた。それが昨年暮れから英国が利上げを開始し、続いて米国がこの6月から利上げを開始した。一方、ECBはまだ様子を見ているものの、年内にも利上げに出るのではないかと目されている。これに対して、日本はまだ空前の超金融緩和政策を続けている。ここまでのところは個々ばらばらだ。

  主要国の間で、ある国が水道の蛇口を閉めにかかり、ある国が蛇口を緩めてジャブジャブ水を流したのでは、政策効果が減殺される。では利上げ側と緩和継続と、どちらに収斂するのか。

  まず米国だが、一時弱い雇用や小売の数字などから、利上げも一服との観測がおもに日本で広がった。しかし、FRB首脳からは引き続き景気には強気の見方が示され、暗に利上げ継続が示唆されていた。そこへ今般の雇用統計が、14万人の雇用増、賃金上昇率の高まりなどを示したことから、急速にFRBの見方を支持するムードが広がっている。既に市場では「今月21日のFOMCでも25bpの利上げ」がコンセンサスとなっている。

  景気判断においては、市場の弱気論に対して、当局の強気に軍配が上がった形だ。また、当局の頭には、住宅価格の上昇、原油の高止まり、単位労働コストの上昇から、インフレ懸念がよぎるようになり、更に対外赤字が一段と拡大したことに対する危機感が大きな部分を占めるようになったと考えられる。同時に当局は、一連の利上げは「引き締め」ではなく、緩和の度合いを縮小して、金利を中立水準に戻すとの認識にある。FRBの利上げはまだ続くと見たほうが良い。

    

  次に、機動性にかけるとの批判を受けがちなECBはどうか。このところレポ金利を2%に据え置いたまま、微動だにせず、まもなく米国に追いつかれそうになっているが、トリシェ総裁の発言から、近々ECBが利上げに出る可能性が窺われる。つまり、彼は先週の記者会見で、過剰流動性について言及し、これが貸し出しを通じて住宅や地価など、資産価格の上昇につながる点を指摘した。これは流動性の適切な管理、という面から利上げがなされる可能性を示唆したともとれる。欧州の景気回復は遅れていたが、ここへ来てドイツも含めて、予想外に強い指標が出るようになっている。これもECBの利上げを後押しする。ECBの利上げ開始も近いと見られる。

  翻って日本だが、長年にわたる超金融緩和にも拘わらず、過剰流動性が住宅や地価の上昇につながるような事態には至ってない。景気回復でも対外赤字が制約になる状況どころか、一段と证蛄铯徂zんでいる。その限りでは緩和の矛盾は無いように見える。

  しかし、次の2点は無視できない。まず、現実の成長率のみならず、潜在成長率までもが回復に転じ、物価の下落が止まるようになった結果、「テーラー・ルール」などで示される適正金利水準は、もはやゼロではなく、プラスの領域に入りつつある。実体経済がプラスの金利とバランスするような状況下で、いつまでもゼロ金利という異常な政策を続けてゆけば、福井総裁が自ら指摘する「ビハインド・ザ・カーブ」に陥る。しかも、プライスレスの異常な状態を長期間続けたために、短期金融市場など、多くの市場で機能不全が生じている。この矛盾が大きくなる中での政策転換は、それだけ大きな軋轢を呼ぶ。

  もう一つは、金融のグローバル化が進む中で中央銀行の足並みが乱れると、それぞれの政策効果が打ち消しあう。日本が一人緩和を続けても、欧米で金利引上げが起こり、市場金利が上昇すれば、日本の債券市場も影響を免れない。逆に日本が蛇口を全開すれば、欧米の引き締め効果を減殺する。結局、日欧も含めて、世の流れは金融緩和の縮小、金利上昇に向かうことになるだろう。
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 楼主| 发表于 2004-9-20 16:52:39 | 显示全部楼层
GDPショックと景気は別 (2004.09.15)

  GDPの四半期変化と景気の動きは別物だ。先週は「GDPショック」で株価が再度反落し、10年国債の利回りが一時1.5%を割り込んだ。内外のメディアにも日本経済に対する「失望」、「先行き不安」を指摘する声が広がった。しかし、景気を判断する指標として、欧米ではGDP成長率を用いるケースが多いのに対し、日本では必ずしもGDPは重用されない。日本のGDP統計は、欧米に比べてブレが大きく、しかも事後的な修正が多いことも一因だ。実際、景気の転換を判定したり、景気の短期的な動きを見たりする場合は、個々の指標を合成したいわゆる『景気動向指数』が利用されることが多い。GDPは長期的な基調を見る上で、補足的に使われるのが一般的だ。

