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8 風の特殊なとおり道(6)
「もし君は僕の友だちと友だちなら、僕と君も友だちということになるね?」
「そうだね」と羊男は注意深く言った。「きっとそうなるね」
「もし君は僕の友だちなら、君は僕に嘘をつかない。そうだね?」
「うん」と羊男は困ったように言った。
「話してくれないかな、友だちとして」
羊男は舌で乾いた唇をなめた。「言えないんだ。本当に悪いけれど、言えないんだ。言っちゃいけないことになってるんだ」
「誰に口止めされたんだい?」
羊男は貝のように押し黙った。風が枯木のあいだで音を立てた。
「誰も聞いてないよ」と僕はそっと言った。
羊男はじっと僕の目を見た。「あんたはこの土地のことを何も知らないんだね?」
「知らないよ」
「いいかい、ここは普通の場所じゃないんだ。それだけは覚えといた方がいいよ」
「でも君はこのあいだここは良い土地だって言ったぜ」
「おいらにとってはね」と羊男は言った。「おいらにとってはここしか住む場所はないからね。ここを追い出されるとおいらにはもう行き場所がないんだ。
羊男は黙った。彼からそれ以上の言葉を引き出すのは不可能であるように思えた。僕は薪のつまったズックの袋を眺めた。
「それで冬のあいだ暖房するんだね?」
羊男は黙って肯いた。
「でも煙は見えなかったな」
「まだ火はたかないよ。雪が積るまではね。でも雪が積っておいらが火をたいたとしてもあんたには煙を見えないよ。そういう火のたき方はあるからね」
羊男はそう言ってんにやりと得意そうに笑った。
「雪はいつごろから積りだすかな?」
羊男は空を見上げ、それから僕の顔を見た。「今年の雪はいつもより早いよ。あと十日ってところかな」
「あと十日で道を凍りついてしまうんだね?」
「たぶんね。誰も上って来れないし、誰も下りて行けない。良い季節だよ」
「ずっとここに住んでるのかい?」
「ずっと」と羊男は言った。「ずっと長くだよ」
「何を食べてるんだい?」
「蕗、ぜんまい、木の実、鳥、小さな魚やかにもとれる」
「寒くないの?」
「冬は寒いもんだよ」
「何か足りないものがあれば、わけてあげられると思うんだけれど」
「ありがとう。でも今のところべつにないよ」
羊男は突然立ちあがり、草原の方向にむけて道を歩きはじめた。僕も立ち上がって彼のあとを追った。
“假如你是我朋友的朋友的话,那么我和你也就成为朋友了。对吗?”
“是的。”羊男很谨慎地说。“那是当然的了。”
“既然你已经是我的朋友的话,你就不要对我撒谎了。对不对?”
“是的。”男的很为难地说。
“难道不给我讲吗?作为朋友。”
羊男用舌头舔了一下干燥的嘴唇。“不能说。这实在很为难,不能说。绝对不能说的。”
“被谁堵了你的嘴?”
羊男像海贝那样合着嘴不说话。风从枯树木之间发出声。
“谁也没有偷听吧?”我轻轻地说。
羊男死盯着我的眼睛。“你对这地方的事情什么也不知道吗?”
“不知道。”
“这样不好呀。这里并不是普通的地方。只记住这一点就可以了。”
“可是你曾说过这里是很好的土地。”
“那是对我来说的。”羊男说。“对我来说就只能住在这里。如是被从这里赶出去的话就无处可投奔。”
羊男沉默下来。从他的口里再弄出更多的话是不可能的了。我就看着装满柴火的帆布袋。
“用这些是在冬天烧暖气吗?”
羊男不说话点点头。
“可是也看不到冒烟呀。”
“还没有生火。等到积雪的时候才生火。可是即便到了积雪的时候我生了火你也看不到烟。我有那种生火的方法。”
羊男这样说完后得意地笑了起来。
“雪从什么时候开始要积起来呢?”
羊男望着天空,然后看着我的脸。“今年的雪比以往要早一点。大概再过十天左右吧。”
“再过十天道路就封冻了吗?”
“大概是。谁也上不来,谁也下不去了。真是个很好的季节。”
“你就一直住在这里吗?”
“一直。”羊男说。“一直很长时间。”
“那么都能吃些什么呢?”
“款冬、紫萁、树果实、鸟、小鱼还有蟹什么的。”
“难道不冷吗?”
“冬天当然会冷的。”
“如果你有什么不够的话,我想可以分给你一些。”
“谢谢。可是现在也没什么需要的。”
羊男突然站了起来,向草原那个方向迈出步走起来。我也站了起来紧追在他的后面。 |
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