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楼主 |
发表于 2011-5-19 14:39:00
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「出て行きたい人はそうしてもらって結構です」
祈りが通じたのか、担任はみんなを見渡し、そう言った。一人でもいれば、僕も便乗しようかと思ったのに、出て行くヤツなんて誰もいなかった。
森口はそれを確認し、話を再開した。
「ここからは二人の犯人を、A・Bと呼ぶことにしましょう」
そう言うとまず、少年Aについて話し始めた。誰が聞いてもすぐに、それが渡辺だとわかるような言い方だった。その証拠に、みんな、ちらちらと渡辺を見ている。担任はわざとそうしているのだ。みんなの興味を引くように。
そして、ついに少年Bの話になった。家庭訪問のときに話したのとほぼ同じ内容だった。あのときは黙って聞いていたのに、みんなの前で平気な顔をして、僕をバカにするようなコメントを挟み込んでいる。やればできるのではなく、やることができないのです、だって?でも、そんなことに腹を立てている場合ではない。もう、おしまいだ。
今度はみんな、僕の方をちらちらと見ている。バカにしたような笑いを浮かべているヤツもいるし、隣の席の渡辺と交互に見ているヤツもいる。軽蔑のまなざしを向けているヤツ、憎悪をむき出しにして見ているヤツもいる。
殺される、殺される、殺される!
ゲーセンに行ってペナルティを受けただけで、無視されるようになったのだから、殺人の共犯者なんか、殺されるに決まってる。でも、悪いのは渡辺だ。僕は被害者だ。犯人は渡辺、僕は被害者、犯人は渡辺、僕は被害者。僕の頭の中で、呪文のようにその言葉を繰り返した。
「渡、あ、えっと、Aはまた殺人を犯したらそうするんですか?」
いきなりそんな質問をしたのは、小川くんだ。こいつ、おもしろがってる。
「Aがまた殺人をというのには誤りがあります」
僕のからだは深い水底へと、一気に引きずりこまれていった。
森口は「殺したのはB(つまり僕)だと断言したのだ。あれくらいの電流じゃ死なない。愛美は気を失っていただけだ、と。
バレていたんだ。家庭訪問の段階で、僕が子供を殺したことは、バレていたんだ。故意にやったということはバレていないようだけど、そんなことはきっと関係ない。僕が殺した、という事実には変わりないのだから。
みんなが僕を見ている。渡辺はどんな顔をしているだろう。確認して笑う余裕なんて、どこにもなかった。このまま、K札に逮捕されてしまうのかな。いや、そうではなさそうだ。処罰を法に委ねたくないって、どういうことだろう。
だんだん周りが見えなくなってくる。僕が落ちたのは、プールじゃない。澱んだ、底なし沼だ。足元からズブズブと沈んでいく僕の耳に、担任の声だけが、低く静かに響く。
「私は二人の牛乳に今朝採取したての血液を混入しました。私の血液ではありません。二人がいい子になるように、そんな願いをこめて世直しやんちゃ先生、桜宮正義先生の爪の垢ならぬ血液をこっそりいただいてきました……」
世直しやんちゃ先生の血液、エイズの血液が牛乳の中に?僕は残さずに飲み干した。それが何を意味するか、足りない僕の頭でも充分に理解することができた。
死、死、死、死、死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死……僕は、死ね。
僕のからだは、どこまでもどこまでも冷たく汚い泥の中へと沈み込んでいった。
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