          

  それでもGDPが最も包括的な指標であり、市場での評価が高いために、この指標の結果に一喜一憂することがしばしば起きる。今回もその一例といえる。しかし、統計の性格、限界から、せいぜい3期移動平均値など、均して見る必要がある。これでみれば、今回の数値は「堅調」であって、少なくとも「急減速」ではない。まして今回の数字は、景気の「先行き不安」を示唆するものでもない。現状と先行きについて、以下の点を考慮すれば、さほど心配には及ばない。

  まず、4-6月期の実質成長率を押し下げたのが、民間在庫と公共投資。この二つでGDPを0.6%押し下げた。言い換えれば、これ以外の需要は年率4%近い成長を続けていることになる。そして、在庫は、以前にも示したように、最近は小刻みな調整がなされるようになっていて、かつてのように在庫調整が1年も1年半も続くようなことは起こり難くなっている。恐らく、続く7-9月期には、在庫がGDPを押し下げる事態は回避されるとみられる。

  もう一つの公共投資についても、足元では確かに「公共工事出来高」が落ち込んだが、その先行指標である「公共工事請負額」は下げ止まっている。これも4-6月期に見られたような大幅な減少は続かず、7-9月は成長の足枷にはならないと考えられる。

  次に、今後の景気減速の犯人にされている輸出だが、ここまでは全く減速の気配が見られない。4-6月も年率15%近いペースで拡大している。また、輸出減速の要因される米国景気について、ウォール街のエコノミストの間では、年後半に3.5-4.0%に成長加速という見通しがコンセンサスになっている。また、中国景気についても、8月の固定資本投資(設備投資や住宅投資など)は前年比26%増と、前月の32%増からは減速したが、依然として高い伸びを続け、同月の小売売上は前年比13%増と、こちらは減速がみられない。米中景気から見る限り、日本の輸出がすぐに減速するとは考えにくい。内閣府の『景気動向指数』は、足元も拡大が続き、先行指数が先行きも拡大持続を示唆している。
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 楼主| 发表于 2004-9-20 16:54:12 | 显示全部楼层
政治化の季節 (2004.09.15)

  11月2日の米国大統領選挙が近づくにつれて、経済をはじめとして、多くの分野で米国発の政治化が進みやすい。特に未だに両候補がデッド・ヒートを展開しているだけに、余計その力が強まりやすい。

  まず、小泉首相の訪米に際し、21日には日米首脳会談が予定されている。ここではブッシュ大統領をサポートするような提案がなされる可能性がある。一つは、首相訪米直前の閣議に、ぎりぎり間に合わせた郵政改革。郵政事業を4つに分社化し、民営化を進める過程で、米国資本がこれに参入するチャンスが生まれる。特に簡易保険については、外資から熱い視線が注がれている。

  今ひとつは不良債権の最終処理における外資の導入だ。既に流通やカード、ホテル、不動産の売買などに、米系を中心とした外資の動きが活発になっている。今後もこの処理を推進し、外資の積極的な導入をアッピールすることだろう。

         


  更にまた、ブッシュ、ケリー両候補が接戦を演じている州がいくつかあるが、そこでの製造業、農業票を確保する観点から、為替のドル安円高策が提案される可能性が一部に指摘される。米国内にも巨大化する経常赤字に歯止めをかけるべしとの議論が高まっているだけに、これが受け入れられる可能性はある。

  次に米国サイドからみると、21日には大統領選挙前では最後のFOMC(連邦公開市場委員会)が開かれる。一般に選挙戦が接戦を演じている場合、政策変更が一方の候補に利する可能性があるため、そこでの金利変更は敬遠されることが多い。しかし、今回は市場や議会にも「緩やかな利上げ傾向」の認識が定着しているため、特段の政治配慮は必要なさそうだ。

  原油価格が高止まりしているにもかかわらず、市場には当面の景気堅調とする見方が多い。また、双子の赤字が危機的水準にあり、利上げが選挙前の景気に影響を及ぼす面は小さいことから、今回も0.25%の利上げが選択される可能性が高い。

