<中国>国境警備隊に手りゅう弾…16人死亡 ウイグル
8月4日13時8分配信 毎日新聞
カシュガルの位置
【北京・浦松丈二】中国国営新華社通信によると、中国新疆ウイグル自治区カシュガルで4日朝、武装警察の国境警備隊施設がトラックに乗った2人組に襲撃され、手投げ弾の爆発で警官16人が死亡、16人が負傷した。分離・独立運動を抱える同自治区では8日開会の北京五輪を前に厳戒態勢が敷かれていた。五輪直前に治安機関を狙った襲撃事件が発生したことで、五輪の安全開催が不安視されることになりそうだ。
中国では7月21日に雲南省昆明市でバス連続爆破事件が起きたばかり。この事件では新疆ウイグル自治区の独立を主張する組織「トルキスタン・イスラム党」が犯行声明を出し、五輪を狙った破壊活動を予告していた。今回の襲撃事件との関連は不明だ。
新華社によると、4日午前8時(日本時間同9時)ごろ、トラックに乗った2人組が警備隊施設に突っ込み、手投げ弾2発を爆発させた。警察筋によると、犯人2人は逮捕されたという。新疆ウイグル自治区では過去にもウルムチで軍トラックを狙った爆破事件や同自治区イリ地区で大規模暴動が起きていた。
新疆ウイグル自治区では独立を綱領に掲げる非合法組織「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)が活動しており、中国公安当局が取り締まりを強化している。
昨年1月、公安当局はETIMのメンバー18人の殺害を発表。同組織は中国西端のパミール高原山岳地帯にテロ訓練用のキャンプを設立していたという。
また、今年4月にはETIM関連のテロ組織2グループが摘発され、45人が拘束された。さらに、米政府系放送局「ラジオ自由アジア」によると先月9日、カシュガルの裁判所でETIMのメンバー2人に死刑判決が下され、即日執行された。自爆攻撃用の爆弾などを製造したというのが理由だ。ETIMは中国だけでなく米国や国連安保理もテロ組織として認定している。
▽新疆ウイグル自治区 中国北西部に位置し、パキスタンやアフガニスタン、カザフスタンなど8カ国と国境を接している。人口は約2050万人で、このうち60.4%がイスラム教徒のウイグル族やカザフ族などの少数民族。中国からの分離・独立を目指す「東トルキスタン・イスラム運動」などの組織が活動しており、中国公安省は03年12月にこれらを「テロ組織」と認定、弾圧を強めている。面積約166万平方キロは、中国全土の6分の1に相当し、石油や天然ガス、希少金属が豊富なことで知られる。 |