京都には名のある庭が数多(あまた)ある。その京に暮らした詩人の天野忠が語ったそうだ。「庭の良し悪(あ)しは、厠(かわや)の小窓からのぞき見すると、よお分かります。庭が油断してますさかい」。文学者の杉本秀太郎さんが著書『火用心(ひのようじん)』で回想している。
京都名园众多。文学家杉本秀太郎先生在其著作《火烛小心》中回忆道,生活在京都的诗人天野忠曾说过:“庭院的好坏,你只要从其茅房的小窗户往外一瞧,就十分清楚了。因为这是庭院最为疏忽的”。
たしかにどの庭も、人目を浴びる方向には体裁をつけている。だが裏手からは素(す)の顔が見える。油断しているから本性が表れる。薄っぺらな造りか、本物の庭か。詩人は庭へのまなざしを、人間観察に重ね合わせていたのだろう。
确实,无论哪个庭院都将众人注目之处打理得漂漂亮亮的。可从其背面则往往能看出真实面目。因为这是它疏忽了的一面,所以本性暴露无遗。到底是真正的庭院,还是浅薄的堆砌——诗人投向庭院的这一瞥,恐怕也同样用在人品观察上的吧。
英国のブラウン首相も、思わぬ「厠の小窓」から本性が割れたようだ。選挙の遊説中、支持者の女性と移民問題で立ち話をした。笑顔で応じたが、車に乗ってドアを閉めるや「頑迷な女だ」「あんなのと話させるな」。毒づいたのを、外し忘れたピンマイクに拾われた。
据说英国的布朗首相也在无意之中被人从“茅房小窗”处看透了本性。在大选的巡回演说途中,他与一位女性支持者就移民问题站在路旁聊了几句。聊的时候他还是笑语从容的,可钻进汽车关上车门后立刻就冒出了几句恶毒的话语:“冥顽不化的傻女人”、“以后别让我跟这种人对话”。问题是这几句话被忘了摘除的袖珍话筒传了出去。
もともと口下手で愛想はよくない。それゆえに誠実なイメージもあったが、国民は「正体見たり。よお分かりました」といったところだろう。「ブラウンの終わり」と報じた新聞もあるそうだ。
这位仁兄本就拙嘴笨腮的不讨人喜欢。原先还似乎给人以鲁直的印象,这下国民们恐怕是“看到了真面目,看透了其本质”了吧。据说有的报纸已经刊出了《布朗之末日》的报道了。
この国で騎士道精神は尊い。だが女性は、笑顔で別れた直後に、背後から一太刀浴びた思いだったろう。「選挙中に政治家が犯した英国史上最悪の失言」と言う識者がいるのも頷(うなず)ける。
那个国家是崇尚骑士精神的。那位女士肯定觉得在笑脸相别之后,受到了背后一击了吧。因而对于认为“这是英国历史上参选政治家所犯下的最为严重的失言”的有识之士,鄙人也十分认同。
自ら率いる労働党、それに保守党に加え、選挙では自由民主党に異例の勢いがある。労働党は目下、一番の風下にあえいでいる。伝統的な二大政党制が崩れるなら、失言は「歴史的」の冠を戴(いただ)くことになろう。そのとき首相が恨むべきは、ピンマイクではなく己である。
此次大选中,在他所领导的工党之外,保守党以及自由民主党的声势都异常浩大。眼下,工党仅在最下风处苟延残喘。倘若有着长期传统的两大政党体制发生崩溃,那么这次失言恐怕就要戴上“历史性”的桂冠了。到那时,首相应该怨恨的是他自己而不是那个袖珍话筒。 |