  外交面では、イラク戦略については両候補に大きな違いがないため、ここでの動きは考えにくい。一時はロシアのプーチン大統領から、原油の供給並びに、ロシア兵を4万人、イラクへ派兵するといった話もあったようだが、ロシア国内でのテロの激化でプーチン大統領自身が窮地に追い込まれている。それだけに、ロシアからのブッシュ支援が実現するか、不透明になっている。

  むしろ、6カ国協議の開催を渋る北朝鮮に対して、米国の苛立ちが高まっている。ブッシュ大統領の「強いアメリカ」は、北朝鮮への強硬路線の形となって現れる可能性がある。
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 楼主| 发表于 2004-9-26 17:35:47 | 显示全部楼层
日米同時財政危機への対応 (2004.09.22)

  日米の財政当局が、ともに危機感を強めている。今年度の米国財政は、8月までの11ヶ月で既に4,000億ドル(44兆円)を超えた。イラク戦費の膨張がこたえているが、抜本的な手を打たずに当面の戦費拡張を考えると、政府の掲げる「5年で財政赤字を半減」は絶望的に見える。

  一方の日本、02年度の国の貸借対照表によると、特殊法人などを加えた国の連結ベースでは、「債務超過額」が前年度に比べて約40兆円も増え、252兆円に達した。その後も年に40兆円余りの税収のところへ倍の80兆円余りの歳出を組むから、現時点での「債務超過額」は300兆円を超えていると思われる。もっとも、日本の危機感を高めたのはイラク戦費ではなく、長期金利上昇による財政負担の膨張だ。財務省は、国債費を算出する際に用いる10年国債の想定レートを、来年度は2.7%に引き上げた。

  こうした危機的状況に対して、どちらも長期金利の上昇抑制に傾く点では共通するが、個別の対応はだいぶ異なる。

  まず米国の対応だ。イラク戦費の拡張は避けがたいだけに、その他の軍事費を押さえるために、欧州や韓国に駐留する米軍を削減、帰国させ、経費の大幅な圧縮を図る。一方で日本に対しては、座間基地をはじめとしてより戦力の強化を図る。こちらに関しては経費を日本が持つために、米国の負担は増えない。

  更に、米国は経常赤字も危機的水準にあることから、ドルを下げて外需の増加を図り、これで貿易赤字の削減と共に、カネのかからぬ景気対策、税収増を図る。ドル安円高となれば、日本の介入が再開し、これで米国の財政赤字ファイナンスも何とかなる。一石三鳥だ。



  その日本については、関心事が昨年までのデフレ、円高から、金利上昇に明らかにシフトしている。ドル円がこのところ110円前後で安定していることもあるが、政府の為替に対するコメントはほとんどきかれなくなった。多少の円高なら、むしろ金利上昇を抑制する点で受けいれられる、ということだろう。

  もっとも、こうした小手先の対応では、日本の財政赤字はどうにもならないところまで来ているだけに、最近ではここ数年続けてきた所得税の定率減税を見直す動きが出ている。一般に、所得税の増減税は、消費よりも貯蓄に跳ねやすい。つまり所得税の増税は、消費を減らす面よりも、貯蓄の減少を招きやすい。

  ところが、近年、日本の家計貯蓄率は大きく低下しており、日銀の貯蓄・投資バランスによれば、足元では家計部門の貯蓄超過が消滅し、投資超過になっている。こうした中で増税を行った場合、従来のようには貯蓄の減少で吸収しきれず、消費の抑制につながる可能性が高い。

  財政を構造的に見直すのであれば、公的部門の肥大化を見直すのも一案。一般に公共投資の削減ばかり議論されがちだが、公的部門の経費に相当する「政府最終消費」が、GDPに比べて伸び率が高く、肥大化が進んでいる。例えば、1980年度の名目GDPに占める政府最終消費の割合は13.3%であった。これが01年度には17.6%余にまで高まっている。政府部門の経費が80年度並みに、GDPの13%余に収まっていれば、中央・地方合わせた政府の経費支出は、年間22兆円近く少なくてすむ計算になる。この20年間の累積では、なんと100兆円以上の政府債務を拡大させたことになる。
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 楼主| 发表于 2004-9-26 17:37:59 | 显示全部楼层
ゼロインフレも多面的 (2004.09.22)

