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15課 「アメリカ」はどうなるのか?
アメリカは金融危機、不景気にどう対応するのか?
オバマ新政権はどう舵をとるか?
1、傷ついた金融・投資筋は回復するのか?
サブプライム問題、金融危機でアメリカの金融・投資家たちは深い傷を負いました。日本の銀行に当たる「商業銀行」は規制が厳しいため投機活動も抑制されるので、それほどのダメージは受けませんでしたが、規制の緩いファンド(資金)運用会社や、投資銀行は軒並み(のきなみ)深いダメージを負うことになりました。
たとえば 、短期でお金を借りて、CDSやサブプライムローンなどで、稼ごうとした投資家はほとんど倒産状態に陥り、証券会社も大きなダメージをうけました。
その代表とした例として、アメリカ有数の投資銀行であるメリルリンチや証券会社のリーマン・ブラザーを上げることができるでしょう。保険会社のAIGも大損失を被りました。
もちろん、お金持ちや、大学などから資金を受け入れたか利回りで運用するヘッジ・ファンド(対沖基金)も大打撃を受け、今は運用しても成績が上がらないので、どんどん資金を引き揚げています。
2、短期金利市場への資本注入
アメリカの金融機関はサブプライム問題や金融危機を通じて大きなダメージを受けました。
そのため、FRB(BOARD OF GOVERNORS OF THE FEDERAL RESERVE SYSTEM.またはTHE FEDREAL RESERVE BOARDの略で「連邦準備(制度)理事会」のことで日本銀行に当たる]を中心に、民間金融機関に対していろいろなサポートをしています。
特に「フェデラルファンド」(日本のコール市場(30ページ参照)にあたり、銀行間の資金のやりとりをするマーケット)に対して、資金がスムーズに流れるようにいろいろな保証をつけたり、コマーシャルペーパー(企業向けの無担保・短期の約束手形)を直接購入したり、とにかく積極的に資本を注入しています。
というのも、サブプライム問題や金融危機の後遺症で、銀行同士が、ほんとうに相手の銀行は信用できるのかという疑心暗鬼に陥り、機能停止状態になっているのです。そこで、資金がショートしないように、FRBが短期資金を大量に供給して、積極的に救済に乗り出しているというわけです。
大規模な公共事業を実施する
また、政府は、減税や大規模な公共事業を行なうことで景気に活を入れることを計画しています。
この場合、どこに予算をつけて、減税を含めてどういう公共事業を行なうかがポイントになるでしょう。これは、日本についても同じことがいえます。
オバマ新政権はどう動くか?
共和党には、能率の悪い銀行はつぶれてもしかたがないという考え方が基本にあります。一方、民主党は、もっと弾力的に対応しようという考え方なので、こういう危機的状況の場合は、民主党の方が向いているとみることができます。
たとえば、銀行への貸し付けや資本注入を積極的に展開するでしょう。
ただ、金融の安定化は、もはやアメリカー国ではどうにもならない状況にあります。そのためヨーロッパと連携・協調しながら対応することになるでしょう。公共事業などについても、大型予算を組んでやらざるをえないでしょう。
サブプライム問題・第二弾の可能も……
実は、サブプライム問題には続きがあります。というのうは、サブプライムローンほどではないにしても、信用度の低い層を対象とする「オルタナブA型」という商品があります。そのローンの焦げ付きも始まっているのです。このローンも証券化されて、幅広く売られています。アメリカの住宅ローン問題に関しては、まだまだ安心はできないのです。 |
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