37 .「存在文」
●~に~があります/います
ものや人の存在を表す文を存在文と言います。「ここに子供がいます」「机の上に本があります」のような文が存在文です。存在文は通常、次のような形をとります。
(1)a.<場所・位置>に <もの>が ある/あります
例:あそこに郵便局があります。
b.<場所・位置>に <人・動物>が いる/います
例:公園に子供がいます
存在文で特徴的なのは、場所・位置のうしろに格助詞「に」が来ること、
そして主語が「が」をとること、また、主語が無生物(生きていないもの)の場合、動詞は「ある」を、生物(生きているもの)の場合は、「いる」を
とります。
●~は~にあります/います
(1)の文は、話し手がものや人を見つけて、それが「どこにある/いるか」を聞き手に伝えるときに使います。何か(だれか)を見つけて「あ、公園に子供がいる」「ほら、あそこに郵便局があります」と、聞き手に新しい情報を伝えるときに使われることが多いです。ところが、その「子供」や「郵便局」が話し手と聞き手の共通の話題(主題、トピック)になって、それの場所や位置を伝えるときは、(2)の形をとります。
(2)a.<もの>は <場所・位置>に ある/あります
例:郵便局はあそこにあります。
b.<人・動物>は <場所・位置>に いる/います
例:子供は公園にいます。
話題になったもの、トピックが文頭に来て、(1)の「郵便局が」「子供が」が「郵便局は」「子供は」に変わります。文頭に「~は」が来て、その次にそれについての説明・解説が来ることになります。
●「日本には」「東京には」の「は」
(1) の「あそこに郵便局があります」「公園に子供がいる」は何かを見つけたときの報告に使われることが多いと書きましたが、例えば、話し手が自分の国や町、大学、会社、家など、ある場所について何があるかを話したいとき「~には」の形が使われます。
「京都には古いお寺がたくさんある」「家には犬が2匹と猫が3匹います」などの文では、「京都に」「家に」が話し手と聞き手の共通の話題(トピック)になっています。
●量・数の表し方
ものや人がどのくらいあるか、いるかを表すとき、日本語では次のような
構文をとることが多いです。
(3)<場所・位置>に <もの・人>が <量・数> あります/います
例:あそこに子供が2人います。
事務所にはコンピュータがたくさんあります。
学習者は two children, many computers のように、「二人の子供がいます」「たくさんのコンピュータがある」と言いがちですが、日本語の自然な表現の
仕方として、(3)を示しておく必要があります。
●「です」と「にあります」
「テレビはどこにありますか」に対して「事務所にあります」と答えることができます。それを簡略化して「事務所です」と言い換えることもできます。
(4)A:きょうはだれが説明しますか。
B:私が説明します。→私です。
(5)A:何を食べましょうか。
B:私はステーキにします。
C:私はシチューを食べます。→私はシチューです。
(6)A:田中さんはどこにいますか。
B:ロビーにいます。→ロビーです。
(6)の「ロビーです」は「ロビーにいます」のことで、「です」は「にいます」の代わりをしています。「です」の使い方は便利ですが、学習者は「ロビーにです」と「に」を付けたり、何でも「~です」と多用する傾向にあるので注意が必要です。