55.「~ば」
条件節全般については「~たら」のところで述べました。ここでは条件節の「~ば」(「~れば」と言うこともある)の文について、非過去と過去の場合について見ていきます。
1)非過去の場合
1)一般的(客観的)条件、論理・理屈を表す。
(1) 春が来れば、花が咲く。
(2) 話せば、わかる。
(3) ちりも積もれば、山となる。
2)反復・習慣を表す。
(4) 隣の犬は主人を見れば、飛んでくる。
(5) 天気が良ければ、ジョギングに行く。
3)「疑問詞+~ばいい」の形で問いかけを表す。
(6)音を大きくするときは、どうすればいいですか。
(7)明日は何時に来ればいいですか。
3)終助詞的に用いられる。
(8)A:どうしようかな。
B:ともかくやってみれば。
2.過去の中の「~ば」
「ば」は非過去の文で使われることが多いですが、過去(確定条件)の文で使われる場合もあります。その場合は「過去の習慣」と「認識」を表します。「~ば」には「たら」「と」のように、発見・きっかけの意味合いはありません。
(9) 学生時代は、冬になれば、スキーばかりしていた。(過去の習慣)
(10) よく見れば、彼女は美人ではなかった。(認識)
● 「~ば」形の作り方
「~ば」は次のような形をとります。「名詞+だ」の非過去では「なら」が用いられます。
動詞 | い形容詞 | な形容詞・名詞+だ |
行けば 行かなければ | 忙しければ 忙しくなければ | 元気/休みなら 元気/休みじゃ/でなければ |
●「~ば」の特徴
条件文「~ば、~」の特徴は次のようにまとめられます。
1)書きことば的であること。ややフォーマルである。
2)「たら」「と」と同じく、時間的前後関係を必要とする。
(11)
北海道へ行けば、スキーができる。(
北海道へ行ってから、スキーをする。つまり前文が起こってから後文が起きる。)
3)文末に意志表現をとらない。
(12) ?
北海道へ行けば、スキーをしよう。(13)?ご飯を食べれば、この薬を飲んでください。
ただし、(14)(15)のように、前文と後文の主語が異なるとき、また、(14)のように前文が状態(ここでは「暑い」)を表すときは、意志表現をとることができます。
(14)彼女が来れば、すぐ出かけよう。
(15)部屋が暑ければ、窓を開けてください。
4)仮定条件・一般条件、特に一般条件でよく使われる。
(16) 雨が降れば、試合は中止だ。(仮定条件)
(17) 春が来れば、花が咲く。(一般条件)
5)「~ば」文は、前文「~ば」に焦点が当たり、そこで何が必要かを述べるときに使われる。
(18) A:爆発させるには?
B:このボタンを押せば、いいんだよ。
(19) A:どうすれば肉がやわらかくなりますか。
B:お酒を振りかければ、やわらかくなりますよ。
「~たら」「~と」と同じように、条件節「~ば」の主語も「が」をとります。
(20) あなたが行けば、みんなが喜ぶでしょう。