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5、助詞2 「は」と「が」(1)
时间:2007-06-05 14:44:47  来源:日本語レッスン|http://homepage3.nifty.com/i-yasu/  作者:

5.助詞2 「は」と「が」(1)

外国人学習者は「私は○○です」「これはいくらですか」「私はあした東京へ行きます」のような文の段階では、事実上、「は」しか習っていないわけですから、「は」と「が」の混乱はありません。学習者は頭の中で、「は」は主語であり、主題であると理解しているようです。

 

そして、存在文の「・・に・・があります(例:教室にテレビがあります)」と「・・は・・にあります(例:テレビは教室にあります)」あたりで、学習者は「は」と「が」はどう違うのだと、疑問を持ち始めます。そして、「は」と「が」の混乱が始まります。

 

「は」と「が」の違いを説明するとき、決して「雪が降る」「雪は降る」のようなよく似た2文を比べてはいけません。

実は、存在文は混乱しやすいのですが、一方で、「は」と「が」の違いを端的に表している文だとも言えます。

 

私は普通、次のように導入します。

 

まず、机の上に本かボールペンか、何かを置いて、学習者に机の上を見るように指示します。机の上を見て何かがあるという、単なる描写(叙述・報告・発見)の文が、

 

「机の上に本があります」(「・・に・・があります」)

 

となります。ここでは「が」は単なる主語を表す助詞です。

 

次に、本に注目させて、机の下に置いたり、いすの上に置いたりして、学習者に質問します。

 

「本はどこにありますか」

 

 そして、その答え(「本はいすの上にあります」)から、「・・は・・にあります」文を導入します。ここでは、「本」はすでに話し手と聞き手の話題になっているものですから、「は」は主題topicとしての役割を担っているのです。

 

しかしながら、上記のような導入で、学習者に「は」と「が」がわかったかというと、全くそうではありません。私の経験では、次の日には多くの学習者が混乱していて、「本はどこにありますか」という私の質問に対して、「いすの上に本があります」と答えたりします。

 

「は」は話し手の気持ちを表す取り立て助詞(とりたて詞、係助詞、副助詞という研究者もいます)、「が」は動詞との関係を示す格助詞で、両者はかなり性質の違うものです。しかし、「は」が話し手の気持ち(ムード・モダリティ)に関わるものなので、習得が難しくなると考えられます。

 

「は」と「が」の基本的な違いを、大雑把過ぎるとの批判は覚悟の上で書いてみます。

 

「は」

・取り立て助詞(話し手の気持ちを表す助詞)

    主題、および、対比を表す。
     (主題:私○○です。対比:東京へ私行きません。)

    「が」「を」の代わりができる。
       (私食べない。→私食べない。)
    
     「に」の一部、「で」「へ」「から」「まで」などの他の格助詞は「は」に
      取っ
て代わられることはない。(例:「メキシコでは」「日本からは」など)


 ・    大きくかかる。    
       (これは私が買ったバッグです

      (新宿は大きな町だ。夜11時でも人が込んでいる。(ピリオド越え))

「が」

  ・    格助詞である。


   
主語を表す。


    対象も表す。(私は君好きだ。)


    疑問詞が主語のときは「が」をとる。(どれいいですか。)


    選択を表す。(山田さんあなた/わたし行きます。)


    従属節の主語は「が」をとる。
       (あなた行くなら、私も行く。

  ・    小さくかかる。
    (これは私が買ったバッグです。

 

  外国人学習者が「は」と「が」について疑問に思うのは次のような点です。

 

   1.      説明を読んでも、いつ「は」を使い、いつ「が」を使うのか、使い分けが      わからない。


2.    トピック(主題)とは何か。


3.    一文には必ずトピックが必要なのか。


4.    何をどう主題化すればいいかがわからない。


5.    「教室にテレビありません」のように、一文に「は」が複数現れるのはなぜか。トピックが、それについて話されるものであるなら、一文にひとつあるだけでいいのではないか。


6.    否定文ではいつも「は」を使うのか。


7.    バスがバス停に近づいてくるのを見て、「バスが来た。」と報告(新情報)として「が」が使われるが、もし、バスが来る前に、「バスの来るのが遅い」など、バスについて話がされていれば、バスは旧情報となって、「バスは来た。」となるのではないか。


8.「日本では」「さっきは」のように、「は」は格助詞のうしろや副詞にも付く。副詞句や副詞が主題になりうるのか。

 
9.作文するとき、入り組んだ文(主語・述語が複数ある文)では、どこに「は」を使い、どこに「が」を使えばいいか混乱してしまう。

 

 以上のような質問について、皆さんはどう思われますか。

「は」と「が」については、問題が大きいので、これらの学習者の疑問に答えながら、次回にもう一度取り上げたいと思います。

 

(詳しくは『日本語教育』70号「取り立て助詞「ハ」導入のための一試案―イラストと漫画で「ハ」を教える―(市川・本間)」をご覧ください。)


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