咖啡日语论坛

 找回密码
 注~册
搜索
12
返回列表 发新帖
楼主: winny

[好书推荐] (全文完)松本清張 [点と線]

[复制链接]
 楼主| 发表于 2004-12-15 21:14:06 | 显示全部楼层
十三 三原紀一の報告


  鳥飼重太郎様
 ずいぶん、暑くなりました。炎天の下を歩くと靴《くつ》がアスファルトにのめりこみそうです。勤務から帰ってくると、真裸《まっぱだか》になって行水し、井戸水で冷やしたビールがたのしみです。いつぞや、あなたに連れられて、香《か》椎《しい》の海岸に吹きさらされてふるえた、玄界灘《げんかいなだ》の寒風が恋しいくらいです。
 このような落ちついた気持で手紙を書くのは久しぶりです。あなたにはじめて博《はか》多《た》でお目にかかったのは今年の一月でした。香椎の海岸で、玄界灘の吹きさらしの風にふるえながら、あなたのお話を聞いてから、七カ月経《た》ちます。経ってみると早いものですが、捜査に心を追われて一日としてしずかにやすむ余裕がありませんでした。今日は、初秋の陽《ひ》ざしのように心がおだやかです。事件がおわったせいでしょう。困難な事件のあとほど、この憩《いこ》いの気持は格別です。いや、これは先輩のあなたに申しあげるのは釈《しゃ》迦《か》に説法でした。だが、この充実した気持は、事件についてあなたに手紙を書かねばならぬ衝動となりました。それは、あなたにたいする私の義務でもあります。そして私の喜びです。
 いつぞや、安《やす》田《だ》辰《たつ》郎《お》の北海道行きが一番のなやみだとあなたに手紙をさしあげましたね。それにたいしてご親切なご返事をいただき、激励してくださいました。ありがとうございました。どんなに元気づけられたかわかりません。
 安田辰郎が、一月二十日、上野を急行《十《と》和田《わだ》》で発《た》ち、十七便の青函《せいかん》連絡船で函館《はこだて》に渡り、《まりも》に仱盲啤⒁疃蝗铡⒃隙畷r三十四分着という彼の鋼鉄のような主張は破れました。安田が《まりも》の車中で北海道の某役人に会っていること、到着時刻に札幌《さっぽろ》駅で出迎え人に会っていること、青函連絡船では、彼の自筆の伌兔兢肖盲皮い毪长趣胜嗓恰ⅳ长螆预i壁《がんぺき》は私の前にそびえて容易に崩れませんでした。なかでも、もっとも困ったのは名簿の一件です。条件がことごとく揃《そろ》いすぎています。
 一方、航空機の仮定の方は、まったく何も出てきません。東京↓福岡、福岡↓東京、東京↓札幌の三便とも彼の仮名はおろか、合計百四十三人の伩亭⒄{べてみるとことごとく実在者で、確かに仱盲俊ⅳ趣いΔ韦扦埂0蔡铯碾懁扦猡胜い辍ってはいないのです。これも安田の主張の条件は完璧《かんぺき》です。
 つまり、汽車の北海道行きは、有《・》の条件が完成しており、航空機は無《・》の条件が完全なのです。
 しかるに、私が安田が出迎え人を札幌駅の待合室に指定したことから疑問をもち、それは飛行機は遅れることがあるからという懸《け》念《ねん》に出発していると考え(飛行機でくれば、安田が小樽から《まりも》に仱毪长趣赡埽ⅳ饯沃付à坞妶螭悉嗓长榇颏盲郡蛘{べました。それは二十一日の朝、《十和田》の伩亭吵妗钉ⅳ丹啶贰犯督擒囌皮擞毸亭筏侩妶螭扦筏俊\囌皮弦李mの伩亭颏埭à皮い蓼筏俊¥饯稳讼啶椤痢潦·问锊块Lと、随伴の佐々木喜太郎という事務官であることがわかりました。佐々木事務官が電報を渡したのです。
