「走高跳　坂口　一米五七　一等」。後(あと)に作家(さっか)となる坂口安吾(さかぐちあんご)は、１９２４年、大正(たいしょう)１３年(ねん)の秋(あき)に東京(とうきょう)で開(ひら)かれた全国中等学校陸上競技会(ぜんこくちゅうとうがっこうりくじょうきょうぎかい)で優勝(ゆうしょ)した。それを伝(つた)える本紙(ほんし)からの抜粋(ばっすい)だ。

「走高跳　坂口　一米五七　一等」。之后成为作家的坂口安吾，在1924年即大正13年秋在东京举行的全国中等学校竞技会中夺冠。来自报道其事报纸的头条。

この日(ひ)は大雨(おおあめ)で、助走路(じょそうろ)の状態(じょうたい)が悪(わる)かったという。他(た)の選手(せんしゅ)たちが左足(ひだりあし)で踏(ふ)み切(き)るところは、水(みず)たまりになっていた。「私(わたし)はそうでないところでふみきるから、楽々(らくらく)と勝(か)った」。安吾(あんご)は、右足(みぎあし)からの踏(ふ)み切(き)りだった。（「世界新記録病(せかいしんきろくやまい)」『(」（)坂口安吾全集(さかぐちあんごぜんしゅう)』(）)筑摩書房(ちくましょぼう)）。運動(うんどう)に熱中(ねっちゅう)していた１７歳(さい)のころの、青春(せいしゅん)の記録(きろく)だ。

当天由于下大雨，助跑道的状态很糟。其它的选手们左脚起跳的地方有了水洼。“我不是在那样的地方起跳的，所以很愉快的获胜了”安吾是右脚起跳的。（《世界新記録病》（坂口安吾全集）筑摩書房）热衷于运动17岁时的青春记录。

　安吾(あんご)は、ちょうど１００年前(ねんまえ)の１９０６年(ねん)１０月(がつ)２０日(にち)に、新潟市(にいがたし)で生(う)まれた。新潟市(にいがたし)は今年(ことし)、生誕(せいたん)１００周年(しゅうねん)を記念(きねん)して「安吾賞(あんごしょう)」を創設(そうせつ)した。安吾(あんご)のように、反骨精神(はんこつせいしん)で社会(しゃかい)に挑戦(ちょうせん)し、感動(かんどう)や勇気(ゆうき)を与(あた)えた個人(こじん)や団体(だんたい)が対象(たいしょう)で、劇作家(げきさっか)の野田秀樹(のだひでき)さんが初(しょ)の受賞者(じゅしょうしゃ)となった。

安吾正好于100年前的今日（1906年10月20日）出生于新潟市。新潟市为记念其生辰100周年而在今年创设了“安吾賞”。如安吾般具有反骨精神向社会挑战，给予感动与勇气的个人、团体等为对象,剧作家野田秀樹成为首位受赏者。

反骨精神：権威・権力・時代風潮などに逆らう気骨。「―精神」

戦後(せんご)、「堕落論(だらくろん)」などで注目(ちゅうもく)された安吾(あんご)の反骨(はんこつ)ぶりは、並大抵(なみたいてい)ではない。「実現(じつげん)されねばならぬことは、たゞ(たくりかえし)一(ひと)つ、自由(じゆう)の確立(かくりつ)といふことだけ」と述(の)べている。自由(じゆう)の確立(かくりつ)とは、権威(けんい)や組織(そしき)に頼(たよ)ることなく、自(みずか)らの意思(いし)で生(い)きることだろう。結果(けっか)については、すべて自(みずか)らが背負(せお)う覚悟(かくご)が要(い)る。

战后，以“随落论”等受到注目的安吾反骨之风，是不同寻常的。他讲道：“必须要实现的事情只有一个，那就是自由的确立”，所谓的自由的确立，不是依靠组织或是权威，而是按自身的意愿生活吧。相应地，需要有自己承担一切后果的思想准备。。

ねがならぬ：〔連語〕二重否定で意を強める。…する義務・責任がある。…するのが当然である。ねばならぬ。「今日中に帰ら― ない」

たゞ：请大家翻译此单词，我没有见过这种假名。

安吾(あんご)は、凡人(ぼんじん)ならたじろぐこの厳(きび)しい世界(せかい)に、ずいっと入(はい)ってゆく。それは、まずまねのできないことだ。しかし、誰(だれ)の人生(じんせい)にも、ひょっとしたらそんな瞬間(しゅんかん)はあったのではないか。そう感(かん)じさせるところが、安吾(あんご)の生(しょう)と文学(ぶんがく)にはあるようだ。

在这个如果是凡人的话就要退缩的严峻的世界，安吾钻了进去。首先光这一点，旁人就学不来。但是，不管是谁的人生，或许都会有这样的瞬间吧。在安吾的生与文学里，好象能让人感受到这点。

なにものかに管理(かんり)される社会(しゃかい)が続(つづ)く限(かぎ)り、安吾(あんご)は読(よ)み継(つ)がれてゆくだろう。

只要被何种东西管理着的社会继续着，就得继续研究安吾（的精神）吧。