新しい住まいを構えて早半年を過ぎようとしている。以前のと違って、繁華街ハズレの新興住宅地なので、団地の北側を沿って並べている店の中にあるいくつかの湖南料理やや弁当屋さん以外は、何もない“不毛”の地なのだ。

ひとり暮らしだけど、ここ数年コンロに火をつけたのは数えるくらいの市内生活だったが、今の場所では餓死する覚悟がなければ、自炊が唯一の選択となった。やむを得ず、自炊開始。しかし、料理が出来ても、皿洗いだけはどうしてもウツになるから、困ったことだ。

　以前の友達などとも離れたのだから、夜や休日等は時間を持て余すあまり、寂しいさが日増しに襲いかかってくる。これじゃいかんと、一念奮起して、300余りの大金をはたいて道具一式を揃えて、2元一尾の金魚を10尾余り飼った。

　水槽の中で、仄かなあかりの下に、水草の間を優雅に泳いている金魚を眺めるのは日課となった、それは結構楽しい。それに、水替え、餌やり、ポンプの清掃、水質安定剤の添加、金魚薬を与えるとやることは結構ある。たかが金魚飼い、されど金魚飼いだ。

　これで、テレビをつけずに、夜を過ごすこともできた。本を読む間、たまに顔を上げ、目線を少し遠くやると、ぼんやりと優雅に泳ぐ金魚たちを鑑賞するのだ。

　しかし、先週からの寒波で、中山まで最低3度の寒さがやってきた、その間というのは、日に日に泳ぎが鈍くなり、横になり、そして裏返しになる。一週間、ほぼ毎日金魚の葬式をやるハメになったのだから。気温が回復した今週になって数えてみると、大きな水槽に泳いでいるのはたったの三尾になった。

　これじゃ、以前にも増して寂しくなるじゃないか

　人生って、こんなもん？