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故乡之秋
2011-11-1
人気(ひとけ)のない別荘地で耳を澄ますと、四方の森がカサコソと鳴いている。紅葉から落葉へ、晩秋の囁(ささや)きである。靴より大きなホオノキの葉を踏みながら、北軽井沢を歩いた。
在人迹罕至的度假村竖起耳朵,可以听到四周森林发出的沙沙沙的鸣叫声,那是红叶落到地上的声音,是晚秋的窃窃私语。我脚下踏着比鞋子还要大的朴树落叶,漫步在北轻井泽的土地上。
道端で丸まるモミジを、時おり北風が転がす。山麓(さんろく)の牧場では冬支度の牧草ロールが、発酵を促す白いビニールにくるまれていた。標高1100メートルの高原に吹く風は、秩父山地を越え、武蔵野を渡り、東京で木枯らしになる。小春日がうれしい霜月である。
路旁卷成一团的红色落叶,不时被北风刮得打滚。山脚下的牧场里,为过冬作准备的牧草捆被包在白色的薄膜里,以促进其发酵。在这片海拔1100米的高原上吹过的风,越过秩父山地,穿过武藏平原,成为东京凛冽的寒风。到了农历11月一般是让人舒服的小阳春天气。
北軽井沢が舞台の映画に、日本初の長編カラー作品「カルメン故郷に帰る」がある。高峰秀子さん演じる誇り高きストリッパーが、牧場の村に帰ったのも秋だった。公開は60年前。青空に白煙を吐く浅間山と、真っ赤な口紅の対照は、当時の地方と東京の距離でもあろう。
以北轻井泽为发生背景的电影,日本首部彩色长片《卡门归乡》是其中之一。由高峰秀子饰演的高傲的脱衣舞女回到牧场的村子,那也是在秋天。影片上演距今已经60年了。蓝天下冒着白烟的浅见山与血红的口红的对比,也反映了当时地方与东京之间的差距。
村での公演を渋る校長先生に、カルメンの父親が頭を下げる。「日本のど真ん中で踊ってる踊りなら、この山ん中だって立派なもんに決まってまさあ」。家を、古里を捨てた娘にも、肉親や村人は優しかった。
对反对在村里表演脱衣舞的校长,卡门的父亲苦苦恳求道:“能在日本最中心的地方跳的舞,在这个大山沟里也绝对是拿得出手的”。即使是遗弃了家庭和故乡的女儿,亲人和村里人对她还是那么好。
〈帰る家もどる巣ありて秋の暮(くれ)〉木内怜子。今年は数万人が「帰るべき故郷」や家を奪われたまま、心身にぬくもりが要る季節を迎える。国中が故郷になり家になり、被災者を支えたい。
“回家去/回到暖暖的窝里/这秋天的日暮时分”(木内怜子)。今年将有数万人在失去“该回去的故乡”和家园的状况下迎来这个身心需要温暖的季节。希望大家支援受灾人士,让全日本都成为他们的故乡,他们的家园。
カルメンが降り立った北軽井沢駅を訪ねた。撮影から程なく鉄路は廃止され、駅舎のみが残る。交通はバス、マイカー、新幹線と移ろい、東京と地方は似た色になった。銀幕と変わらぬ浅間山の稜線(りょうせん)を仰ぎ、転変やまない人の世の哀れを思った。
我去造访了卡门下车的北轻井泽火车站。电影拍摄后不久这段铁路就停运了,只留下车站建筑。交通方式变成巴士、私人小车、新干线,地方与东京的面貌也越来越相似。仰望着与银幕上一模一样的浅间山的山脊线,不禁对这一刻不停地转变着的人世感慨万分。 |
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