「書類をご覧になりながら、聞いてください」
もっとス’マートな敬語にしたい
相手の行為(動詞)を尊敬語にするとき、行為(動詞)が二つある場合はどうすればいいのか。
たとえば、「書類をご覧になりがなら、聞いてください」の場合、「見る」を「ご覧になる」と
尊敬語にし、「聞いて」はそのままにしている。「書類をご覧になりながら、お聞きください」
のように、敬語を二つ重ねるよりスマートということなのだろう。その考えは間違いではないが、
こうした場合は、後のほうだけ敬語にしたほうが自然で落ち着いて表現になる。つまり
「書類を見ながら、お聞きください」がよりよい表現というわけである。
この「敬語かできる部分が二つあるときは、後の方だけ敬語にする」という法則は、
たとえば「部長は、あの報告に満足していた」という言い方を敬語化するときにも当てはまる。
「満足していた」は「満足して」と「いた」の二つに分解できるが、これを敬語化する場合、
「満足されていた」と「満足していらっしゃった」の二つの方法が考えられる。しかし、この場合
も「部長は、あの報告に満足していらっしゃったよ」のように、「満足して」はそのままにして、後に続く
「いた」を「いらっしゃった」と敬語化した方が自然な言い方にあんる。