2007年09月27日(木曜日)付/ d( @3 c" S$ b
_. d6 A$ ^& } 竹山道雄の児童向け小説『ビルマの竪琴』にこんな一節がある。「ビルマでは住民が坊さんを非常に大切にするから、坊さんになりさえすれば生きていかれる」。密林で敗戦を迎えた主人公、水島上等兵はその国で僧侶となり、異郷に散った日本兵を弔う道を選ぶ。3 k% Y) c5 }' \# ?% i: y" W, H1 ?
2 d6 w* s) T* f8 L) t& Y& L/ s 小説の舞台ミャンマーで、軍事政権が僧侶や市民のデモを弾圧し始めた。多数が拘束され、死傷者が出たとも伝えられる。死者1000人を超えた88年以来の大きな衝突だ。 4 `% R2 q' f( @
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国民の9割が仏教徒で、托鉢(たくはつ)で暮らす僧侶を今も強く慕う。24日から続いた10万人規模のデモでは、読経して歩く若い僧侶の両側を市民が固めた。れんが色の僧服が、熱い「血の川」のように大通りを進んだ。
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0 Q: ]8 E( H1 i, [ n3 A8 h: O- \ 発端は燃料値上げに抗議する僧侶への暴行だ。僧侶らは民主化指導者のアウン・サン・スー・チーさんを軟禁下の自宅に訪ねた。軍政は***の波の広がりを恐れたのだろう。1 y, f. s+ |. _8 l( a- a7 r Z
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スー・チーさんの父は第2次大戦中、日本の支援で英国軍を追い出し、次いで日本とも戦った独立の英雄。「建国の父」とも呼ばれる。「民主化の母」となるべき娘は1945年、日本兵が連合国の捕虜になった夏に生まれた。
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1 O, I" E( P, v. }% ~9 L: \ 小説の捕虜たちは、のんびりした僧侶らの生活にたまげ、収容所で論争となる。同じ強いられるなら、軍服と袈裟(けさ)のどちらがいいか。「お経ばかり読んでいるから未開なのさ」「その国に迷惑をかけた我々の方が野蛮だ」。結論は出なかった。
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戦で死ぬことなかれ。竪琴の願いを胸に、僧服の川を待つのが民主化の大海だと祈る。 |