 これで、ぴんと来ました。伌兔兢摔鲜锊块Lの名はあるが、佐々木喜太郎の名はないのです。佐々木事務官が安田辰郎の名簿票を渡して伌筏郡长趣碎g違いはないのです。この随行者のことに、まったく気がつかなかったのは、われわれの迂《う》闊《かつ》でした。後のことですが、佐々木事務官を調べてみると、半月前から伌兔兢斡眉垽虬蔡铯靡猡筏皮い郡趣いΔ韦扦埂
 伌兔兢斡眉垽稀⑶嗌閬船するとき、受付の窓口に、ちょうど、郵便局の電報頼信紙のように何十枚も置いてあるから、誰《だれ》でも勝手に何枚も取れます。これも石田部長が安田に頼まれて、部下の北海道出張者に取って来させたもの、安田はそれに自分の名を書きいれて、ふたたび石田部長に渡したのです。安田と石田の関係は後で説明しますが、安田辰郎の自筆ということにわれわれは引っかかって困惑したが、トリックはこんな単純なものでした。
 安田の北海道行きの問題はこれで消されました。つぎは、旅客機の伩亭坤ⅳ长欷蟻船客名簿の裏返しだと気がつきました。有《・》の条件が無《・》の条件と入れかわっているわけです。
 百四十三人の搭伩汀钉趣Δ袱绀Δ悚筏颉ⅳ猡σ欢葪视懁筏皮撙蓼筏俊¥饯沃肖椤⒚兢擞涊dしてある職業を調べました。われわれはある目標をもっていました。それでしぼってゆくと、五六人に縮小されました。この人たちは、××省にもっとも関係の深い職業、出入りの商社の人たちです。彼らの一人一人について、さらに厳重に追及すると、三人がついに白状しましたよ。
 東京↓福岡はA氏、福岡↓東京はB氏、東京↓札幌はC氏でした。彼らはじっさいには、搭仱筏皮い胜盲郡韦扦埂¥饯欷险{査したらわかることだから、いつまでもしら《・・》はきれません。三人とも石田部長に内密に依頼され、名前を貸したと白状しました。
「非常に秘密な役所の要件で出張させる者があるのでね、万一あとで警察からでもきかれたら、たしかにその旅客機に仱盲郡却黏à皮欷郡蓼āQして迷惑をかけることではないから」
 石田部長はそう言ったそうです。おりから汚職が進展しているので、出張の役人はそのもみ消しに奔走するのだと三人とも思ったそうです。その辺は、出入り商人だから心得たものです。はたして、その後、石田部長から商売上の便宜を与えられました。
 安田辰郎は、A・B・C三氏の名によって東京、福岡、札幌間を旅客機で往復しました。なぜ、一人にしなかったかというと、あとで名簿を調べられたとき、その行動が目だち、ばれそうだったからです。安田辰郎という男は、どこまでも、あとから調査されることを念頭におき、万全を期していたのです。
 こうして、彼の北海道行きが壊滅し、博多行きが証明されました。すると、残る問題が一つある。それは例の東京駅で佐山憲一課長補佐と料亭《りょうてい》「小雪」の女中お時とが、一月十四日、十八時三十分発特急《あさかぜ》に同仱筏郡韦颉⑼概肖味摔繐膜筏郡长趣扦埂¥い洹⒛繐膜筏郡趣いΔ韦悉ⅳ郡椁胜ぁ¥长欷悉ⅳ椁税蔡铯繐膜丹护郡韦扦埂
 佐山とお時とがどのような関係であったかは確証がないからわかりません。お時は利口な女で、「小雪」の女中たちに言わせると、好きな人はあるらしいが、よくわからないと言いました。かばうのではなく、じっさい知らぬらしいのです。一方、お時のアパートでも、男の声で誘いだしの電話があったが、決して相手を連れてくることはなかったという。してみれば、お時にかくれた情人はあるらしいが、正体がわかりません。むろん、それが佐山憲一であったと、両人が香椎で情死した後は、誰もが思いあたるでしょう。
 しかし、ふしぎなことがあります。



