|
23(5)
「ねえ」と僕はユキに声をかけた。「羊の皮を着ていた人の話を聴かせてくれないかな?何処で君はその人に会ったの?そしてどうして僕がその人に会ったことを知っているの?」
彼女は顔をこちらに向け、サングラスをとってダッシュボードに戻した。そして肩を小さくすくめた。「その前にまず私の質問に答えてくれる?」
「いいよ」と僕は言った。
ユキはしばらく二日酔いの朝みたいに薄暗くて物哀しいフィルコリンズの唄にあわせてハミングしてから、もう一度サングラスを手にとってつるをいじった。「あのね前にあなた北海道で私に言ったでしょう?これまでにデートしたことのある女の子の中で私がいちばん綺麗だって」
「確かにそう言った」と僕は言った。
「あれ本当なの?それとも私の機嫌を取るためのものだったの?正直に言ってほしいんだけど」
「本当だよ。嘘じゃない」と僕は言った。
「何人くらいの人とデートしたのかしら、これまで?」
「数知れず」
「二百人くらい?」
「まさか」と僕は笑って答えた。「僕にはそれほどの人気はない。まったく人気がないというわけでもないけど、どちらかと言うとすごく局地的なんだ。幅が狭くて、ひろがりに欠ける。せいぜい十五人くらいのものじゃないかな」
「そんなに少ないなの?」
「みじめな人生なんだ」と僕は言った。「暗くって、湿ってて、狭い」
「局地的」とユキは言った。
僕は肯いた。
彼女はそういう人生について少し考えを巡らせていた。でもうまく理解できないようだった。仕方ない。まだ若すぎるのだ。「十五人」と彼女は言った。
「だいたい」と僕は言った。そしてもう一度三十四年のささやかな人生を振り返ってみた。「だいたいそれくらい。多くてもせいぜい二十人くらいのものだろうな」
「二十人か」とユキはあきらめたように言った。「でもまあとにかくその中で私がいちばん綺麗だったのね?」
「そう」と僕は言った。
「綺麗な人とはあまり付き合わなかったの?」と彼女は訊いた。そして二本目の煙草に火をつけた。交差点に警官の姿が見えたので、僕はそれを取り上げて窓から捨てた。
「けっこう綺麗な女の子ともデートした」と僕は言った。「でも君の方が綺麗だ。嘘じゃないよ。こういう言い方が理解できるかどうかわからないけれど、君の綺麗さは独立して機能してる綺麗さなんだ。他の子とは全然違う。でもお願いだから車の中で煙草吸わないで。外から見えるし、車も臭くなる。前にも言ったように女の子が小さい時から煙草を吸い過ぎると大きくなって生理不順になる」
“那个,”我向雪哼了一声。“不给我讲一讲穿着羊皮的人的事?在什么地方你和他见过面?而且你怎么知道我和他见了面呢?”
她转过脸朝这里看着,把太阳镜摘下来放到表盘下面的仓里。然后她耸耸了肩。“那么首先回答我以前的提问?”
“可以的。”我说。
雪合着像是连醉两天的早晨略微悲伤的フィルコリンズ歌曲哼着,再一次把太阳镜拿在手里玩弄着太阳镜。“在这之前你在北海道说过,至此你所约会的女孩当中我是最漂亮的。”
“的确是这样说过。”我说。
“那是真的吗?那是不是来向我讨好呢?还是发自心里讲呢?”
“那是真的。不是假话。”我说。
“和多少人约会过?至此?”
“不知道有多少个。”
“有二百人?”
“我决不会有那么高的人气。”我笑着回答。“虽然不能说一点人气也没有,总的来说局地限制很大。范围小,欠扩大。总数也不过十五人。”
“真的就那么少?”
“悲惨的人生啊。”我说。“黑暗、潮湿、狭小。”
“局地限制。”雪说。
我点头。
她对我那样的人生反复思考。大概不太能很好地理解吧。没有办法。还太年轻。“十五人。”她说。
“大概。”我说。然后我又回顾了一下三十四年的简单的人生。“大概如此而已。再多也不过二十人。”
“二十人吗?”雪像断了念头那样说。“而且在那之中我是最美丽的。”
“是的。”我说。
“没有和漂亮的女人交往过?”她问。接着点着了第二支烟。因看到了在交叉路口有K札,我就把烟抢过来通过车窗扔了出去。
“和漂亮的女孩也约会过。”我说。“但毕竟你是漂亮的。不是假话。虽你不能理解这种说法,但你的美丽是独立的发挥机能的美丽。其他女孩则全不然。希望不要在车内抽烟。从外面能看到,而且车里满是味。以前我也说过,女孩子从小抽烟过多等长大了生理受影响。” |
|