[讨论]真の友情

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真の友情は、遥かに功利を越えたものである。二人の友が、いつでも相互扶助の用意をしていないということはないが、そのことのために、二人が結びついているわけではないのだ。一方が他方の窮地を救うために自分の財産を使いつくそうと、また、相手を助けるためにいのちを投げ出したとしても、自分のした一切のことはすぐに忘れてしまう必要がある。そればかりか、完全な友情は、恩を受けた側も、同じようにそれをすっかり忘れさることを要求している。じっさい、そんなことをいつまでも覚えているのは、最上の愛情の中にある最も重大なことをすなわち、趣味の過ちを犯すことになるだろう。なぜかといえば、彼らがお互いに催しあう自由な饗宴にあては、感謝をするということさえもが、何か不作法なことになりかねないからである。偶然のことから近づきあった仲間は、習慣というゆるい鎖で結ばれ、同盟者たちは、利益という細い紐で結ばれている。真の友情だけが、必然的なものであるとともに、自由なものなのだ。この真の友情によって近づきあった人たちには、契約とか約束がないものならば、いつでも分かれることができるだろう。彼らの友情はお互いに与ええた一切の奉仕に何一つ依存していないのだ。ただ、彼らが出会ったという事実から友情が生まれたに過ぎないのだ。他の一切は偶然的なことなのである。
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　事実、友情というものは、我々がその人の性質によって他の人間と区別し、決定的に選びとった絶対的な選択の中にあるものなのだ。この原則に照らして見ただけでも、このような感情に相応しい人間は、まずいないということが理解できるだろう。じっさい、大部分の人々にとっては、人間などは、いつも大体同じようなものである。だから、彼らにとっては、その友人関係において、便利とか利害にのっとって身を処した方がより易しいことだというのも、友を選ぶにあたってこうした理由が見つからなければ、他に何の理由も見つけられないので、ますますそうなるのである。彼らは、相手の性質を認めたり、見分けたりするのではなく、疎の地位に注目するのだ。彼らは彫像をみないで、台座を見つめる。たとえもっとも粗野な人間であっても、立派な台座にのってさえいれば、何ものかに見えない人間などはいないのだ。あんなにも人々が口にする魂の孤独などというものに、彼らは決してひとりぽっちだなどと思わないだろう。彼らには、あまりに仲間が多すぎて、友達を必要としないのである。真の友情の花崗岩の土台は、これと反対に、人間相互の性質の中にある驚くべき相違と不平等を深く感じ、常にそれを念頭に置くことにある。博愛主義者も人間嫌いも友情に相応しいものではない。前者はあまりに信じやすく、後者はあまりに内気すぎ、また、一方はだれも彼も迎え入れ、他方は一切の人を拒んでしまうからである。偉大な友情は、人類というものへの貴族主義的な考え方に由来する。我々は人間全体を一つのピアミッドとして思い描くことができる。ピラミッドの材質は、その面が小さくなっていくにつれて貴重なものとなっていく。つまり、下の方は粗末な金属でできているが、先端は金とダイヤモンドばかりなのだ。多くの人々に会っても、人間が嫌いにならなかった人、経験をつむにつれて信念がうすれることの無かった人、大肖沃肖摔蠋驻膜�の偉大な魂や、崇高な精神や、魅力ある心が撒き散らされていることを信じ、かつ知って、飽きることなくそうしたものを探し、出会わぬ前からそうしたものを愛しさえする人ーーこうした人こそ友情に相応しい人というべきである。だから、一人の友を見つけるとは、ありふれた人々の中から、めったにいない人の代表を発見することなのである。群をぬいた階級の中で、身分などにはおかまいなく、真の階級のプリンスと出会うことである。一言にして言えば、再び人間を見いだすことなのだ。我々には、これ以上に幸せなことは起こりえないばかりか、これ以上に重大なことも、また起こる事がないのである。