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「様」と「殿」
若い人からもらった手紙の宛名に「OO殿」とあってギクリとした。まるで役所の通知である。恐らく、「様」より「殿」のほうがもっと丁寧な敬意の表現と、思ってのことだろう。
昔の親は、我が子に手紙を書くとき、宛名を「殿」とした。子供から親へは「様」だ。「目上」から「目下」に出すとき、あるいはあらたっまた用向きの場合には、私的な通信でも「殿」が使われてきた。そんな習慣も昨今は薄れてしまったが。
まるで役所の通知、と記したけれど、これはやや正確さを欠く。役所や会社の業務など公的な場面で、もっぱら「殿」が用いられてきたのは事実。しかし最近は役所でも住民への手紙をはじめ各種の文書に「様」とつけるところが増えている。 「殿」という言葉には上意下達を思わせる尊大な響きがある。そういった考え方、感覚が広がってきた結果らしい。
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