  先週スイスがゼロ金利から脱却したのに続き、米国でも21日、FRBが「異常な低金利はもはや不要」として、3回連続の利上げに踏み切った。



  これに対し、日本ではいわゆる「出口論」が後退し、長期金利が再び低下気味となっている。きっかけとなったのが、先週の福井総裁の発言や植田審議委員の講演内容。植田委員は「インフレが下振れしたときのコストがより大きい」、「景気減速が強まれば、追加緩和も検討」と発言。その流れで、10月の『展望リポート』でも、来年度の消費者物価上昇率予想がゼロ近辺になる、との思惑がひろがり、10年国債の利回りがまた1.5%を割り込んだ。

  確かに、景気が明らかに減速し、後退に向かっているような状況では、インフレ率がゼロないし小幅のプラスとなっても、金融政策の転換を図るのは難しい。しかし、景気が回復拡大を維持する中では、逆にいつまでも「消費者物価の安定的なプラス」にこだわって「異常な緩和」を続けていると、日銀も認めるところの「ビハインド・ザ・カーブ(政策対応が後手に回る)」に陥る。

  そもそも消費者物価は、経済のデフレ性を測る上での万能尺度ではない。戦後の高度成長期には、卸売物価が生産性上昇などをうけて、ゼロないし小幅下落を続けた一方、消費者物価は賃金の下方硬直性や政府の規制などがあって小幅上昇を続けた。しかし、当時は卸売物価の「継続的なゼロないし下落」をもって"デフレ"と称することもなく、消費者物価の持続的な上昇を持って"インフレ"と称すこともなかった。経済の高成長を背景に、これらの物価動向は、総じて「安定」と評価された。

  翻って今日の状況は、需給改善のもとでコスト高になってきたため、企業物価が上昇傾向にある一方、消費者物価は賃金の上方硬直性や政府の規制解除、生産性の上昇などから、ゼロないし極小幅の下落となっている。問題は、こうした消費者物価の動きが、「異常な緩和措置」を必要とするデフレを表象しているか、ということだ。

  3年前は一部にその不安はあった。消費者物価の下落が企業収益を圧迫し、これが雇用・賃金の圧縮、消費、生産の縮小、という悪魔のスパイラルを引き起こすリスクが懸念された。もっとも、これは1%の消費者物価下落自体が必然的にもたらすものではない。たまたまバブル後の疲弊した経済のなかで、循環的にも需給ギャップが拡大し、そこに「改革」の波風がたったことが重なったためと考えられる。

  そして、この事態をまず企業が自ら克服し、企業のバランス改善に努め、次第に収益力を高めていった。この4-6月期の経常利益は、前年比30%以上の増益(財務省『法人企業統計』)となっている。そして、景気も輸出だけに依存するのではなく、設備投資、個人消費の拡大に支えられたものに進化している。同じゼロインフレでも、その背後にある経済は大きく変革し、改善している。

  日銀の植田委員は、「どこかで賃金の下落傾向は止まり、消費者物価の持続的な上昇が始まる」という言い方をしている。ということは、企業が賃金上昇を抑制することがデフレで、それが続く間はゼロ金利政策を続ける、と言っているようなものだ。ゼロ金利政策はいつの間にか変節してしまったようだ。

  内閣府によれば、需給ギャップは4-6月の時点でほぼゼロになった。潜在成長率を2%程度とすると、「適正金利水準」はプラスの1~1.5%ということになる。日銀は「ビハインド・ザ・カーブ」のリスクを犯してまで異常な緩和を続けて、将来インフレ増税を起こし、財政負担を軽減することまでコミットするつもりだろうか。
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 楼主| 发表于 2004-9-30 21:12:14 | 显示全部楼层
50ドル原油でダウ1万ドル割れ (2004.09.29)

  原油価格が再び高騰、WTI先物は最高値を更新し、ついに50ドルの大台に仱护俊T驮趲欷螠p少がきっかけとなったが、その前から需給を逼迫させる材料が続発していた。石油精製基地のあるフロリダには、毎週のように大型ハリケーンが襲い、石油精製の操業率が20%も低下、アフリカ最大の産油国であるナイジェリアでは、油田の集中するニジェール川大三角州の石油利権を巡って内紛が激化、サウジアラビアやイラクではテロによって原油の産出、輸送が阻まれる事態が頻発している。こうした状況では、米国政府による備蓄原油の臨時貸出も、焼け石に水であった。



