中国契約法の紹介

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中国契約法の紹介
  　

  　開放改革後、中国政府は「民法通則」に基づき、1981年12月に「中国経済契約法」を制定し、1985年に「中国渉外経済契約法」を制定しました。1987年6月に「中国技術契約法」を制定し、中国における契約関連の法律はこの三つの法律で形成されることになりました。
　しかし、1999年3月に「中国契約法」が制定されることに伴い、上記の三つの法律は廃止され、社会の発展と変化に応じて、最高裁判所が「中国契約法の解釈(一)」(法釈[1999]19号)と「中国契約法の解釈(二)」(法釈[2009]5号)を公布しました。

中国契約法上の「契約」の定義

　「契約」とは双方または複数の当事者(個人や法人)が民事法律関係の設立・変更・抹消を協議し合意することをいう」と定めています。この場合、債権の発生することが重要なポイントになるので、これを債権契約ともいいます。

　中国契約法は各平等な契約主体の関係を調整するための法律で、主に契約の締結、契約の効力、履行、変更、廃止、保全、契約違反の責任などを規定しました。「中国契約法」規定の経済契約は債権契約にあたり、契約にともなって発生する権利と義務を明確に示しています。

契約の法律的な特徴

１．契約が双方の行為、または当事者が二つかそれ以上であること
２．当事者双方の意思表示が一致していること
３．民事法律関係の発生・変更・中止が当該契約の目的であること
４．契約当事者が法律の範囲内で成立った約束であること


中国における第三者担保の紹介

　中国経済の信用システムの不備により、第三者による保証担保が契約に非常に重要な一環になっています。中国契約法の規定では保証担保には以下の定義があります。

１．保証：保証人が被保証人の契約履行を保証し、被保証人が契約履行しないまたは不完全履行の場合、保証人が連帯賠償責任を負うことをいいます。

２．定金(保証金)：定金とは契約当事者の一方が契約締結の証明や契約履行の保証として、標的物・報酬またはそれに相当する金額の一部(一般に20％以内)を相手当事者に先払いする貨幣のことをいいます。そのため、定金受取り方が契約違反した場合には、定金の二倍相当の金額を賠償しなければなりません。定金支払い方が契約違反の場合、定金の返還は請求できません。ここから定金には契約を保証させる目的があり、契約違反した際の損失補償の役割もあることをわかります。

３．質押(質権担保)：質押とは債権履行の担保をいい、債務人または第三者が財産や権利を債権人に移し、債務人が債務を履行しない場合、債権人がその移した財産を優先占有できる権利です。

４．留置：留置とは契約担保の財産留置の一種で、主に原材料の加工・保管や工程プロジェクト契約に使います。例えば、加工委託契約にしたがって、委託方が加工方に原材料を交付したにもかかわらず、契約期間までに加工製品を持って行かない場合、加工方には製品を処分する権利があり、所得から報酬や保管費用を取り、残りの金額を委託方の名義で銀行に預けることのできる権利を留置権といいます。

5.抵当(抵押)：抵当とは契約当事者の一方または第三者が契約を履行するため相手に提供した財産保証をいいます。抵当を提供した方を抵当人といい、抵当財産の受け手側を抵当権人といいます。抵当人が契約を履行しない場合、抵当権人には法律に基づき、抵当物を売る権利があり、所得から優先賠償金をもらう権利があります。なお注意するのは、国家法令により禁止されている財産または強制執行禁止財産の抵当化はできません。

連帯保証担保と一般保証担保

１．　中国での保証方法には、一般責任保証と連帯責任保証の二通りがあります。一般責任保証とは債務人が債務履行をできない場合、保証人が債務責任の保証をすることをいいます。連帯責任保証とは保証人と債務人が債務に対して連帯で責任を保証することをいいます。

２．　一般責任保証の場合は、債務人が債務を履行しない場合にのみ、保証人に債務履行の義務が発生します。連帯責任保証の場合は、保証人と債務人が連帯責任者ですから、債権人は保証範囲以内で保証人と債務人のどちらに対しても債務履行の要求ができます。連帯責任保証の場合の保証人と債務人の権利・義務及び責任分担については連帯責任関連法律の規定が適用されます。一般責任保証の場合は、保証人と債務人の間に連帯債務責任がなく、保証人は債務人に履行した債務のみの請求権利があります。

３．一般責任保証の保証人には催告抗弁権がありますが、連帯責任保証の場合は、保証人に催告抗弁権がありません。あるいは連帯責任保証の場合は、債権人が債務人に債務催告がなかったことを保証義務の抗弁理由にはなれないということです。

４．連帯責任保証は法律規定により定められるか、当事者双方により定められます。法律規定に規制がないし、契約にも定められなかった保証を連帯保証とみなします。一般責任保証は当事者双方のみにより定められます。

５．連帯責任保証の担保は債権人に有利である分、保証人の責任が重く、一般責任保証の場合は、保証責任が軽く、保証人の負担は軽いです。