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【天声人語】
2006年02月01日(水曜日)付
ゼネコン大手が「談合との決別」を申し合わせた。そんな記事が本紙に載ったのは、昨年の暮れだった。おや、談合をやめるために談合かと、少々斜めの読み方をした。
建筑商巨头已商定“告别议标(私下商议好投标价的行为)”。这则报道去年年底刊登在本报。哦,这不是为了停止议标而做的议标行为吗?我略带怀疑地读着这报道。
今度は、防衛施設庁の工事を巡る談合が摘発された。相変わらずの官と業の癒着だ。それにしても、企業のモラルが問われる事件が続く。耐震偽装、取引偽装、偽装工事、談合。いずれも利益を追求するあまり、法を踏みはずした疑いがある。利益は数字で示される。数字を引き上げるために、不正を働く。世間には、こんな会社ばかりがあるはずもないが、これだけ重なると気がめいりそうだ。
这回,在防卫设施厅的工程上的议标行为又被揭发出来了。尽管还是官商勾结的玩意,但近来,企业践踏行业道德的事件持续出现是不争的事实:伪造防震度、伪造交易、伪造工程、议标。这都是商家过分追求利润而偏离了合法的道路的行为。利润是用数字来表示的。为了把数字拉高,不惜动用不法手段。不能说如今的社会上全是这种商家,但这种事件的持续出现,还是让人沮丧万分。
こんな時には、数字の争いからは遠い、地に足の着いたものに目を向けたくなる。例えば……ホウレン草のおひたし。
在这种时候,很想把注意力转向那些远离数字纷争,脚踏实地的东西。例如……水煮菠菜。
食卓の上に小鉢があり、ホウレン草がこんもりと盛りつけてある。そこに朝の日が差し込んでくる。深緑の葉のへりが白く光る。紅色の根元も輝いて、のせたカツオ節が身をくねらせる。小さいながらも躍動感のある一景だ。
餐桌上一个小盘,装着满满一盘菠菜。朝阳从窗外射进来,照在菠菜上。这时,深绿色的叶子凹下去的地方闪着白光。红色的根部也熠熠生辉,把放在菜上的鲣鱼干扭了好几扭。一个虽小却很生动的场景。
ホウレン草を育てる人が居て、街まで運ぶ人が居る。カツオを釣る人が居て、ゆでたり乾かしたりする人が居る。陸と海から来た物の朝日の下の出合いはささやかだが、その後ろには、多くの人の働きが連なっている。
这场景背后有种菠菜的人、把菠菜运到大街上卖的人、钓鲣鱼的人、煮鱼晒鱼的人。陆地与海上出产的东西在朝阳下的相会是小事一桩,但其背后,牵连到很多人的辛勤劳作。
こうした物たちを扱う世界も、利益や数字と無縁ではない。しかしそれはそれとして、目の前にある物たちは、地道で真っ当な営みのありかを感じさせる。利益や数字だけが物を言う世の中はやはり息苦しい。そう思いながら、日に照らされた緑の一片をつまんだ。
在从事这些营生的世界里,当然也不是完全不讲利润和数字的。然而,因为在眼前有实实在在的东西存在,让人觉得这是一种真真正正的经营。只有利润和数字才说明一切的世界总让人感到窒息。我边沉思着,边夹起一片被阳光照射着的绿油油的菠菜叶。 |
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