2007年09月20日(木曜日)付& [) H# j& b, U* w/ i$ x( F7 X! t
/ \- m$ K' t% c2 }/ v2 s# }7 R
北朝鮮が拉致を認め、日本中が国家犯罪に凍りついたあの秋から5年。北は核カードを振り回し、拉致問題に進展はない。きのう、横田滋さん(74)、早紀江さん(71)ご夫妻にお会いした。
3 m# e, H0 T3 B4 M# a
* b1 N& G' S( L3 o! {3 q; U 30年前、新潟でさらわれた長女めぐみさんは、10月に43歳を迎える。両親はそう信じる。母は「秘密の仕事をさせられている」、父は「どこかに監禁されているのでは」と案じた。情報は乏しく、2人の想像はいつも沈黙の闇へと消える。
% [6 R1 i0 J3 W+ B, P
' q* u+ l% p! D8 H) f( [4 [ 世論が冷えたとは思わない。全国からの励ましは千羽鶴だけで段ボール6箱とポリ袋二つ、届き続ける手作り小物や服と合わせ一部屋を埋めつつある。「めぐみが戻った時、こんなに多くの人が応援してくれたのよと広げて見せるのが夢」だという。
, I4 e; q- @4 D' ~2 w& T7 B
: I8 o9 p) I$ e* E0 o5 ^ 政府認定の拉致被害者だけでも、12人が帰国していない。冷たい国際情勢の波間に、同胞の顔が浮き沈みしている。引き裂かれた親兄弟が日本海の両側で老いてゆく。独裁者も年を重ねるが、彼の退場を待つ余裕は肉親にはない。, C% r2 O, w; I% Q+ w& {+ }- m
( B# O# |3 g9 x+ _2 y めぐみさんの衣類や教科書を手に取れば、新潟時代がよみがえり、身も心も崩れそうになる。だから見ない。早紀江さんは「部屋は今の生活のにおいだけにしておきたい。そのほうが闘いやすいから」と悲しく笑った。
1 n3 [' S( w3 z% B" H# l, r
# ^8 b- K7 N7 M9 a ここまで強くなれるものかと言葉をのみ、子を奪われて弱い親はいないと思い直す。それでも相手は国家だ。生身の個人を矢面に立たせるわけにはいかない。他人事(ひとごと)にせず、最後の一人が戻るまで声を上げる。誰が首相になろうと、そこは変わらない。 |