日本人の友たちから蒲公英の写真を貰った。それは日本の蒲公英であった。友たちは今、中国に滞在しているんだから、まさか夢の中で取った写真でないだろうねと考えて、友たちに聞いて
よく取られた写真であった。でも、中国の場合、蒲公英は殆どが黄色い花だが、日本の蒲公英は中国の蒲公英と違って白味を含んでいる。そして、中国では四月から五月にかけて満開の時期である。やっぱり、中国の土と日本の土とは成分が違うんだなあ。
なんだか、蒲公英の写真を見ると親しみを覚える。そうだなあ、私の故郷でも春になると一番ありふれた花が蒲公英だった。春になると、丘とかダムとかあちこちで蒲公英の姿が見られる。黄色い花、素朴で一番目立つ花。恐らくそうだったから、私の場合は蒲公英を見ると、反射的に暖かい日差しが身を柔らかく照らす故郷の春を思い出すのだ。
小さい頃はよく一人で近くの丘に行ったものだ。友たちがないわけではないが、私は一人のほうが好きであった。春になると、そこは花壇みたいにたくさんの花が咲く。そのなかで一番多いのは蒲公英。花と草の匂いが風とともにさらさらと顔を触れ合う。気持ちいい、衣服の汚れも気にせず、そのまま横になって小鳥の鳴き声を聞きながら、目を細めて青い空を見つめるのが好き。世の中で、空より広いものはないかとよく考えたものだ。自分も鳥みたいに浩瀚な空を自由の飛びたかった。私にとって、それは一番ロマンチック。
春の暖かさを感じている間にいつの間にか寝てしまう。よくある経験。目がさめた時はもう周りが薄暗くなっている。慌てて家に帰ったら、気の短いお母さんが角を出して怒る、母さんが心配している事知らないのって。分かってる、だつて、私もう赤ちゃんじゃないもん。私もやりたい事があるんもん。
時間の流れは本当に速い。そんな我がままな私も今は大人になって、家を遠く離れて仕事している。今私が身を置いている所は工場ばっかりに囲まれた退屈な所である。
長い間、私は故郷の蒲公英を忘れていた。そして故郷の暖かい日差し。でも、今の私はただ懐かしいなあと感慨するほかは、何もできなくなった。
________________________________________
故郷と言うのは、それがよかろうとどうだろうと、人の記憶の中では一番美しい所である。
Powered by Discuz! X3.4
© 2001-2017 Comsenz Inc.