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楼主 |
发表于 2011-7-8 14:28:57
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「研究室」で一夜を過ごした。ケータイが今鳴るか、K札が今ドアフォンを鳴らすか、とまち構えていたが、結局、何もないまま朝を迎えた。下村はまだ母親に泣きついていないのだろうか。何をするのも鈍くさいヤツだ。しかし、死体は発見されているだろう。
テレビやインターネットからは何の情報も得られず、不審に思いながら、朝刊を読むため、登校前に自宅に立ち寄った。朝食をとる習慣がすっかりなくなってしまった自分に、美由紀が「牛乳くらい飲んでいけば?」とグラスにそそいでくれたのを、一気に飲み干し、ダイニングテーブルの上に、まだ誰も読んでいない新聞を広げた。いつもは一面から読んでいくが、そんな場合ではない。地方版のページを開いた。
四歳児、犬に餌をやるためプールに忍び込み、転落死。
転落死?何かの間違いではないかと記事に目を通す。
十三日午後六時三十分頃、市立S中学校のプールで、同校教諭の森口悠子さんの長女、愛美ちゃん(4)が死亡しているのが発見された。死因は水を張ったプールに転落したことによる水死とみられ、S署では関係者からくわしく事情を聴き、調査をすすめている。
見出しといい、取り上げ方といい、事故としての扱いだった。それも、感電死ではなく、水死だ。
どういうことだ?と頭を整理しようとしている横で、美由紀さんが声を上げた。
「えー、これって、修くんの学校じゃない?え?森口悠子って、修くんのクラスの森口センセ?だよね、ね、ね。すごーい!子供、死んじゃったんだー!」
思い出しながら書いてみると、この継母はすごいことを言ってるな、とある意味感心してしまうのだが、そのときの自分はそれどころではなかった。下村が余計なことをしてかいしたに違いない。真相を確認するために、学校へと急いだ。
人生において、失敗という言葉は自分には無縁だと思っていた。失敗しないための方法を知っていたつもりだった。馬鹿とは関わらない。それなのに、証言者選びに気を取られた自分は、そのことをすっかり忘れていたのだ。
学校では、事件の話で持ちきりだった。死体を発見したのは、同じクラスの星野で、ヤツは「プールに死体が浮かんでいた」と断言していた。そうじゃないだろ、と心の中でつぶやいた。渡辺修哉が全国大会で賞をとった発明品で担当のこともを殺した、と何故言わない?
当然だ。誰もが殺人事件ではなく、事故だと信じきっているのだから。この計画は大失敗だ。小心者の下村が共犯者であることを隠すために、事故に見せかけようと、プールに落としたに違いない。
無性に腹が立った。事故扱いされたものの、少しは怯えているかと思っていたら、呑気な顔で登校してくる姿を見て、さらに腹が立った。
「何で余計なことをしたんだ」
廊下に連れ出し、問い詰めると、下村は開き直った様子でこう言った。
「話しかけないでよ、仲間でもないのに。あ、それから僕、昨日のことは誰にも言うつもりないから。言いふらしたければ自分でどうぞ」
そのとき思った。こいつは怖くて死体をプールに落としたのではない。自分の計画をぶちこわすために、わざとそうしたのだ、と。
何故、そんなことを?簡単だ。去り際の捨て台詞、あれに対する仕返しだ。甘かった。窮鼠猫をかむ。日本中で、追いつめられた馬鹿ほど、とんでもないことをしでかしているではないか。一時的な感情に流されて、馬鹿を挑発してしまった自分を悔いた。
しかし、何かを失ったわけではない。何も変わらない。しばらくはいつも通り優等生として過ごし、新しい計画を練り直せばいい。
終了のはずだった。
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