 そのような恋仲の者を、どのような理由で安田は、第三者に目撃させたのでしょう。彼らが《あさかぜ》に確かに佨嚖筏凭胖荬诵肖盲郡趣いΔ长趣蛟^明したかったのか?
 だが、特別に《あさかぜ》にする理由はなさそうです。九州行きの汽車なら、なんでもよい。なぜなら、その両人は、九州で情死しているのだから、九州に行ったことは間違いないからです。では、ほかの理由だ。
 佐山とお時とが同車する現場、これを安田が第三者に見せたかったのです。そこで苦労して目撃者をホームに引っぱって行ったのでしょう。つまり、佐山とお時とが恋仲であることを、誰《だれ》かに確認してもらいたかったのです。
 妙な話です。恋人同士を、どうして他人に認めさせる必要があるのでしょう。
 いろいろと考えた結果、佐山とお時とは、恋仲ではなかった《・・・・・・・・》という逆説が出てきました。これだと思いました。恋仲ではないから、恋仲のように他《ほか》の者に確認して証明してもらいたかったのです。
 それにしても、思いだされるのは、列車食堂の一枚の伝票から、佐山は一人で博多に来たのではないか、と疑念をもたれた、あなたの達眼に敬服します。「御一人様」と書かれた文字に、あなたの不審が起り、さらにお嬢さんの恋人心理の話など、私ども大いに啓発されました。確かに、お時は途中で下車し、佐山だけが博多に行っていたのでした。二人は、恋人でもなんでもない、という結論を得ました。
 安田は「小雪」に商売の関係上、客の招待をよくする馴染客《なじみきゃく》でした。佐山は「小雪」には行かないが、お時を知っていました。おそらく、誰も知らないが、安田は佐山とお時と三人で、どこかで何回も会ったことがあるのです。それで、佐山とお時とは顔見知りだから、いっしょの列車に話しあいながら仱辘长螭坤韦扦埂¥饯欷虻谌撙橐姢欷小ⅳい摔饬等送郡伽啶膜蓼袱眯肖顺訾堡毪瑜Δ怂激à郡诉`いありません。安田の狙《ねら》いがこれでした。
 ですから、《あさかぜ》に二人が仱毪瑜Δ斯ぷ鳏筏郡韦习蔡铯扦埂1摔摔悉饯欷扦肓Δⅳ辘饯Δ扦埂
 さて、ここで安田が困ったことがある。ほかの女中に見せるのはいいが、十五番線のホームに行く理由がないから、《あさかぜ》のすぐそばに目撃者を連れて行くわけにはゆかない。彼の狙いは、わざとらしくなく、いかにも偶然に見たようにしなければならないのです。十五番線は遠距離の発車ホームですから、用もないのにそこに行ったのでは作為が知れます。どうしても、他のホームから眺《なが》めなければなりません。それは彼が妻の所にしじゅう行く鎌倉行の十三番線ホーム(横須賀線)を利用するのがもっとも自然で、作為が目だちません。
 しかし彼は困りました。十三番線から十五番線の列車は見とおせないのです。いつも間に列車や電車の発着があって、それに邪魔されるわけです。このことはいつか書きました。それで苦心の末、九州行きの列車を待っている時刻で、しかも十三番線からその列車が見えるのは、一日のうち十七時五十七分から十八時一分の間の、たった四分間しかないことを彼は発見しました。貴重な四分間です。まったく大切な四分間です。
 そこで、前に私は九州行きの列車ならどれでもいいと書きましたが、ここで、十八時三十分発の《あさかぜ》でなければならない必然が生じてくるのです。安田は、二人をどうしても《あさかぜ》に仱护胜堡欷肖胜椁胜盲郡韦扦埂K尉胖菪肖熊嚖扦祥gがふさがれてだめなのです。自然らしく目撃者にふるまうために、この四分間の間隙《かんげき》を発見した安田は偉大でした。おそらく東京駅員も、この四分間の見とおしがあることに気がつくものは少ないでしょう。
 かくて、佐山とお時の出発は、安田の工作であることがわかった。しかし、奇怪なことがある。両人がそれから六日後、香椎の海岸で情死したことです。佐山とお時が青酸カリ入りのジュースを飲んで、お互いの体を密着するようにして自殺したことです。検案書によっても、現場状況(私は写真しか見せてもらえなかったが)によっても、はっきり情死であることに間違いはありません。
 これがわからない。恋人でない者がどうして情死したか。まさか安田が指《さし》図《ず》しても、他人同士で情死まで引きうけて実行するばかはいないでしょう。両人は恋愛の間でなかったと推論しても、情死の現実を見ると、根底から崩れます。やはり情死を決行するほどの深い仲だったとしか思えません。この矛盾がどうしても解けない。
 だが両人の出発が、安田の仕掛けである以上、香椎海岸の情死が、どうしてもちぐはぐなものとなります。かといって、情死の現実は否定できない。この相反する出発と結末の矛盾が、いかに考えても、解決できませんでした。
 が、出発が安田の指図であるかぎり、この情死の結末にも何か安田の臭《にお》いが強くします。私は漠然《ばくぜん》とだが、その直感から脱けられませんでした。私が彼の北海道行きを調べて歩いた間でも、両人の心中当夜、その香椎の現場に安田が影のように立っているのを絶えず確信していました。どういう役割かわからない。まさか催眠術を使って心中させたわけでもあるまい。正気で安田の命令で、恋仲でもなんでもない者が情死するはずもない。が、何かわからないが、どうしても安田を情死当夜、その現場にいあわせたという線を強引にひいてみました。
 さいわい、安田の北海道行きが崩壊し、一月二十日の十五時羽田発の日航機で博多に向い、十九時二十分板付《いたづけ》着、香椎海岸の同夜二十一時ごろの情死時刻には、彼はその現場にいた《・・》証明ができましたが、それなら両人の情死と安田の関係となると、壁に突きあたったように行きどまりました。いかにしても、その推測ができない。私は頭をかかえこみました。
 そんな苦悩のつづくある日、私は喫茶店に行きました。私はコーヒーが好きです。それでよく主任に笑われるのですが、そのときもなんだかくしゃくしゃしたので街へ出かけました。いつもなら行きつけの有楽町の店にはいるのですが、その日は雨なので、近い日比谷のはじめてのコーヒー店にはいりました。
 その店は二階がありました。入口のドアを押そうとすると、ひょっこり若い女が横から来てかち合いになりました。私は紳士の精神を発揮して、先をその女に譲りました。派手なレインコートを着たきれいな若い女です。微笑して会釈《えしゃく》し、先にはいって階段下で店の女の子に傘《かさ》をあずけます。続いてあとから私がはいり、同じく傘を預けようとすると、店の子は同伴だと思ったのか、二つの傘をいっしょに紐《ひも》でくくって一枚の番号札をくれました。若い女は少し赭《あか》くなり、私はあわてて、
「違う、違う。連れではないんだ。べつべつだよ」
 と言いました。失礼しました、と店の女の子は、一つにくくった傘を二つに離し、あらためてもう一枚の番号札をくれました。



