本帖最后由 penzoe 于 2010-12-8 17:37 编辑
すでに地図の空白がなくなった現在、地理的な冒険や探検といった行為は、時間が経つにつれてどんどん不可能になってきている。ジャーナリストの本田勝一は、冒険の条件として「命の危険性」と「行為の主体性」の二つをあげているが、近代の冒険は、その後者が重要なのだ。それはつまり自己表現の問題とも密接に関わってくる。ここでいう表現とは、地図上の誰にもたどったことがない軌跡を描くという意味である。これまでの人類の歩みを俯瞰して、その隙間を見つけ、自分なりの方法で空白を埋めていく行為と言い換えることもできる。わかりやすいところでは、登山に置けるバリエーション・ルートや、8000メートル峰を無酸素で登ることや、厳冬期にどこそこを横断するとか、はじめて大陸の最高峰に全部登るとか、そういうことだ。未踏の地がなければ、テント店を結んで誰もおこなっていないことをすればいい。〜中略〜 地理的な空白がなくなった時代を生きる現代の冒険家たちは、そこに特別な自分なりの題材を見つけなくてはいけない。だからこそ冒険者はアーティストでもあるといえる。(P179)
「最後の冒険家」石川直樹(集英社)
http://d.hatena.ne.jp/sukemat/20090517 |