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楼主 |
发表于 2011-4-18 11:55:58
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七月十×日
先ほど、あのバカ先生、寺田がやってきました。そして、とんでもないことをしてくれました。玄関先で、ご近所中に響き渡るような大きな声で、直樹が学校にいっていないことを言いふらしてくれたのです。
おまけに、クラス全員で寄せ書きをした色紙までくれました。赤いマジックでひときわ大きく、こんなメッセージが書かれていました。
人はみな、孤独じゃない、ロクでもない世の中だけれど、幸せになろうよ。信じよう、ネバーギブアップ!
手の込んだ暗号のつもりなのでしょうか。寺田は気付いていなくても、私にはすぐにわかりました。頭文字を合わせれば「人殺し、死ね」ではないですか。直樹は人殺しです。こんなメッセージをおもしろがって書くような、知性も教養もないダメ人間たちにまでバカされるような、人殺しなのです。
直樹は渡辺という少年が殺した森口の娘を、プールに投げ落としただけ。それすらも、森口の作り話だと私は信じていました。それなのに、真実はもっと恐ろしいものでした。
直樹は、気を失った森口の娘が意識を取り戻したあと、プールに投げ落としたのです。故意に殺人をおこなったのです。
あの日、森口と一緒に聞かれた直樹の告白が、どこか嘘めいて聞こえたのは、森口が直樹に嘘をつかせているからだと思っていました。だからこそ、私は直樹の無実を信じていたのです。しかし、それは直樹が故意に嘘をついていたからでした。
直樹から聞かされた残酷な真実は、信じたくなかったけれども、嘘をついているとは思いませんでした。
私は直樹の母親です。息子が嘘をついているかいないかくらいはわかるのです。
「目を覚ましたのに、プールに投げ込んだのは、怖かったからでしょ?」
残酷な告白をした直樹に、私は何度も何度も繰り返し訊ねました。愚かな母親だと自分でもわかっています。しかし、息子が殺人を犯したと認めた上で、その動機は恐怖からくるものであってほしいと願ったのです。
しかし、直樹は「そうだ」とは言ってくれませんでした。
「母さんがそう思いたいなら、それでいいよ」
この一点張りで、最後まで直樹は、なぜ森口の娘を殺したのか教えてはくれませんでした。それどころか、全部打ち明けてすっきりしたのか、どこか聞き直ったようなところがあり、口を開けば「早く警察に行こうよ」と甘えるように繰り返しているのです。
直樹は不潔の鎧と一緒に、人並み以上に持っていた優しい心も洗い流してしまったのだと思うのです。もう、私の愛した直樹はいないのです。人間としての心を失い、殺人者として開き直る息子に、母親の私がしてやれることは一つしかありません。
義彦さん、今までありがとうございました。おからだを大切に。
真理子、おばあちゃんになれなかったのは残念です。元気な赤ちゃんを産んでくださいね。
聖美、強く生きて、夢を叶えてください。
私は直樹を連れて、みんなより一足先に、大好きだった父と母のところへ行きますね。
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