  この原油高によって、米国では所得の流出、需要減退の不安が広がり、ニューヨーク・ダウは一時1万ドルを割り込み、10年国債の利回りは、節目の4%水準を割り込む場面も見られた。思えば、FRBが利上げを始めたとたんに長期金利が低下したことも異例だが、原油価格がこれだけ上昇する中で、やはり長期金利が低下することも異例の事態だ。第一次、第ニ次石油ショック当時はもとより、最近では99年の原油価格上昇時にも、長期金利は大きく上昇していた。

  この原油高による株価下落、長期金利低下は、米国から日本にも波及している。また長期金利の低下は、主要国に共通の現象となっている。しかし、欧州では産油国の英国のみならず、大陸諸国においても、株価は底固い動きを維持している。欧州経済が日米より良好というわけではなく、また原油高騰の影響が日本より軽微ということでもないはずだ。

  長期金利が共通して低下しているのは、原油価格が上がってもインフレにはならない、とのコンフィデンスが広がっていることの反映と考えられる。これに対して、株価の反応が、日米で弱く、欧州が堅調な背景には、現実の経済成果の違いではなく、期待の差が現れたと思われる。つまり、日米については、先行きの期待が大きかった反面、これに失望をもたらす弱い指標が集中し、日本ではこれに増税論議が重なったため、今度は先行き悲観論が広がった。そこへ原油価格が高騰したために、その需要減少面がより強く意識された。反面、欧州経済は相対的に出遅れたため、ここからは失望よりポジティブ・サプライズが生じるとの期待がある。これが投資資金の欧州株シフトを呼んだ。

  期待や悲観は、それが行過ぎれば、やがて修正が起こる。そもそも原油価格の上昇は、地球上から需要が消滅するわけではない。石油消費国から産油国に所得が移転するだけだ。だから日米などで一旦需要は減退するが、中東やロシア、インドネシアなどの経済は潤う。現にこれら地域の株価は上昇している。モノやカネは国境を越えて動く。いずれ需要、所得の取り戻しはできる。またIT化の効果もあって、景気の変動パターンが従来と変りつつある。それだけに、悲観論が修正されるのも、そう先の話しではないと考える。特に、6~7%の名目成長率に対して4%という米国10年債利回りは不安定で、いずれ名目成長率に近づく形で上昇するだろう。
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 楼主| 发表于 2004-9-30 21:14:37 | 显示全部楼层
景気不安の円売り、不均衡不安のドル売り (2004.09.29)


  しばらく110円前後で膠着していたドル円が、やや円安側に動いている。北朝鮮での大規模爆発に続いてミサイル発射準備?との情報から、改めて日本の地政学リスクが意識されたことが発端。更に、原油価格が50ドルを超えて最高値をつけるようになったことから、「原油高→世界景気の減速→輸出主導の日本経済に打撃」の図式で円売りと捉えられた。北朝鮮の脅威と原油高から、一時円は独歩安の形になった。反面、豪ドルや英ポンドなど、資源国通貨が強い。

  この原油高と日本の景気に関しては、当初日本がほぼ100%原油を輸入に依存しているから、産油国でもある米国より負担が大きい、として円売り要因とされた。しかし、その後産油国米国は、今や世界一の原油輸入国になっていることや、エネルギー効率の面で日本に劣ること、などから、むしろ米国の負担のほうが大きい、との評価が広がり、この面からの円売りが難しくなった。そこへ米国の景気先行き不安が台頭するに至って、今度は米国景気が減速すれば、日本の輸出が落ちて、日本の景気も打撃を受ける、との論理にすりかわった。




  結局、円を売りたいグループが、理屈はともかく、原油高が日本の景気にマイナス、という論理で円売りを仕掛けたということではないか。この論理の難点は、まず日本の輸出に影響するほど、米国景気が落ちるのであれば、景気全体は日本よりも米国の落ち込みのほうが深刻になっている可能性があること。次に、日本の景気が仮に減速したとしても、日本の景気とドル円との関係は一様でない。90年代前半のように、日本の景気が長期的に低迷していた時期に、円は持続的な上昇を見せていたくらいだ。