 うれしい勘違いをされて、よけいなことを書いたように思われるかわかりませんが、じつは、この偶然なことで、私は不意に啓示を得たのです。私は、はっとしました。頭の中に閃光《せんこう》を感じたとはこのことです。二階にあがり、注文のコーヒーが来ても、しばらくそれが見えませんでしたよ。
 女の子は、私たちがいっしょに店にはいって行ったからアベックと間違えた。普通です。誰《だれ》でもいちおうそう思うでしょう。事情を知らないから、二人でならんではいった位置《・・・・・・・・・・》から早急に判断《・・》したのです。これでした。暗示となったのは!
 私たちは、失礼ながらあなたをはじめ、貴署の方々もふくめて、佐山とお時とがならんで死んでいるから、情死と判断してしまったのです。私は、今、それを知りました。二人《・・》は別々に違う場所で死んだ《・・・・・・・・・・・・》のです。死んでしまってから、二つの死体を一つところに合わ《・・・・・・・・》せた《・・》のです。おそらく、佐山は誰かに青酸カリを飲まされて倒れ、その死体の横に、これも誰かによって青酸カリを飲まされたお時の死体が撙肖欷泼茏扭丹欷郡韦扦筏绀ΑW羯饯趣獣rとはばらばらな二つの点でした。その点が相寄った状態になっていたのを見て、われわれは間違った線を引いて結んでしまったのです。
 男と女とが抱きあわんばかりにして、くっついて死んでいれば、ただちに「情死」だと認定した誤謬《ごびゅう》は、しかし、笑われるべきではないでしょう。それは、古来、何万何千の情死死体がそうだったからです。誰も疑う者はありません。そして他殺でなく、心中死体となれば、検《けん》屍《し》もとかく他殺死体ほど厳重でなく、捜査の発動はまったくありません《・・・・・・・・・・・・・・・》。これこそ安田辰郎が狙《ねら》ったものです。
 あなたは、前に手紙をくれました。その中の文句を私は覚えています。「人間には先入主観が気づかぬうちに働いて、そんなことはわかりきったことだと素通りすることがある。これがこわいのだ。この慢性になった常識が盲点を作ることがたびたびある」まさに、そうでした。男と女がいっしょに死んでいる。わかりきったことだ、情死だ、と思いこむ先入主観に頭脳がにぶったのです。いや、くらまされたのです。敵からいえば、その慢性になった常識で盲点をついたのです。
 犯人は、こうしてみごとにわれわれをだました。しかし、まだ不安がある。それは佐山とお時とは、もともとなんの恋愛関係もないのだから、「情死」の裏づけが必要です。「恋愛関係にあった」という印象です。それが東京駅で、「小雪」の女中に両人の仲のよい出発を見せた理由です。彼は、裏づけまで用意したのです。犯人の心は不安に不安を重ねるものです。どこまでも周到に準備していました。そして四分間の目撃という苦心の時間を発見しました。
 そうだ、そういえば、この事件は、何から何まで汽車の時間、飛行機の時間ばかりです。まるで時刻表に埋まっているようなものです。安田には、はたして、そんな方面の興味があったのか。そんな疑いさえ起ります。これはどうも、時刻表に特別な関心をかねてから抱いていた者の、計画のような気がしてなりません。
 佐山とお時とが、どのような手段で死にいたったか、これも、ちょっと後まわしにして、その時間のことからはいりましょう。
 私の頭には、まざまざと一人の女が記憶に浮んできます。彼女は時刻表に特別な興味をもっていました。その随筆をある雑誌に発表したくらいです。随筆は詩情に溢《あふ》れ、素人《しろうと》には無味乾燥に見えるあの横組の数字が、いかなる小説よりもおもしろいらしいのです。数字の行間からは、蜿蜒《えんえん》と尽きぬ旅情の詩が湧《わ》き、随想が生れるらしいのです。彼女は長いこと肺結核で臥《ふ》せており、病床でたのしむ時刻表は、彼女にとって聖書のように無限の人生伴侶《はんりょ》であり、古今の名作をよむように退屈しないのでした。彼女というのは、鎌倉で療養生活を送っている安田辰郎の妻です。亮子《りょうこ》という名です。
 とかく肺をわずらう人は、頭脳が病的に冴《さ》えているといいます。安田の妻亮子も、蒼白《あおじろ》い顔で何を思索していたか。いや思索というよりも計算という方が正しいのではないか。数字の無限の組み合せ、それを頭の中で解いたり組んだり、あたかもダイヤグラムを作製するように、縦横に線を引き、交差させて、瞑想《めいそう》していたような気がします。
 私は、あるいは、この事件は安田の発想ではなく、亮子のアイデアではないか、と、思いあたりました。
 ここで、事件当夜、国鉄と西鉄の二つの香椎駅の、二組の男女が浮んできます。一組は、むろん、佐山とお時です。あとの一組は、安田と妻の亮子ではないか。そう考えるのは自然です。これはあとで、半分は思いもよらぬ間違いでしたが。――
 あなたも、手紙の中で言われました。「すると疑問なのは、安田の連れの婦人がどのような役割をしたかと言うことです。裏返していうと、安田が情死の両人にある作為をもって立ちあったとすると、それにはある婦人が必要だったということになります。つまり安田とその婦人が一体とならなければ、安田の企《たくら》む工作はできなかったと言えそうです」
 まったく同感です。その疑問の婦人を、安田の妻の亮子に当てはめて考えたとき、私は彼女の追及を決心しました。
 しかし、彼女は療養で病臥《びょうが》の身である。計画者であっても、実行者になれるだろうか。つまり、鎌倉から九州まで行くことがはたしてできただろうか、という疑問が湧きました。
 私は鎌倉に行き主治医に会いました。すると、医者の返事には、亮子はかならずしも寝たきりではない。ときには湯河《ゆが》原《わら》の親類の家に遊びに行くこともあると言いました。そこで、一月二十日を中心として彼女の動静を聞きますと、十九日から二十一日まで自宅には不在だったことがわかりました。それは、病床日誌を調べてわかったことです。医者は一週間に二度しか亮子を訪問しません。この医者は、二十二日に往预筏皮い蓼筏俊
 そのとき、亮子に熱があったものだから、どうしたのですか、と聞くと「十九日から湯河原に行って今朝帰りました。少し遊びすぎたので疲れたのでしょう」と、亮子は言ったそうです。
 私は、しめた、と思いました。十九日の夜発《た》てば、博多には翌日着きます。すなわち、情死の時刻と場所にまにあうわけです。湯河原というのは嘘《うそ》だ。九州に行ったのだと思いました。
 それから私は、亮子の家の老《ろう》婢《ひ》をこっそり呼び出して責めました。そして、ついに亮子が午後二時ごろハイヤーで湯河原に行ったことを知りえました。
 私は亮子を仱护窟転手を探しだしました。



