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日志

日本語(第八冊)^^四

已有 674 次阅读2008-6-22 11:26 |个人分类:日语学习|

第四課 かけす

 

夜明けからかけすが鳴き騒いでいる。

 雨戸をあけると、目の前の松の下枝から飛び立ったが、またもどって来たらしく、朝飯の時は羽音が聞こえたりした。

 「うるさい鳥だな。」と弟が立ちかかった。

 「いいよ、いいよ。」と祖母が弟を止めた。

 「子供をさがしているんだよ。昨日雛を巣から落としたらしいよ。昨日も夕方暗くなるまで飛び廻っていたが、わからないのかね。でも感心なものさ、今朝もちゃんとさがしに来るんだもの。」

 「お祖母さん、よくおわかりになるわね。」と芳子は言った。

 祖母は目が悪い。十年ほど前の腎臓炎のほかには病気らしいものをしたことはないが、若い時からのそこひで、今はもう左眼だけがかすかに見えるか見えないくらいであった。茶碗も箸も手渡してやらねばならない。勝手知った家の中は手さぐりで歩くけれども、庭へひとりで出ることはない。

 ときどきガラス戸の前に立っていたり、坐っていたりして、掌をひろげながら、ガラス越しの日ざしに五本の指をかざして、と見こう見している。根限りの生命をその視力に集中している。その時の祖母が芳子は恐ろしかった。うしろから呼びたいように思うが、そっと遠くへかくれてしまうのだった。

 そんな目の悪い祖母が、かけすの鳴き声を聞いただけで、目に見たように言ったので、芳子は感心したわけだった。

 芳子が朝飯の後片づけに台所へ立つと、かけすは隣りの屋根で泣いていた。

 裏庭には栗が一本と柿が二三本ある。その木を見ると細かい雨の降っているのがわかる。葉のしげりをバックにしないと見えないような雨である。

 かけすは栗の木に飛び移って、それから低く地上をかすめて飛んだかと思うと、また枝にもどった。しきりに鳴く。

 母鳥が立ち去りかねているのだから、雛鳥はこのあたりにいるのだろうか。

 芳子は気にかかりながら部屋へはいった。朝のうちに身じまいをしておかねばならない。

 ひる過ぎに父と母とが芳子の縁付く先の母親をつれて来るのとになっている。

 芳子は鏡台の前に坐って、爪の白い星をちょっと見ていた。爪に星が出来るのはなにかもらうしるしだと言ったものだが、ヴィタミンCかの不足だと新聞に出ていたのを思い出した。化粧は割に気持ちよく出来た。自分の眉も唇もみんな可愛くてしかたがなくなって来た。着物も楽に着られた。

 母が着つけの手伝いに来てくれるかと待つ思いもあったが、ひとりで着た方がよかったと思った。

 父母は別居している。二度目の母である。

 父が芳子の母を離婚したのは、芳子が四つ弟が二つの時だった。母は派手に出歩いて金遣いも荒かったということだが、ただそればかりでなく、離婚の原因はもっと深刻なものであったと芳子もうすうす感づいていた。

 弟が幼いころ母の写真を見つけ出して父に見せると、父はなんとも言わなかったが、恐ろしい顔をして、いきなりその写真を引き裂いてしまった。

 芳子が十三の時、家に新しい母を迎えた。後に芳子はよく十年も父がひとりでいてくれたと思うようになった。二度目の母はいい人で、なごやかな暮しが続いた。

 弟が高等学校に上がって寮で暮らすようになると、義理の母への態度が目に見えて変って来た。

 「姉さん、母さんに会って来たよ。結婚して麻布(あざぶ)にいるんだ。すごく綺麗なんだぜ。僕の顔を見て喜んだよ。」

 弟に突然言われて芳子は声も出なかった。顔を失ってふるえ出しそうだった。

 向うの部屋から母が来て坐った。

 「いいよ、いいよ。自分の生みの親に会うのだもの、悪いことじゃない、当たり前よ。こんな時が来るだろうってことは、母さんだって前からわかってたんだもの。別になんとも思やしないよ。」

 母は体の力が抜け落ちたようで、芳子には痩せた母が可哀想なほど小さく見えた。

 「芳子さん、あの子になんにも言うんじゃありませんよ。言うだけあの子を悪くするんだから。」と母は小声で言った。

 芳子は涙が出た。

 父は弟を寮から家へ呼び戻した。芳子はそれですむだろうと思っていたのに、父は母をつれて別居してしまった。

 芳子は恐ろしかった。なにか男の憤怒か怨恨かの強さに打ちひしがれたようだった。前の母につながる自分達も父は憎んでいるかと疑った。ぷいと立って行った弟も男の父の恐ろしさをうけついでいるかと思えた。