  一方のドルもけっして強いわけではない。ユーロに対してはまた1.23ドル台まで下げている。原油価格の上昇が需要を圧迫するだけでなく、米国の対外赤字を一段と拡大する点が懸念され、あらためてドルの切り下げ論が台頭している。実際、4-6月期の経常赤字は、GDPの5.7%という空前の水準になっている。

  大統領選挙が終わってしまえば、原油高で景気が減速しても、米国はこれを許容できる。もともと、大統領選挙の後には、一旦景気を冷やしておいたほうが、次の選挙戦略を立てやすくなる。その限りでは、原油高の景気抑制には目をつむることもできる。しかし、原油高で輸入が水脹れし、経常赤字が更に拡大すると、そのファイナンス如何で長期金利が大きく上昇するリスクがある。特に、前述のように名目成長率と対比して、現在の金利水準は低すぎるだけに、修正が入ったときの上昇幅(相場の崩れ)は、それだけ大きくなりやすい。海外資本がドルに不信感を持ち、しかも日本が介入で資金を供給できなくなれば、そのリスクは更に高まる。長期金利の上昇は、景気に負担となるばかりでなく、米国財政をも圧迫する。

  この経常赤字の拡大に歯止めをかけるには、早めのドル引き下げが必要、との議論が出てきている。一般にドルの先安感を醸成することは、米国への資本流入にとってかえってマイナスだ。だから同じドル下げでも、先安感を出さないように、短期間で下げたほうが良い。また、ドル安円高であれば日本が為替介入、米国債購入の形で支援することも出来る。これは米国の長期金利上昇を抑制する面もある。日米の協力体制が維持されていれば、米国の為替政策は自由度が高い。週末のワシントンG7には、一応チェックを入れておいたほうが良いかもしれない。
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 楼主| 发表于 2004-10-10 22:44:40 | 显示全部楼层
ロシアがカギを握る原油相場 (2004.10.06)

  先週末、ワシントンで開かれたG7は、米国大統領選挙前であったこともあり、事前に多くの思惑が飛び交っていた。米国に有利になるよう、原油価格の引き下げ、ドル引き下げ、人民元切り上げへの一歩が踏み出されるのでは、といったことなどだ。もっとも、OPECのメンバーがG7に参加するわけではなく、中国も夕食会への参加程度であれば、原油や人民元に対する込み入った話がなされる環境でなかったことも事実。

   

  結局、経済邌婴我摔筏虻盲啤⑹澜缃U済が順調に拡大している、と自画自賛した以外は、原油相場、ドル、人民元、いずれに対しても新しい材料は出なかった。これを受けて、ドル、原油には「安心の買い」が入った。ドル円は111円台を回復し、WTI先物は51ドル台をつけた。では、この先も原油や為替が無風状態で行くかといえば、そうではないだろう。

  まず原油相場に対しては、今後ロシアの影響力が一段と高まりそうだ。一時大きく落ちこんでいたロシアの原油生産も、プーチン大統領のもとで日量1,000万バレル近くにまで高まり、サウジアラビアと肩を並べるまでになっている。恐らく、サウジアラビアよりも、政府の裁量による生産量のコントロールの余地は大きいと思われる。

  そのロシアは、ここまでもユーコス社の経営動揺などを通じて、原油市場に大きな影響を及ぼすようになっている。プーチン大統領は、原油をロシアの重要な国家戦略資源と位置付けている。今後、大統領選挙を控えたブッシュ大統領にエールを送るとすれば、ロシアが原油の供給を提案し、原油価格、ひいてはガソリン、ヒーティングオイルの価格引き下げに協力するシナリオも描ける。ナイジェリアの内紛が終息の方向とすれば、今後はロシアが最大の相場変動要因になると思われる。

  一方の人民元については、米国の圧力もあって、事実上の小幅引き上げは視野に入りつつあるが、ここへきて中国と北朝鮮国境での緊張が高まっている。このままでは北朝鮮の核問題に対する6カ国協議の開催も危ぶまれる。中朝関係がこじれ、紛争に至るようだと、人民元の取り扱いも先送りされる可能性がある。
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 楼主| 发表于 2004-10-10 22:46:55 | 显示全部楼层
増税論議に欠けるもの (2004.10.06)

