2007年07月27日(金曜日)付4 |" {6 r7 h! F3 r" w7 T
& ?5 d+ E% G1 X/ V: sベルギーに6年いた。仕事場に近い地下鉄の階段はいつも、名物ワッフルの香りがした。バターと蜂蜜とココアが混じる「においの記憶」は、冷たい雨の風景に重なる。着任時の高揚と不安が溶け込んだ雨だ。
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) _, i; E2 k" Y4 |0 R 未体験のにおいの印象は、それをかいだ場面と共に記憶されるという。資生堂の調香部門を率いた中村祥二さんの説だ(『香りの世界をさぐる』朝日選書)。初めてのにおいは一生もので、それぞれが思い出に連なるのだろう。7 K, F- S9 W7 L, w: y
* f, t0 D6 `5 h7 B9 A/ ~6 I 米シカゴの研究チームが気になる仮説を発表した。身近なにおいをかぎ分けにくくなったらアルツハイマー病の兆しかも、というのだ。レモンやガソリンなど12種のにおいを、平均80歳の約600人に当てさせたところ、的中率が悪い人ほど、後々、認知力が落ちる傾向にあった。) S1 B& ]* ?. ^' Y6 _/ j) r
8 ^7 M# e5 l: ~, V, Q9 A0 ^ 老化による嗅覚(きゅうかく)の衰えは、本人も周囲も気づきにくいから厄介だ。鼻からの刺激が減ると、老化がまた進む。中村さんは「素人考え」として、においの刺激を繰り返し与えることで老化に対抗できないか、と提案している。; A" d7 e. i! x K- s
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人の五感のうち、嗅覚はどうも軽く見られがちだ。多くの情報は目と耳から入る。特に、パソコンや携帯電話を操る現代人は視覚に頼りすぎて、動物に劣る嗅覚がますます鈍ってきたとも聞く。
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, i v6 k+ h2 J6 m 風邪をひくと食事がまずいのは、舌ではなく鼻の粘膜がやられるためだという。かぐ力が弱まれば、料理の風味ばかりか人生のアルバムまでが色あせかねない。鼻の値打ちは高さにあらず。色んなにおいを通過させ、内側の元気を保ちたい。 |