 その哕炇证稀⒘磷婴驕釉蓼扦渭s束で仱护郡饯Δ扦埂¥趣长恧釉蓼抢搐毪取岷¥诵肖盲皮欷让激椁欷蓼筏俊¥饯筏啤岷¥魏oL荘という旅館の玄関に着けて亮子を降ろし、帰ってきたといいます。
 私は雀躍《こおどり》しました。すぐに熱海に急行し、海風荘を調べたことはいうまでもありません。するとつぎのような事情がわかりました。
 亮子は「楓《かえで》」の間《ま》の女客に面会したそうです。この女客というのは、一月十四日の八時過ぎに、一人で来て、五日間滞在していたのです。年齢、人相からみて、お時に間違いありません。宿帳は、むろん偽名です。偽名ですが、なんと、名前が「菅原雪《すがわらゆき》子《こ》」になっていました。菅原というのは、ほら、佐山も博多の宿の丹《たん》波屋《ばや》で使っていた偽名です。亮子は海風荘の玄関では、菅原さんに会わせてくれと言ったそうです。ここにおいて、はっきり、佐山、お時、亮子の打ち合せがあったことがわかりました。打ち合せというよりも、亮子の計画でしょう。二人の女は、部屋で夕食をとり、十時ごろ宿を出ていったそうです。そのとき、お時の滞在の宿料は亮子が払いま《・・・・・・・・・・・・・・・》した《・・》。
 さて、お時が十四日の午後八時半ごろに宿についたのは、《あさかぜ》から下車したことでわかります。《あさかぜ》は熱海着十九時五十八分ですから、まさしく彼女は、佐山と東京からここまで同車し、途中下車したのです。あなたの推理された「御一人様」は適中したわけです。
 つぎに、彼女たちは十九日の午後十時ごろに旅館を出た。これを時刻表で考えると、熱海発二十二時二十五分の博多行急行《筑《つく》紫《し》》があります。この列車は、終着駅博多に二十日の十九時四十五分に着くのです。
 まさに、ぴたりという感じです。博多の丹波屋にいる佐山のところに、女の声で呼び出しがあったのは、午後八時ごろではありませんか。すなわち、彼女たちは列車から降りると、すぐに佐山を呼び出したのです。
 ここまでわかったが、それから先が行きづまりました。佐山を呼び出したのは、お時か亮子か。むろん、はじめはお時とばかり思いこんでいましたが、お時では、どうも辻褄《つじつま》が合わなくなりました。佐山とお時とは、なんでもないのだから、電話で呼び出しても佐山が応じるわけがない。佐山は一週間も、博多でその電話のくるのを、いらいらして待っていたのですから、お時では変です。亮子の方なら可能性があります。
 なぜなら、亮子は安田の妻だから「代理」になれます。つまり、佐山は安田が来る《・・》のを待っていたのです。だから彼は亮子が安田の代理で来た、と言えば、すぐに出かけられるわけです。
 亮子は佐山に会うと、彼の一番心配していることを告げました。それが香椎の海岸に連れて行ってからです。どういう口実を言ったか定かでないが、おそらく秘密を要するからと言って、人《ひと》気《け》のない場所をえらんだのでしょう。この香椎の海岸も、かねての設計図の中にはいっていました。
 佐山が心配したこと、それは進行中の汚職事件の成りゆきでした。佐山は課長補佐として実務に通じており、捜査の手が伸びる寸前でした。佐山に言いふくめて、「休暇」のかたちで博多に逃避《・・》させたのは石田部長です。彼こそ汚職の中心人物ですから、佐山が拘引されたら危なくなります。それで佐山に因果を含めて博多に逃避《・・》させたのです。十四日に《あさかぜ》に仱毪长趣蓼侵甘兢筏蓼筏俊¥饯欷楹畏帧钉胜摔证蟆筏韦长趣稀蔡铯┒啶诵肖盲蒲预Δ椤⑺蓼谴盲皮い怼ⅳ让袱郡韦扦埂
 佐山は、上司の命令に唯々《いい》諾々《だくだく》と従ったのでした。彼をわらうことはできません。律《りち》義《ぎ》で目をかけられている上司に、自分の供述で迷惑がおよぶことを恐れただけです。課長補佐には、そういう人が多いのです。自殺した人さえあるくらいです。いや、この自殺の可能性が犯人の狙《ねら》いでした。
 石田部長は、安田が事件のもみ消しをするから様子をみているように、とでも言ったのでしょう。佐山は安田が来るのを今か今かと待っていました。その安田は来ないで、「代理」の亮子が来ました。佐山は安田の家に行ったこともあるので、亮子を知っていたのです。いや下心のある安田は、佐山を鎌倉の家に呼んで、亮子を引きあわせていたと思います。
 この二人は博多から国鉄香椎で降りました。すぐあとから安田とお時とが西鉄香椎駅で降りて同じ道を海岸に来ていることを知らないで。いや、知らないのは佐山だけで、亮子は万事、知っていました。
 亮子は佐山に話しました。万事、都合よく撙螭扦い毪椁劝残膜丹弧⒑い楗Εぅ攻`を飲めとすすめました。酒好きの佐山は安心してウイスキーを飲みました。青酸カリがはいっていて、佐山は倒れました。現場に残っていた青酸カリ入りのジュース液の残り瓶《びん》は、亮子の偽装でした。
