天声人语 20121101 古典之日

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古典之日
2012-11-1
　千年近くも昔、たいそう読書好きの少女がいた。世は平安時代、書物は希少だ。少女は等身大の仏像を造り「あるだけの物語を全部読みたい」とひたすら願う。菅原孝標女（すがわらのたかすえのむすめ）と呼ばれる人で、その「更級（さらしな）日記」に愛書ぶりが詳しい。
　　在近千年前，有位非常喜爱看书的少女。那是在平安时代，书籍是稀罕之物。少女制造了等身大的佛像，虔诚地祈求“阅尽世间所有故事”。少女被称为菅原孝标女，《更级日记》一书详细描写了她喜好读书的情形。
　上洛（じょうらく）し、憧れの源氏物語を全巻もらうと天にも昇る心地になる。「間仕切りの中に伏して一冊ずつ読む喜びといったら、后（きさき）の位も比ではない」と書き、「昼はずっと、夜は目の覚めている限り、灯を近くにともして」読みふけった。そんな少女が、喜んでいよう。
　　少女来到京城，得到梦寐以求的源氏物语全卷，心情快乐得就像上了天堂。书中写道：“她趴在房间里一册接一册地看，心情比当上皇后娘娘还要欢喜”。“废寝忘食、挑灯夜读”。这样的少女，想必是很快乐的。
　今年から、１１月１日が「古典の日」になった。１００８（寛弘５）年のこの日、源氏物語をめぐる記述が「紫式部日記」に初めて出てくる。それにちなんで法律で定めた。読書週間のほぼ真ん中、翌々日は文化の日と、日取りはいい。
　　从今年开始，11月1号被定为“古典之日”。在1008（宽弘5）年的这一天，《紫式部日记》中首次出现有关源氏物语的描述。据此这天被法定为“古典之日”。这天恰好位于读书周的正中，而后天就是文化之日，这日子实在定得太好了。
　文学の古典ばかりではない。音楽、美術、伝統芸能などを広くとらえて、歳月に朽ちない輝きに親しむ趣旨だという。汲（く）めども尽きない泉なのに、飲まず嫌いはもったいない。
　　据报道，这“古典之日”希望弘扬的不单是文学经典，而是鼓励大家多欣赏包括音乐、美术、传统艺术等大范围的，经历了久远的年月依然闪耀着不朽光芒的经典之作。这些都是汲之不尽的源泉，如果不去尝试就弃置不用实在可惜。
　とはいっても、とっつきにくいのが古典というもの。「桐壺（きりつぼ）源氏」という言葉があって、源氏物語を読み始めたが冒頭の「桐壺」の巻で投げ出すことを冷やかして言う。せっかくの日を尻すぼみにさせないために、親しみ、楽しむ工夫が大事になる。
　　话虽如此，古典是不好亲近的。有“桐壶源氏”一说，这是讽刺有些人看源氏物语但只看了开头的“桐壶”卷就读不下去了。要让读古典不至于虎头蛇尾，了解和阅读的方式至关重要。
　源氏よりは通読者が多いだろう「徒然草」が言っている。〈ひとり、燈（ともしび）のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる〉。古典の醍醐味（だいごみ）を、古典が教えてくれる。
　　比起源氏物语，通读过《徒然草》的读者应该更多。《徒然草》中有这样一句话：“独自一人灯下展卷，与未曾谋面之人交友，此乃最佳慰籍也”。古典的精妙，由古典来告诉我们。