 しかしまた、前の妻と別れてから後の妻を迎えるまで十年間の父の悲しさと苦しさも、芳子は今になってわかるようにも思えた。

 そうして別居している父が縁談を持って来た時、芳子は意外だった。

 「お前には苦労をかけてすまなかった。こうこういうわけの娘ですから、お嫁というよりも、楽しい娘時代を取りもどさせてやって下さいと先方の母親によく話してある。

 父にそんなことを言われると芳子は泣いた。

 芳子が結婚すれば、祖母と弟とを世話する女手がないから、父達は祖母達と一つになるということであった。それが先ず芳子の心を動かした。父のことから結婚を恐ろしいように思っていたが、実際の話にぶっつかるとそう恐ろしいとは思わなかった。

 身支度かすむと芳子は祖母のところへ行って立った。

 「お祖母さん、この着物の赤いのお見えになって?」

 「ぼうっとそこらの赤いのはわかるよ。どれ。」と祖母は芳子を引き寄せて着物や帯に目を近づけながら、

 「もう芳子の顔は忘れたよ。どんなになっているのか、見たいねえ。」

 芳子はすぐったいのをじっとしていた。祖母の頭に軽く片手をおいた。

 父達の来るのをその辺まで出迎えたく、芳子はぼんやり坐っていられないので庭へ出た。掌を開いてみたが濡れるほどの雨ではない。裾をからげて、小さい木のあいだや熊笹(くまざさ)のなかを丹念にさがしていると、萩(はぎ)の下の草のなかに雛鳥がいた。

 芳子は胸をどきどきさせて近づいたが、雛はじっと首をすくめたままだった。たやすくつかまえた。元気がなくなっているらしい。あたりを見廻したが母鳥はいない。

 芳子は家へ走りこんで、

 「お祖母さん、雛鳥がいたわ、つかまえたわ。弱ってるわ。」

 「おや、そうかい。水を飲ませてごらん。」

 祖母は落ちついていた。

 茶碗に水を汲んで嘴を入れてやると、小さいのどをふくらませて可愛く飲んだ。それで元気を取りもどしたのか、「キキキ、キキキ……。」と鳴いた。

 母鳥が聞きつけたらしく飛んでくると、電線に止って鳴いた。雛は芳子の手のなかで身もだえしながら、

 「キキキ……。」と呼んだ。

 「ああ、よかったね、早くおかあさんに返しておやり。」と祖母が言った。

 芳子は庭へ出た。母鳥は電線を飛び立ったが、向うの桜の梢(こずえ)からじっと芳子の方を見ていた。

 芳子は掌のなかの雛を見せるように片手を上げてから、そっと地上においた。

 ガラス戸の蔭から様子を見ていると、空を仰いで悲しげに鳴く雛鳥の声を頼りに母鳥が次第に近づいて来た。すぐ傍の松の下枝まで母鳥がおりて来た時、雛は飛び立たんばかりに羽ばたきして、その勢いでよろよろと前に歩くと、ひっくりかえりそうに倒れながら、鳴き立てた。

 それでも母鳥は用心深くなかなか地上におり立たない。

 まもなくしかし、すっと一直線に雛の傍へ来た。雛のよろこびようはない。首を振り振り、ひろげた羽をふるわせて、甘えるようである。母鳥は餌をやるらしい。

 芳子は父や義理の母二人が早く来てくれて、これを見せたいものと思った。

 

 

ことばの使い方

一、「……か……ないかくらい」

例えば「見えるか見えないかくらい」は、「見えるとも見えないとも言える程度」の意、つまり「見えるような、見えないような程度」を表す。

       衰え切っている重症患者はかすかに唇を動かし、きこえるかきこえないくらいの声しか出せなかったのである。

       うす霧のようですよ。でもあるかないくらいのものですから運転するのにはさしつかえがありません。

 

二、「と見こう見する(左見右見する)」

左を見たり、右を見たりすること、あちらこちらを見ること。

       誰だかその谷じゅうを見こう見しながら、だんだんこっちの方へ登ってきた。

       マスクをかけ、帽子を深くかぶった人が玄関を出て、しばらくと見こう見していたがやがて左の路地へ消えた。

 

2

雷人

鲜花

鸡蛋

路过

握手

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