忌み言葉は本来の目的をよそに、その「語呂あわせ」から忌まれている場合が多く、ナンセンスなことが多いからです。
しかし、マナーの本質は「相手を思いやる気持ち」ですから、相手が「いやだな」と思うことはやらないのがマナー。したがって、忌み言葉も同様に「いやがる人には使わない」のが正しいと思います。現代では単なる迷信と片付けず知っておくのも損はないと思います。
【結婚を祝うとき】
去る・帰る・切れる・戻る・返す・離れる・飽きる・嫌う・破る・薄い・疎んじる・褪(あ)せる・冷える・浅い・再び・病む・敗れる・滅びる・重ねる・死ぬ・壊れる・憂い・痛ましい・
【妊娠、出産を祝うとき】
流れる・落ちる・滅びる・死ぬ・逝く・敗れる
【新築を祝うとき】
火・赤い・緋色・煙・焼ける・燃える・倒れる・飛ぶ・壊れる・傾く・流れる・潰れる・
【開店を祝うとき】
敗れる・失う・落ちる・閉まる・哀れ・枯れる・寂れる
【災害の見舞いや凶事】
又(また)・再び・重ねる・追って・つづいて・尚・猶(なお)、重ね重ね、たびたび、返す返す、しばしば、ますます、再三、などの重ね言葉も避ける
以上が代表的な忌み言葉ですが、それぞれの場面で口上を述べる時、書面を作る際には十分注意してその使用を避けるようにします。このほかにも不吉を連想させる言葉は、読み方、言い方、を変えて使用するようにします。しかしこれだけあるとなかなか避けて通るのも難しそうですね。スピーチの時にはやはり原稿が必要かも。
四は「死」に通じるので「よ」と読む
九は「苦」に通じるので「ここのつ」と読む
披露宴では「切る」は使わず「ケーキにナイフを入れる」という
梨は「無し」に通じるので「有りの実」という
「するめ」は「金を擦る・スリ」に通じるので「あたりめ」という
同じく「すり恪工稀袱ⅳ郡赉」、「スリゴマ」は「あたりゴマ」という
さて、日本では忌み言葉に対する反応は過剰であると思える節があります。そして、そのことを知っていることがさも教養であるような雰囲気もあります。特に結婚式での忌み言葉はもっともらしい解説がなされています。しかしこれらはもともと語呂合せであり何の根拠もないことなので、本当は無視すればいいことなのです。
スピーチで忌み言葉を使ってしまったためにそのあとギクシャクした雰囲気になってしまうなどは、なんともつまらないことです。そこで司会者が楽しい披露宴にするために「忌み言葉にこだわらずにご挨拶をいただきたい」などと呼びかければ披露宴がより楽しいものになるのではないでしょうか?