 一方、すぐあとから来た安田は――彼は板付到着十九時二十分の日航機で東京から来たばかりで、お時とどこかで会って、いっしょになったのです。落ちあう場所も決められていたでしょう。それは亮子が告げたと思います。その安田は、お時を海岸につれて出ました。途中で、お時は「ずいぶん、寂しいところね」と言い、それを通行人に聞かれています。
 その人気のない、寂しい暗い夜の海岸で、安田はお時に同じく毒入りのウイスキーを飲ませたのでしょう。それから彼女の死体を抱いて、息の絶えている佐山の横に置きました。そこには亮子が立っていました。おそらくお時が殺された場所は、佐山の現場と二十メートルとは離れていなかったでしょう。暗い闇《やみ》だから、お時には何も見えなかったのです。
 安田はお時を殺すと、
「おおい、亮子」と、大きな声で呼んだに違いありません。亮子は、
「はあい、ここよ」
 と、闇の中で答えたでしょう。安田はお時の死体を抱いて、佐山の死体のころがっている妻の声のあった方へ歩きました。鬼気迫る光景です。
 ここで現場の様子を考えましょう。あの辺は私もあなたのご案内で実地に見ましたが、岩肌《いわはだ》だらけの海岸です。少々、重いものを抱いて撙螭扦狻⒆悚ⅳ趣肖辘蓼护蟆7溉摔摔趣盲皮悉嗓长蓼扦庥嬎悚氦幛扦埂¥饯椁蔡铯舷阕丹魏0钉蚯挨橹盲皮い啤⑷摔螆鏊悉饯长摔筏瑜Δ瓤激à郡诉`いありません。
 情死に見せかけた殺人は、夫婦合作でした。亮子は計画者だけでなく、その実行者の半分でした。お時は安田夫婦の言うとおり、なんの疑いもなく従ったのです。
 ここで、奇妙なのは、安田夫婦とお時の関係です。以上でもわかるように、安田とお時とは深い情事関係があることが想像されます。それはきわめて秘密に保たれたから外部にもれませんでした。二人のなれそめは、安田が「小雪」に通っているうちにできたのでしょう。お時は、安田の係り女中でした。お時が電話でときどき呼び出されたり、外泊したりした相手は安田です。
 だが、亮子の態度は奇怪です。いわば、夫の愛人であり、敵でもあるお時に会ったり、いっしょに汽車に仱盲郡辘筏啤ⅳ啶膜蓼袱い韦稀ⅳ嗓ΔいΔ铯堡
 私は、ふと亮子が熱海の宿でお時の滞在費《・・・・・・》を支払った《・・・・・》ということで、事情を察しました。亮子は万事を知っているのです。のみならず、お時の月々の手当《・・・・・・・・》は、亮子の手からも出ていたのです。亮子が病弱で、夫とは夫婦関係を医者から禁じられていることに思いいたってください。いわば、お時は、亮子の公認の二号さんだったのです。歪《ゆが》んだ関係です。われわれには想像もできないが、世間にはよくあるのです。封建時代の昔にはあったことですが。
 はじめの計画では、佐山一人を自殺に見せかけるつもりだったのでしょう。しかし、これはどうも危ない。遺書もないし、自殺は弱い。そこで「情死」を思いたったのです。情死の方がずっと検案もゆるやかで、解剖もありません。捜査も起りません。きわめて安全性のある殺人です。かわいそうに、お時がその相棒にえらばれました。
 安田にとっては、お時にはそれほどの愛情もなく、どっちでもいい存在でした。「生理」のおかわりはいくらでも都合がつきます。亮子は、お時を夫の道具と思って割りきっており、ついでに情死の道具にもしました。やはり意識の底では好感をもっていなかったのでしょう。恐るべき女です。頭脳も冷たく冴《さ》えていますが、血も冷たい女です。お時の死体の着物の乱れを直し、用意してきた新しい足袋を、死体の土によごれた足袋とはきかえさせたのは、お時が覚悟して死んだという見せかけの操作で、どこまでも周到な注意です。
 その晩は、夫婦で博多にとまり、安田は一番の日航機で東京へ、さらに北海道に仱辘膜筏菩肖⒘磷婴仙悉炅熊嚖擎`倉に帰ったのです。
 それから、お時と佐山とが十四日に出発したあと、なぜ安田が六日間も間を置いて福岡に行ったか、という理由ですが、これは安田がすぐ東京を離れては疑われるという用心からです。現に、彼はお時が出発した十四日のあとも二三日つづけて、「小雪」に現われています。そして何食わぬ顔で、「お時が恋人と旅行に出た」という女中たちの話を聞いています。あくまでも、無関係を他人に印象づけたかったのです。だから、お時も、熱海の旅館で五日間足どめされていたわけです。
 かくて、親しい石田部長の依頼をうけた安田辰郎は、完全に佐山課長補佐を抹殺《まっさつ》し、部長を安泰ならしめました。ひとり石田部長のみでなく、安《あん》堵《ど》の胸を撫《な》でおろした佐山の上役はずいぶん多いでしょう。同時に機械工具商安田辰郎は、××省石田部長に絶大な恩《・》を売りました。
 安田と石田部長の結びつきは、外部で想像した以上の深さでした。自己の商売を××省に広げるために、安田は石田部長に必死に食いこんだに違いありません。おそらく供応や金品の贈与もあったでしょう。それは今度の汚職でも、石田の疑惑の濃厚なところから、彼の性格がわかるのです。現在では、まだ、それほど大した納品はなかったのです。それでわれわれは両者の関係を表面だけで見のがしてしまったのですが、安田こそは将来を望んで、持ち前の社交的な魅力で石田に近づいたのです。それは個人的な、ひそかな交際にまで成功しました。安田は、石田部長が発展中の汚職事件で、自分の身辺が危険なため懊《おう》悩《のう》していることを知り、捜査のもっともキイポイントに立っている佐山課長補佐抹殺の役を引きうけました。いや、それはあんがい、安田から言いだして石田部長を説き伏せたのかもしれません。
