缺了22日与23日,现补上。+ ^4 @% H: h2 r7 b) z( `7 |; h
2007年12月22日(土曜日)付
' l2 o! G, @. f$ p& a: l 日本料理をきわめた懐石「辻留」の2代目辻嘉一さんは、各地を旅して、土の違いが生み出す野菜の違いを知った。たとえば火山灰の層に育つ関東のネギは、上に伸びるにまかせると歯触りが強くて食べづらい▼だから農家は、土を盛って白根を長く育てる。片や、関西のネギは細くて白根が少ない。青葉は柔らかく、霜の降りる頃のうまみはすばらしい。だれしも故郷を離れると、ふるさとの土が恋しくなるものだと、著書『味覚三昧(ざんまい)』につづっている▼しみじみと郷愁を誘う料理が、先ごろ農林水産省の発表した「農山漁村の郷土料理百選」に並んだ。土地土地の暮らしから生まれた「食べてみたい、食べさせたい」料理を、一般の投票を交えて選んだ。一覧表を眺めていると、ついつい目が“迷い箸(ばし)”をする▼わんこそば(岩手)や石狩鍋(北海道)などは、舌が覚えている。しかし、おっきりこみ(群馬)、しもつかれ(栃木)、いきなりだご(熊本)などは、どんな料理なのか見当もつかない。郷土の誇りの多士済々ぶりを、あらためて思う▼百選のひとつ、大分の「手延べだんご汁」について、作家の松下竜一さんが書いていた。母親は、カボチャを煮崩した汁に団子を入れた。ふつうは多くの野菜を具にするが、母親の育った村の調理法は違っていたのだという▼その味が忘れられないと、松下さんは回想している。風土がはぐくむ料理だが、行きつくところは一人ひとりの母の味ということか。思い出を隠し味に、ふるさとを舌に載せるのもいい |