最近、リンに携帯で送信する時が増えた。リンから返信が来なかった時は何かあったのではと自分で悩む時もある。別に何かを期待していてたわけではないが。

リンが退院してもう2ヶ月になって、手の傷も治って普通の仕事には差し支えないほどである。退院後、よく二人で夜遅くまで道を歩着きまわった。私の場合、気に入らない相手なら相手の気持ちを全然気にせずその場で断るタイプである（それで今まで恋人がいないのかもしれない）。でも、私より五歳年下のリンの場合は違った。二人で上司の悪口を言ったり、小さなころのことを話したり、リンと一緒の時は本当に楽しかった。今までと違って、リンには他の人と違うものがあった。私に言わせるなら、あれは人間に対しての否定ではなく肯定ということである。そして、社会人とは違う無邪気な笑顔。

2週間前から台風の影響で天気は曇りがちである。昨日の夜、雷やら稲妻やらでなかなか眠れなかった。リンに携帯でメールを入れたなかなか返事が来なかったので、心の中でちょっと不安になった。と言うのは、夕食の時ビール一本を飲みかけたので、仕事中、またどこかに隠れて寝ているかもしれない。もし寝ている所を巡視する人に見つかったら罰金だけの問題ではない。

そこで電話を掛けてみたら違う人の声が受話器の向うから伝わってきた。まさか寝ているのではないだろう。十二時半頃、リンからの返信が来た。十二時半から一時間半の食事時間である。リンから電話が掛かってきた。なんだか腹立たしい気分になってならない。文句ばっかり言ってるところ、受話器の向こうから私のこと心配したの？と急に問い掛けられた。怒ったのは確かだけど、あんたのことを心配するってとんでもない話ではないの、私にはそんな暇が無いもん。

電話を切って寝ようと努力したが、なかなか眠れなかった。雷も稲妻も止んで外は静だった。雨だけが静かに降り落ちていた。私は一度も恋愛した事がない。理由は私も知らない。好きな人がいなのではないけど、自分の好きな人に”君のことが大好きです”って口に出す勇気が無かったのだ。表は強そうに見えるけど、実は弱虫だったのではないか。

リンとの知合いも何かの縁だとは思うけど、リンとは年の違いで愛情とか考えたことがない・・・・・・でも最近、自分の気持ちが変わったのは私も認識している、一体なんでだろう、まさか。そんなことは有り得ない、絶対有り得ない。