  日銀短観の発表を機に、景気に対する行過ぎた悲観論が後退した。企業収益の拡大を背景に、企業の業況判断が、製造業を中心に一段と改善し、設備投資計画にも底固いものがみられた事が大きい。実際、この短観をみて、日本株、円が買い戻され、債券が売られた。それだけ景気への悲観論が株や円、長期金利を、実勢以上に押し下げていたことがわかる。

  景気への安心感が戻ったから、というわけではないだろうが、その裏で密かに増税論議が進んでいる。この10月から社会保険料が引き上げられ、これから「配偶者特別控除」などが廃止されて、実質的な増税が予定されている。さらに来春には国民年金保険料も引き上げられる。これらをあわせると、家計の負担は1兆円以上増えることになる。




  それだけではない。99年に景気対策の一環としてなされた所得税・個人住民税の定率減税についても、05年度、06年度の2年間で縮小・廃止する方向で話が進んでいる。景気が回復してきたから、もう役目は終えたということのようだ。これによって約3兆3千億円の税負担が高まることになる。

  まだある。政府税調は05年度税制改正に向けて、消費税の引き上げについても集中審議するという。小泉首相は、在任中の引き上げはないとしているが、論議は別ということらしい。そうなると、首相の途中退任が早まった場合、消費税の引き上げも早くなる可能性がある。まずは論点整理から、ということだが、技術的な問題に入る前に、基本的な認識の整理が必要だ。

  まず、赤字の埋め合わせを、歳出のカットでするのか、歳入を増やしてするのかという問題がある。経済が右肩上がりの時代には、財政部門の拡張も吸収できた。しかし、この右肩上がりの前提が崩れると、政府による徴税、再配分の拡大は困難になる。にもかかわらず、いずれ経済が右肩上がりに戻ると思い込み、歳出を拡大し続けたところに赤字拡大の源泉がある。従って、この10年余りの間、右肩上がりの前提が崩れてしまったにもかかわらず、歳入を「右肩上がり経済」であったかのように増やせば、当然納税者に過大な負担がのしかかる。

  それでも国防上の問題や国民の生命、財産を脅かすような問題が生じて支出が増え、その財源確保が必要、というなら国民も税負担の増加に納得しうる。しかし、そうでもないのに、ただ無駄な支出が増えているだけなら、納税者は無理な税負担に納得しない。実際、今日においては、介護保険や公共事業の例に洩れず、公正な所得の再配分や経済効率に疑問を抱く分野が少なくない。予算を配分したら終わりでなく、国民の税金が最終的にどう使われたのか、成果、結果のチェックも必要で、そこから歳出の削減余地は出てくるはずだ。

  以前にも示したように、名目GDPに対する政府最終消費の比率は、この20年の間に4%も上昇している。500兆円のGDPの4%は20兆円になる。欧米に比べれば、政府部門の比率は高くない、という理由だけで、この肥大化は正当化するわけにはいかない。名目成長率が低くなってしまったなかでは、税の自然増収は期待できない。国民の税負担を増やす前に、まずは歳出の見直しをするのが政府の責務だ。

  次に、歳出規模の維持が国民の納得を得られたとしても、今度はどういう形で歳入を増やすかの議論になる。目下のところ、定率減税の縮小・廃止、消費税の引き上げが中心となっているが、いずれも個人の負担ということになる。その点、今般の景気回復は、企業が「3つの過剰」を圧縮することにようやく成功し、収益力が高まって投資需要が回復したことによる。その裏では、銀行の収益吐き出しと、労働分配率の低下が進行している。家計は景気回復の中でも賃金が高まらず、貯蓄の縮小で消費を維持拡大してきた。

  家計貯蓄率が低下すると、増税分を貯蓄の削減で吸収する余地が低下する。所得が毎年増え、貯蓄が高まっていた時代には、増税してもこれを貯蓄減で吸収できたので、消費はほとんど影響を受けなかった。しかし、昨今のように貯蓄率が低下すると、貯蓄で吸収出来ないため、そのまま消費の減少に跳ね返るリスクが大きい。歳入増の手段も、家計負担に偏ることなく、国(国有財産の処分など)、企業とのバランスにも配慮が必要だ。
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