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2015年9月1日(火)
アリという生きものからイメージするのは、律義な働き者である。勤勉の代名詞といっていい。昭和の大家だった俳人加藤楸邨(しゅうそん)は〈日本にこの生(き)まじめな蟻(あり)の顔〉と詠んだ。作者の日本人観であり、ユーモラスな自画像でもあろう
在人类眼里,蚂蚁这一生物,往往是克勤克俭、无怠无荒的代名词。昭和时代的俳句大家加藤楸邨先生曾咏道:“何处奇景胜日本,大街小巷观蚁面”。这既是先生的日本人观,亦是不失为一种诙谐的自嘲。
▼ところで、アリの大敵にアリジゴクがいる。砂地などにすり鉢状の巣を掘って潜み、落ちてくるのを捕食する。巣は砂が崩れないぎりぎりの角度に作られていて、アリが脚を踏み入れると崩れるそうだ
▼不过,蚂蚁有种天敌叫做蚁狮(俗称沙牛)。它会在沙地之类干燥松散的土层上一面旋转一面向下钻,在沙上作成一个漏斗状的陷阱,自己则在陷阱最底端静待猎物送上门来。由于漏斗周围被作成仅能保持沙土堪堪不落的程度,故即便是一只蚂蚁的重量,表面的沙土也无法承受。
▼小さな働き者がころがり落ちる図は哀れだが、それが虫の話だとも思えなくなってきた。この国の借金は1千兆円を超えている。それに加えて、各省庁の来年度予算の概算要求は102兆円台で、過去最大になるという。「ぎりぎりの角度」に近づいてはいないのだろうか
▼虽然怜惜那些无辜的小劳动者们命丧黄泉,但我并不认为这只是虫豸之间的问题。要知这个国家(指日本)的外债业已超过了一千万亿日元。报道称各省厅来年的财政预算额是102~104万亿日元,将成为有史以来的最高额度。这,是不是正在向“堪堪落下的程度”靠拢呢。
▼先進国中最悪の水準といわれ、国民1人がすでに約830万円もの借財を背負っている計算になる。今日をしのぐ借金を子や孫の世代の暮らしを質草にして重ねている格好だが、このままではいずれ限界はやってこよう
▼日本被称为最差劲的发达国家并不是没有原因,若将国家外债平摊到每个国民头上,平均每人的借债将高达830万日元。假如政府继续秉持这种“自己借债儿孙还”的态度,债台就只会越摞越高,终将带来万劫不复的后果。
▼国債の暴落や超インフレを懸念する声は常にあって、そうなれば国民生活は破綻(はたん)しかねない。「生まじめな蟻」と思っていた自画像は崩れて、砂の穴底へころがり落ちることになる
▼“国债暴跌”与“物价疯涨”似乎已经成了当下的一个时代符号,受此影响下的国民生活自是危同累卵。“大街小巷观蚁面”亦将成为一段真正自嘲的历史,跌落沙底的深渊。
▼「それ世の中に借銀(かりぎん)の利息程おそろしき物はなし」と井原西鶴は「日本永代蔵」で言う。このリアリストなら、何とかなるだろうという根拠のない楽観をきつく叱るに違いない。様々な痛み分けを、もう先送りにはできぬはずと。
▼井原西鶴先生曾在《日本永代藏》中写道“世上绝无衡量借债利息之物”。这位写实派宗师之所以写出这样的语句,无疑是在为深陷于债务漩涡而浑然不觉的“乐观者”们敲响警钟:自己造成的烂摊子,已经不能再丢给后代了。
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