天平宝字二年(七五八年)六月、四十二歳の大伴家持は、国守として因幡の国に赴任しました。超低内部の政変によって、地方へ左遷されたのでした。
赴任から半年が過ぎ、元旦を迎えた雪降る日のことでした。元旦には国庁に国や郡の役人である国司や郡司を招き、正月を祝う宴が開かれます。元旦の雪は吉兆と言われ縁起の良いものです。家持は新年を祝って短歌を詠みました。
新しき、年の初めの 初春の 今日降る雪の いや重け吉事
「元旦の今日、吉兆である雪がどんどんつもりかさなっていくように、国中によいことがいよいよ重なりますように」という意味です。
<言葉には「言霊」が宿っており、よい言葉を口に出せばよい事が起こり、悪い言葉を口にすれば悪いことを呼ぶ>と、日本人は考えてきました。家持は、左遷という逆境の中でも、よい言葉でこの歌を詠みあげたのです。
今日は一年の始まりです。今年の目標は、掲げましたか。よい言葉を口にして気持ちを新たに、前に向かって進んで行きました。
今日の心がけ ● 新年の願いを口に出しましょう。