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21(11)
僕は壁の時計を見た。時計はいかにも面白くなさそうに五時十分を指していた。僕はその時突然ユキとの約束を思い出した。
「電話を貸してくれませんか?」と僕は漁師に言った。「五時に人と会う約束してたんです。大事な約束だ。連絡しないとまずいことになる」
「女の子?」と漁師が訊いた。
「そう」と僕は答えた。
彼は肯いて電話を僕の方に向けて差し出した。僕は手帳を出してユキの電話番号を調べてダイヤルを回した。三回目のコールで彼女が出た。
「用事ができて行けないって言うんでしょう?」とユキが先に言った。
「事故なんだよ」と僕は説明した。「僕のせいじゃない。悪いとは思うけどどうしようもないんだ。K札につれてこられて取り調べを受けてる。赤坂署にいる。説明すると長くなるんだけど、とにかく簡単には解放してもらえそうもない」
「K札?何をしたのよ、いったい?」
「何もしてない。殺人事件の参考人として呼ばれてるんだ。巻き込まれてるんだよ」
「馬鹿みたい」とユキは無感動に言った。
「たしかに」と僕も認めた。
「ねえ、あなたが殺したわけじゃないんでしょう?」
「もちろん僕が殺したわけじゃない」と僕は言った。「僕はいろいろと失敗もするし間違いも犯すけれど、人を殺したりはしないよ。事情を聞かれてるだけだよ。いろいろ質問されてるんだ。でもとにかく君には悪いことをした。そのうちにちゃんと埋め合わせするから」
「本当に馬鹿みたい」とユキは言った。そしてがちゃんと叩きつけるように電話を切った。
僕も受話器を置いて、電話を漁師に返した。二人は僕とユキの話にじっと耳を傾けていたが、特に得るところはなかったようだった。でももし僕が十三歳の女の子とデートの約束をしていたなんて知ったら、彼らはきっと僕に対する疑いを一層深めるだろうなと想像した。きっと異常性欲者か何かだと思うだろう。世間一般の三十四歳の男は十三の女の子とデートしたりはしない。
我看了一下掛在墙上的钟表。钟表非常有趣地指向了五点十分。在这时我突然想起了和雪的约会。
“可以借用一下电话吗?”我对渔夫说。“约好了要和人五点钟见面。是很重要的约定。若不联系的话会很糟糕。”
“是女孩吗?渔夫问。
“是的。”我回答说。
他同意之后把电话机向我这里推了一下。我拿出小笔记本找到了雪的电话号码,拔了号码。响了三次铃声之后她出来接电话。
“是不是要说,因为有事不能去了?”雪倒是先说了。
“因为有事故。”我给以说明。“并不是我的原因。也并没有什么大问题。是被K札带到这里接受调查。在赤坂警署。若解释的话需要很长时间,总之不会简单地放出去的。”
“K札?你做什么了?怎么回事?”
“我什么也没有做。是当做杀人事件的嫌疑人被叫了过了。是被牵连进来的。”
“真是傻呀。”雪并无感动地说。
“的确这样。”我承认说。
“那么,肯定不是你杀的了?”
“当然不是。”我说。“我有各种各样的失败,也犯了许多错误,而却不会杀人。只是被问一些事情的状态。质问很多问题。只是实在对不起你了。之后要好好对你补偿。”
“真是太愚蠢了。”雪说。然后“嘭”像摔东西那样掛了电话。
我放好话筒,把电话返还给渔夫。两人专心地倾听我和雪的对话,也没有什么特别的收获。假如他们知道我是和一位十三岁的女孩约会的话,他们会加深一层对我的怀疑。一定会想我是一位异常性欲者。社会上一般不允许三十四岁的男的和十三岁的女孩约会的。 |
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