2008年11月11日「国際貿易」に発表された私が書いたものです。
モンスターペアレント
モンスターペアレントとは、学校に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返す保護者を意味する和製英語である。この語が世に出て久しいが、彼等のもたらす現象が下火になる兆しはまだ見えない。最近、こういった教育問題を反映して同名のテレビドラマも放送され、高視聴率を上げたそうだ。
モンスターペアレントと呼ばれる親が学校に突きつける苦情や要望は著しく一般常識を外れている。運動神経が悪い息子を「サッカーチームのレギュラーにしてほしい」、受験を重視して「模擬試験と運動会の日付が重なってしまったので運動会の日程を変えてほしい」、偏食を直そうとせずに「子供の嫌いなものを給食から抜いてほしい」など。ドラマでは学校の合唱発表会で指揮者役の児童が客席を向いて指揮するシーンまであった。それはもちろんその子の親がわが子の顔をみんなに見せたいからだ。
一方、教師の中にはこのような親に追い詰められ困り果てた人が少なくないようで、教育委員会では対応するために専門の弁護士を雇ったところもあったという。
アメリカには「ヘリコプター・ペアレント」という言葉があるが、これは何かあるとすぐ学校に飛んでいくような過保護・過干渉の親を指す用語である。また、中国にもこれに類する言葉がある。例えば、子供が喧嘩したときに、わが子が悪いにもかかわらずむやみに庇う親のことを「護犢子」と言う。「犢」とは子牛、つまり親牛が子牛を守るという意味である。一人っ子の多い中国では、たとえ「護犢子」の親でも、常に優位にある教師や学校側に難癖をつけることはできない。わが子に教室の掃除をさせたくなければ、親が文句一つこぼさず代わりにやるのだ。親バカのレッテルを貼られるが、モンスターよりはましだと思う。
わが子が可愛いのは当たり前だ。親が子を庇うのは動物の持っている本能のようなものである。だからいくら親バカでも構わないが、絶対にバカ親にならないよう心がけたいものだ。
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