 もっとも、石田部長には、はじめから佐山を殺す《・・》意志はありませんでした。ただ、できれば自殺に追いやるようにしたかったのでしょう。他《ほか》の同じ性質の事件の、犠牲者のようにです。
 しかし、それは不可能です。そこで安田は自殺に見せかける他殺を考えたのです。自殺は単独よりも、情死する方がよけいにそれらしく見えます。単独自殺なら、もしや他殺ではないかと疑われることもありますが、女と心中したとなると、まず疑われる心配は薄くなります。うまいところに着眼したものです。現に捜査当局がそれでだまされましたから。
 まさか佐山を殺すためとは知らない石田部長は、彼を自殺に追いこむ工作とばかりに思いこみ、安田のゴマカシの言いなりに、北海道出張のことや、青函連絡船の伌兔居眉垽斡靡猡洹⒙每蜋C伩亭沃略を遂行したのです。一省の高級官吏ともなれば、出張はいつでも自由なのでしょう。部下の一事務官を抱きこむことも容易です。
 その後、「佐山が青酸カリで女と《・・》自殺した」と知ったときの石田部長は、さすがに顔色が蒼《あお》くなったでしょう。はっきり安田が殺《や》ったことをさとったからです。こうなると安田の方が居直って、かえって石田部長に圧力をかけたと思います。石田部長は、ただ、おろおろしていたでしょう。佐々木事務官を、警視庁にやらせて、安田のために北海道行きを立証させたのも、安田の指《さ》し金《がね》だと思います。かえって、それが安田の墓穴の一端になったのですが。
 しかし、安田は、佐山を殺す道具に、飽きの来たお時を使いましたが、安田の妻の亮子は「夫の手伝い」よりも、あんがい、お時を殺すほうに興味があったかもしれません。いくら自分が公認《・・》した夫の愛人であっても、女の敵意は変りはありません。いや、肉体的に夫の妻を失格した彼女だからこそ、人一倍の嫉《しっ》妬《と》を、意識の下にかくしつづけていたのでしょう。その燐《りん》のような青白い炎が、機会をみつけて燃えあがったのです。佐山もさることながら、この事件の犠牲者は、お時です。安田自身も、石田部長に恩を売るために佐山を殺すのが本体か、うるさくなったお時を抹殺するのが本体か、しまいにはわからなくなったでしょう。
 以上は、私の推理のしだいと、あとの部分は、安田夫婦の遺書によったものです。
 そうでした、安田辰郎と亮子は、私たちが逮捕に行く前に、鎌倉の家で死んでいましたよ、どっちも、青酸カリを飲んで。こんどは、偽装はありませんでした。
 安田辰郎は、われわれが追いつめたことを知ったのでした。そして病勢が悪化した妻と自らの生命を断ちました。安田に遺書はなく、亮子だけに遺書がありました。
 それによると、罪を意識して死んだとあります。はたしてそうでしょうか。私には、どうもタフな安田辰郎が自殺したとは思えません。死期遠くないことをさとった亮子が、またも何かの詐術《さじゅつ》をもって、夫を道づれにしたように思えます。亮子という女は、そんな女なのです。
 しかし、実のところ、安田夫婦が死んで、ほっとしましたよ。なぜかといって、これには物的証拠がまったくといっていいほどないからです。情況証拠ばかりです。よく逮捕状が取れたと思ったくらいです。公判になったら、どうなるかわからない事件です。
 証拠がないといえば、××省の石田部長もそうです。彼はさすがに、汚職問題でその部をやめて他部に移りましたが、なんと移った新しい部が前よりはポストがいいのです。そんなばかなことはないのですが、役所というものはふしぎなところですね。将来、局長になり、次官になり、あるいは代議士ぐらいに打って出るかわかりません。かわいそうなのは、その下で忠勤をはげんで踏台にされた下僚どもです。上役に目をかけられていると思うと、どんなに利用されても感奮しますからね。「出世」したい気持はかなしいくらいです。そうそう、石田部長のため一役買い、安田辰郎の片棒をかついだ佐々木喜太郎という事務官は、課長になりましたよ。これも、安田夫婦が死んでしまった今は、われわれはなんともできず見送るばかりです。
 なんとも後味の悪い事件でした。こうして、今日、家で冷たい井戸冷やしのビールを飲みながら、ほっとした気持でくつろいでいても、犯人を捕えて検事さんに送った他の事件の解決のように、すっきりしないのです。
 長い手紙を書きました。さぞ、わずらわしかったと思います。
 お招きもありますので、九州には、この秋、女房《にょうぼう》でも連れて、休暇をもらってゆっくりと遊びにまいります。
 時《じ》節柄《せつがら》、おからだ御自愛願います。

