42.「~という~」
●「名詞1という名詞2」について
「名詞1という名詞2」は、名詞1と名詞2の関係によっていくつかの意味用法があります。「木原さんという人」のように名前を表すもの、「弁護士という仕事」「首相が辞任するという新聞記事」のように内容を表すもの、また、「首相が辞任するという新聞記事」のように、「文+という+名詞」という形をとるものもあります。
1)名前を表す「名詞1という名詞2」
「名詞1という名詞2」という形をとって、名詞1で、名詞2の「名前」を示します。
多くの場合、名詞2について話し手か聞き手が知らない(または、話し手が聞き手が知らないと思っている)場合、または、話し手・聞き手の両者が知らない場合に用いられます。
(1)a.清水さんから電話がありましたよ。
b.清水さんという人から電話がありましたよ。
「~という~」のない(1)aは、話し手も聞き手も清水さんを知っていると判断できますが、bでは、話し手か聞き手、または両者が知らない人のことだと判断できます。
2)一般化を表す「名詞1という名詞2」
(2)弁護士という仕事は大変な仕事だ。
(3)医者という職業にだけにはつきたくない。
(4)日本語ということばには複雑で曖昧なところがある。
(2)~(4)では、「名詞1という名詞2」という形をとって名詞1を名詞2で一般化し、それについて判断・説明・評価などを述べる役割を果たしています。
この場合は名詞1も名詞2も、話し手と聞き手の両者が知っている事柄で、それを取り立てて説明しています。
3)内容を表す「文という名詞」
(5)彼女が結婚するという噂を聞いた。
(6)新幹線に穴が開くという事故があった。
(7)彼女が金メダリストだという事実は重い。
(8)赤字をどう解消するのかという問題が残っている。
名詞に来るものには、「内容・説明・連絡・お知らせ・規則・意見・命令」などがあります。文で説明された内容を名詞で受け、まとめるという役割を果たしています。
また、次のように、名詞に「こと」が用いられる場合もあります。
(9)田中さんが推薦されたということは山田さんはだめだったということだ。
●~というのは・・
初級レベルでは、まず、「林さんという人」や「安比というところ」などのように名前を表す「~という~」を勉強しますが、レベルが上がるにつれて、ディスカッションなどで質問をしたり、自分の意見を言ったり、まとめたりするときに「~という~」が使われることが多くなります。「~という~」がなければ説明や質問はできないと言っても過言ではないでしょう。次の例を見てください。
1)質問で
(10)○○というのは どういうことですか。
(11)○○というのは××ということですか。
2)さっき出た意見を取り上げる
(12)今おっしゃった○○という意味がよくわかりません。
(13)今○○ということ(問題)が出ましたが、・・・
3)話題として提出する
(14)××に関しては、日本には○○という考え方があるそうですね。
(15)××に関しては、具体的にどうすればいいかという問題が出てきます。
4.説明
(16)○○というのは、一般的には××とか△△とか言われているものです。
(17)○○というのは、××ということだと思います。
(18)○○というのは、いろいろな面から考えなければならない、難しい問題だと思います。
5.まとめる
(19)Aさんが言いたいことは、○○ということですね。
(20) 今のAさんの意見は、要するに、○○は△△だということだと思います。
学習者が日常会話のやりとりだけができるだけではなく、自分の意見を述べる日本語力を身に付けさせるためにも、これらの「~という~」をうまく指導していきたいものです。