 (注) 本文中の列車、航空機の時間は、昭和三十二年のダイヤによる。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2004-12-16 09:04:20 | 显示全部楼层
辛苦啦!谢谢与大家分享这么好的小说。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2004-12-16 13:25:48 | 显示全部楼层
拷下来了,仔细读读去,谢谢楼主。。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2004-12-16 14:26:56 | 显示全部楼层
難しいね、
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2008-2-15 22:38:18 | 显示全部楼层
为什么有些字是乱码啊,我想要完整版,谁有给下
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2008-8-14 00:10:09 | 显示全部楼层

thx

谢谢分享,但很多是难码字,可否才发一次?
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2009-3-9 11:40:30 | 显示全部楼层
大感谢~
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2010-3-7 13:23:36 | 显示全部楼层
这个电影是我看过北野武演过的唯一一个比较正常的角色。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2010-3-10 16:23:22 | 显示全部楼层
不太敢看松本的小说,有点慎得慌
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2010-10-22 10:57:19 | 显示全部楼层
松本さんの小説ガ大好き~
回复 支持 反对

使用道具 举报

您需要登录后才可以回帖 登录 | 注~册

本版积分规则

小黑屋|手机版|咖啡日语

GMT+8, 2024-4-28 23:31

Powered by Discuz! X3.4

© 2001-2017 Comsenz Inc.

快速回复 返回顶部 返回列表